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SDSノート_06「学環創出フォーラム2」

こんにちは。ソーシャルダイブ・スタディーズ(以下 SDS)、コーディネーターの工藤大貴です。前回までのSDSについては下記をご覧ください▼
第6回レクチャーとなる7月3日(土)は、髙木紀久子さん(東京大学大学院特任助教)をゲストに迎え、学環創出フォーラムの2回目をおこないました。

学環創出フォーラム初回はこちらからご覧ください。

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▲メイントーカーの髙木紀久子さん

髙木先生からは、アーティストの創作活動プロセスの研究についてお話をいただきました。SDSメンバーからは時間内におさまらないほど質問の手が上がり、学問と表現と地域をつなぐ学環創出フォーラムの大きな可能性が感じられる時間となりました。

今回も、SDS第6回レクチャーを聴講されたメンバーにその様子をレポートしてもらいます。それではぜひご覧ください▼


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SDSメンバーの中島静代です。普段は私立高校のスクールカウンセラーをしています。また参加者が輪になって打楽器の即興演奏を行い一体感をつくる「ドラムサークル」の初心者ファシリテーターでもあります。

いずれ、心理とドラムサークルを統合した活動をコミュニティで始めたいと考えています。SDSに参加したのは、この活動にアート的思考を取り入れたいと思ったからですが、実はアートや芸術祭が大好きで、アートの世界に飛び込んでみたかったというのが本音です。

髙木紀久子先生のお話では、まず、認知心理学からみたアーティストの創造性研究の背景には、切実な社会的なニーズがあるという点に非常に興味を持ちました。

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確かに歴史の中で文明を発展させてきたのは、まさに創造性であり、特に現代のようにテクノロジーが発展した社会においては、イノベーションやインスピレーションといった創造的思考が求められているというのも納得です。テクノロジーとアートが、実は親和性が高いというのがおもしろいと思いました。

ただ、私のような臨床心理学の人間からすると、アーティストの心理というと、精神分析的な観点から、創造性の源泉をその深層意識のなかに探求していきたくなりますが(笑)・・・。

今回のレクチャーでは、アーティストの芸術創造のプロセスにおける、こころの働きを追体験するという貴重な経験ができました。その中で印象に残ったのは、やはり、熟達したアーティストが自分自身のコントロールを外すために、「驚き」「違和感」「偶然の出会い」といったプリミティブな感覚を生かしているという点でした。この開かれた感受性こそがコンセプト生成の肝であると感じるとともに、一方で、そこに至るまでの膨大な準備や試行錯誤も知り、改めてアーティストやアート作品へのリスペクトが深まりました。

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SDSメンバーの永島悠伊です。東京芸術大学の壁画第一研究室に所属しており、普段は絵画を制作しています。SDSでは地域社会に向けてアートプロジェクトを展開するために必須の知識やSDS参加者と協働し、ひらめきを得られることに期待して参加しています。

今回、髙木先生の授業をお聞きし、改めて自分自身の制作中の思考過程やSDSで学んだことについて考えさせられました。

総括で髙木先生は「ずらし」「類似思考」「予期せぬ驚き」、これらを繰り返しながら作品コンセプトは漸進的に展開していくとお話されていましたが、自分自身の制作プロセスにも非常によく当てはまります。

とくに「ずらし」は先日、意識的に制作に取り入れたばかりで驚きました。
また創造のプロセスを解明することで創造の力や恩恵を多くの人にもたらすこと、誰もが芸術家であることとは、先の見通しが立たない現代において個人が考える力を養い、困難を乗り越えるために必須だと私も考えます。

必要以上な“芸術家”の神聖視は特権的で、創造の恩恵を広く社会に還元できず、作家にとってもマイナスとなるのではないでしょうか。東京ビエンナーレなど地域住民と行うアートプロジェクトは作家に対する神聖視や人ごとであるという考え方を打破する素晴らしい機会であると同時に溝をさらに深めてしまう恐れもあり、参加者全体が開催地域に対して十分に向き合う必要があると改めて感じました。

この授業でたくさんの気づきがあり、特に現在活躍されてる作家さんの詳細な制作プロセスを知り、自分自身と重ね合わせてみることができたのは大変勉強になりました。今後も本日学んだことを積極的に自分の制作に取り入れていきたいと思います。ありがとうございました。

第6回レクチャーの記録はここまでとなります。SDSはビエンナーレ開催期間、週に2回の実施となります。次の公開は「銭湯山車」チームのアーティストトークと川田十夢さんレクチャーの記録となります。それでは、またSDSノートにてお会いしましょう。

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