ブラオケ的ロック名盤紹介 ~気合い入れて聴けー!!~ #2『ECLIPSE / Yngwie Malmsteen』

ロック音楽の第二弾では、イングヴェイ・マルムスティーンのECLIPSE(エクリプス)をご紹介したい。


イングヴェイ・マルムスティーンは、ロックギター界では超絶有名なスウェーデンのギタリストであり、速弾きギタリストにとっては間違いなく一目置かれる存在であろう。私がイングヴェイの演奏を初めて聴いた(実際にはテレビで見た)のは高校生の頃であり、当時X JapanやB’zのコピーバンドでギタリストを務めていた私にとって、とてつもない衝撃だったのを覚えている。テレビで流れていたのはSeventh Signという楽曲であったが、そもそも私は当時スウィープと呼ばれる奏法(ダウンもしくはアップ・ピッキングを連続して行う奏法であり、箒で掃くような動作を行うためスウィープと呼ぶ)の存在すら良く分かっていなかったため、ギターソロ冒頭のスウィープの嵐は、何が起きているのか理解が出来なかった。翌日、私は部活帰りにすぐにCD屋さんに直行し、イングヴェイのベストアルバムを購入した。今回ご紹介するECLIPSEは、そのアルバムのラストに収録されている。

さて、本題のECLIPSEについてだが、インストゥルーメンタルの作品であり、冒頭からスウィープの嵐で、且つ、プリング・オフを上手く組み合わせた非常にかっこいいフレーズとなっている。1小節内に詰め込まれた音数は20前後であり、この速さで正確に粒ぞろいのスウィープをやるのは至難の業である。作品としては、まずイ短調から始まるスウィープの印象的なフレーズから始まる。やがて嬰ハ短調に転調するが、この意外性ある転調から沸々とするような勇ましい旋律が始まる点が素晴らしい。そして、旋律が終わるとホ短調に転調し、Ⅵ→Ⅶ→Ⅰのコード進行を、ハーモナイズド・チョーキングの全音符でシンプルに聴かせる点も圧巻である。これらのカッコ良すぎる流れを経て、再度イ短調に戻るが、ここでのイ短調がハーモニック・マイナースケールとなっており、跳躍を駆使したクラシカルなフレーズとスウィープの組み合わせは、非常に聴き映えする部分でもある。その後は、ガラリと雰囲気を変え、ワウ・ペダルを駆使したギターソロを経て、最後はディレイを加えることで立体的な効果を生み出して終わる。

イングヴェイの作品を聴くと、どの作品も速弾きが必ず盛り込まれており、お腹一杯になることが多いが、そんな中でも本作品ECLIPSEは、クラシカルな響きを残しつつ、カッコ良さも兼ね備えた非常に聴き映えのする名作である。ギターを弾かない人も十分に印象に残る作品なので、是非一度聴いて頂きたい。

(文:マエストロ)

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