クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #2 歌劇『最後の審判の日の預言者』よりコラールとフーガ/W.ペッテション=べリエル

2 回目の私からのクラシック名曲紹介では、ウィルヘルム・ペッテション=べリエルの歌劇『最後の審判の日の預言者』よりコラールとフーガを紹介したい。

ペッテション=べリエルと聞いてピンと来る人は、相当なオケマニアでしょう。ペッテション=べリエルは、スウェーデンの作曲家であり、ピアノ曲集『フレースエーの花々』がスウェーデンでは有名であるが、日本では殆ど知られていない作曲家である。大変に毒舌な評論家であり、当時は多くの作曲家から恐れられたと言われている。作品全体として、表現力豊かな旋律であり、独特な和声進行であるにも関わらず美しさが内在する、とても興味深い作曲家のひとりである。

そもそも、私がペッテション=べリエルの作品に出会ったのは、隠れた名曲を発掘することがマイブームだった頃であった。名前すら聞いたことのない作曲家の CD を買い漁り、ピンと来る作品は無いか…と只管探し回るのは、地味ではあるが、宝探しのようで非常に面白い。CPO から出版される CD は、日本では殆ど知られていない作曲家の作品を多く取り扱っており、私にとっては CPO が出版する CD は宝とも言えるのだ。

そんな中、私はペッテション=べリエルの『交響曲、管弦楽、ヴァイオリン協奏曲全曲集(5 枚組)』を何となく購入し、ついに感動する作品に出会えた。それが、今回ご紹介する歌劇『最後の審判の日の預言者』よりコラールとフーガ…である。本作品は、私の知る限り、今ではこの CD でしか聴けず、YouTube などの動画サイトにも無かったので、本作品を聴きたければ、恐らく本 CD を購入するしか無いと思われる。

歌劇『最後の審判の日の預言者』よりコラールとフーガ…は、変ホ短調による金管の美しいコラールから始まる。コラールが終わると、嬰ハ短調に転調し、弦楽器と木管群による重々しい主題が奏でられる。この主題が、様々な楽器によりフーガとして提示され、Con moto を経て、最後には、金管群による冒頭のコラールが力強く奏でられるシンプルな構成である。このコラールがとても美しく、また、楽曲全体として極めてシンプルな構成であるが故、聴く側としては、非常に耳に残る作品とも言える。

スウェーデンのペッテション=べリエル協会に確認したところ、どうやら本作品はG.Johansson 氏の編曲版と、P.London 氏の編曲版があるらしく、私が聴いたのはG.Johansson 氏の編曲版である。両方のスコアを頂けないか交渉したところ、なんと、快く送ってくれたのだ。演奏しても良いよ!と言ってくれたペッテション=べリエル協会の方々には本当に感謝の気持ちで一杯である。残念ながら、国内で演奏されたことは恐らく無く、真の意味で埋もれた名曲という位置付けにはなってしまうが、このような埋もれた名曲を、是非ともプロオケには発掘して頂き、演奏して欲しいと心より願うばかりである。

(文:マエストロ)

指揮:ミハイル・ユロフスキ 演奏:ノールショピング交響楽団


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