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名曲名盤紹介コラム ~ クラシック#15 組曲《くるみ割り人形》より「行進曲」

 皆さんは、人生で初めて聞いた曲を覚えているだろうか。きっとここを見ている音楽好きの皆様は色々な曲を挙げるだろう。私はカラヤンとベルリンフィルによって 1965 年に録音された《展覧会の絵》のプロムナードだった。
 気になったのは、人はいつオーケストラ曲に出会うのか、ということだった。そこで、今回は「皆がよく知っている」という視点のもと、有名なオーケストラ曲を取り上げたい。

 では、何をもって「よく知っている」「有名」とするかである。多くの人が曲に接するのは、テレビ・ラジオ・今では Youtube だろう。しかし、もっと確実に音楽に接する機会がある。それは、学校現場での学習である。

 学校では、学習すべき内容は教科書を活用し学んでいる。音楽も例外ではなく、教科書を使っている。しかし、理科では 5,6 社あるのに比べ、音楽は 2 社しかない。そこで、今回は教育芸術社で扱っているオーケストラ曲に焦点を当てる。また、この記事を読んでいる皆が
楽曲を知っている前提で、子どもたちがどのように曲に対して向き合っていくのかについてを記したい。

 『小学生のおんがく 1』で初めてオーケストラ曲を教材として学習するのは、バレエ組曲《くるみ割り人形》より「行進曲」である。

 トランペット・ホルン・クラリネットによる小さなファンファーレと、弦楽器の軽やかな掛け合いが中心となっている。この曲で掴ませたい要素は、まさにこの「掛け合い」である。

 まさにスコアを見れば楽器ごとの掛け合いになっていることは一目瞭然だが、音楽の記号をまだ習得していない(四分音符、八分音符を学習するのは 2 年生)小学 1 年生にとっては、音楽に対してどのように向き合うのか曖昧である。そこで活躍するのはオノマトペである。


「ぱっぱぱぱ ぱっぱっ ぱっぱっ ぱーん...」
「たらっ たらっ たらっ たらっ た....」

 この書き方で、曲を知っている人にとってはどのような旋律で演奏されているかが分かるだろう。スコアの読み方を知らない子どもほど、この言葉で音楽に引き込まれていく。
一度要素が分かれば、その先は自ずと音楽の世界へと引き込まれていくだろう。「『ぱっぱ』 と言ったら、その後は『たらっ たらっ』 てしてる。あ、また出た!!」など、見つけた要素を探していくのは、子どもの得意技である。

 「オーケストラはなんか難しそうだからあまり聞かないかな」という言葉を皆さんはどのように感じるだろうか。私はこの言葉によく出会ってきたが、人は誰もがチャンスさえあれば音楽にのめり込める才能を持っていると考えている。「あ、知ってる」で終わるのではな
く、「あ、繰り返してる」といったように、少しだけ背伸びした聞き方をおすすめしてみてはいかがだろうか。

                             文:🐻

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