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SDSノート_23ソーシャルダイブ・ラボ企画発表会とこれまでを振り返って

こんにちは。ソーシャルダイブ・スタディーズ(以下 SDS)、コーディネーターの工藤大貴です。今回は9/25に開催したSDS最終回についてのレポートと、これまでのnoteを振り返っていきます。

4か月に渡るソーシャルダイブ・スタディーズ。たくさんのゲストの皆様と、仕事や学校があるなか前向きに参加くださったメンバーの皆様のお力で修了することができました。ありがとうございました。

SDSノートも今回で最後になります。ぜひ、あと少しだけお付き合いください。

SDSのこれまで

5/29(14:00-15:30)
「企業がアートにかかわるとき」
三菱地所|金城敦彦さん 良品計画|宮尾弘子さん

6/5(14:00-15:30)
「コミュニティにアクセスするには」
山崎亮さん

6/12(14:00-16:00)
「学環創出フォーラム(1)」
佐藤慎也さん、髙木紀久子さん、中島伸さん
※メイントーカー:伊藤達矢さん

6/19(14:00-15:30)
「街をリサーチする目線」
原田祐馬さん

6/26(14:00-16:00)
「ソーシャルダイブ・ラボ(1)」
青木彬さん

7/3(14:00-16:00)
「学環創出フォーラム(2)」
伊藤達矢さん、佐藤慎也さん、中島伸さん
※メイントーカー:髙木紀久子さん

7/14(19:00-20:30)
「アーティストトーク1 銭湯山車」
栗生はるかさん 三文字昌也さん

7/17(19:00-20:30)
「芸術と技術の間にユーモアを」
川田十夢さん

7/21(19:00-20:30)
「アーティストトーク2 ギフトプロジェクト」
ダフナ・タルモンさん

7/24(19:00-20:30)
「ソーシャルダイブ・ラボ(2)」
青木彬さん、村上タカシさん、藤原佳恵さん

7/28(19:00-20:30)
「アーティストトーク3 東京影絵」
川村亘平斎さん

7/31(19:00-20:30)
「アートとビジネスのメディウムを探して」
遠山正道さん

8/4(19:00-20:30)
「アーティストトーク4 着がえる家」
西尾美也さん

8/7(19:00-20:30)
「ぼくの東京アートガイド」
ナカムラクニオさん

8/11(19:00-20:30)
「アーティストトーク5 ondesign」
一色ヒロタカさん

8/14(19:00-21:00)
「学環創出フォーラム(3)」
伊藤達矢さん、佐藤慎也さん、髙木紀久子さん
※メイントーカー:中島伸さん

8/18(19:00-20:30)
「ソーシャルダイブ・ラボ(補講)」
青木彬さん

8/21(19:00-21:00)
「ソーシャルダイブ・ラボ(3)」
青木彬さん

8/25(19:00-20:30)
「アーティストトーク6 グランドレベル」
田中元子さん 大西正紀さん

9/1(19:00-20:30)
「アーティストトーク7 いつものもしも」
宮尾弘子さんほか良品計画、一色ヒロタカさんほかondesignチーム

9/4(19:00-21:00)
「学環創出フォーラム(4)」
伊藤達矢さん、髙木紀久子さん、中島伸さん
※メイントーカー:佐藤慎也さん

9/8(19:00-20:30)
「クリエイションに伴走する言葉」
小池一子さん

コロナ禍のSDSを振り返って

オンラインでの参加と、SDS会場であったアーツ千代田3331での対面参加(少人数)を併用しながら、各回のレクチャーを進めていきました。難しさもあった一方で、対面参加者からは1人ずつ意見や感想を話してもらうことができるなど、オンラインとオフラインのハイブリッドだからこその良さもあったように思います。

また、上記のnoteにはありませんが、SDS統括の宮本武典さんや青木彬さんがメンバーのアートプロジェクト案にフィードバックをおこなう、自由参加型の補講的な時間も何度かありました。

そういった工夫がフレキシブルにできたのも、コロナ禍で人数が制限された結果かもしれません。コロナウイルスの感染者数が大きく増えてしまった時期には完全オンラインで対応しながら、それでもとにかく続けていくことは忘れずに、しなやかに最後まで走りきることができました。

ソーシャルダイブ・ラボ企画発表会

9/25に実施した発表会についてレポートします。当日は、SDSメンバー21名が1人ずつ考えぬいた東京でのアートプロジェクトについて発表をおこないました。(留学中、仕事の都合などで予定が難しかった数名は後日発表をします)

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洗練されたタイトルとは少し違う、参加者それぞれの思いやあたたかさが伝わってくる言葉が並んでいます。キーワードは1人ひとり本当に様々でした。スマホ、写真、遊ぶ、禁止、ファッション、絵、祖父母、食、音楽、詩・・・。

発表に対して、ゲストのみなさんがフィードバックをおこないます。学環創出プロジェクトでもお世話になった伊藤達矢さんと中島伸さん、東京ビエンナーレ事務局の宍戸遊美さん、そしてラボを担当した青木彬さんとSDS統括の宮本武典さんです。

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当日の発表を少しご紹介します。今井さつきさん(東京藝術大学大学院)の発表は東京の街にとけこむ企画でした。たとえばうどん屋さんのうどんをこねたり伸ばしたりする動きを「遊び」で表現してみたり。東京のお店や場所の所作やしぐさをもとに、遊びを考案して楽しんでみようという内容です。

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それに対して中島伸さんからは「神田の旦那たちは面白いじゃねえかってなるかもしれない。そこまで言ってもらえると良い。」「地域のひとたちにとって、ただお祭り的/イベント的なだけではなく、参加したいと思ってもらえる価値づけがあると素晴らしい。」という意見が出ました。

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ほかにも金澤碧さん(東京都市大学)の発表。「告解-水に流しましょ-」というタイトルからして、なんだろう?と興味をそそりますが、こちらはトイレの個室に隣同士で入って顔の見えない状態で悩みを話し合うという企画です。

こちらに対しては宍戸さんから「言えないことを誰かに言う場所をつくるのは面白い。シチュエーションがトイレである必然性については金澤さんが詰めていっていいことだと思う。金澤さんがやっていきたいことは、悩みの相談者たちの言葉を拾うことなのか、言葉を発生させることなのか。そのあたりを考えてみると良いかもしれない。」と意見が出ました。

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ほかにも東京ビエンナーレのボランティアを体感したSDSメンバーならではの企画も多数発表されました。今回、コロナ禍も重なって展開が難しかった「食」を楽しめるアートプロジェクト、地方の芸術祭に比べて密集したエリアで実施しているからこそレンタサイクルで芸術を巡る企画など。

また、自身の家族にまつわる企画が複数提案され、精神疾患の経験をもとにしたアイデアも発表されるなど、自分の感覚や実感をもとにしたプロジェクトが多かったのも特徴的でした。

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発表への総括としては以下のコメントがありました。

「皆さんのプレゼンでは、何をやるのか、どこでやるのかという内容が先に来ているけど、なぜやるのかの答えを聞きたい。そこの部分がなるほどと思えると、アプローチの方法は一本じゃないから他のアプローチも生まれてくる。」

「自分のプロジェクトに関わるとどんな未来が待っている?どんな良さがある?ということを伝えないといけない。」

「自分の経験を大事にしている企画が良いなと思う。どうしてやりたいか、個人を掘っていくと社会的課題へつながる。」

発表会のしめくくりには各登壇者からメンバーへお言葉をいただきました。

伊藤達矢さん
「発表が軽やかだった。軽やかさを失わないでほしい。本気でやっていくとお金のことどうしようとか、いろいろ問題は出てくるけど、最初に
思い至った時の軽やかさが武器になる。」
中島伸さん
「アートプロジェクトを始めるときに、地元の人に第一声なんて言うか。地域での企画の受け入れられ方がイメージできているか。そのあたりがプロジェクトの最初のとっかかりになる。コンセプトワードをいきなり地域に持って行ったらハテナになるので、そういう部分もぜひ考えてほしい。」
宍戸遊美さん
「ビエンナーレ全体が困難な時期でも、ソーシャルダイブ・スタディーズは止まらずに集まり続けてくれていた。お疲れさまでした。
実際に地域で企画をやるとなると、場との関わりや交渉にも苦労する。あるいは、場所と作家が出会った時の作家の進み方も場所によって変わる。東京のなかでやることの難しさもあるけど、チャレンジしてほしい。」
青木彬さん
「最終発表に至るまで、みんないろんなアイデアを行ったり来たりして、ソーシャルダイブ・ラボという時間のないなかでのプログラム立案だったけど、今日の発表でそれぞれが使っていた自分の言葉を街に飛び込むときには大切にしてほしい。」
宮本武典さん
「こういう場に来ることも勇気がいる。普段の仕事や学校のなかで23回も来る大変な苦労があったと思う。振り返ってみると、参加する前とした後では変わっているはず。皆さんとともに、こういう場自体が成立するということを成し遂げられた。」


以上でソーシャルダイブ・スタディーズは修了です。今回の発表を経て、具体的な実践へ向かうひともいれば、そうではないひともいます。それぞれの立場からこれからもアートと街に関わっていくのだと思います。

こちらのnoteでは、4か月におよんだSDSの一端をご紹介してきましたが、参加者一人ひとりにとってはこのnoteが更新される間にこそ、(ラボの企画を考えたり、ビエンナーレのボランティアとして会場スタッフで汗を流したり)街とアートの関わりを模索し続ける時間がありました。

そういったnoteで紹介しきれないSDSの濃度は、参加したひとたちの実感として残っていくと思います。noteをご覧いただいたみなさま、最後までありがとうございました。

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