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自信がないなんて、ばっかばかしい。

私が、私みたいな友達絶対ほしくないな、と思う理由は、私が困りもんだからである。

表向きには、私は元気だ。いや、別に内面も元気だし、声がハキハキしているのはから元気じゃなくて本物だし、多分ネガティヴ思考でもない。世の中を、ネガティヴ思考とポジティブ思考に無理くり分けるのなら、私はポジティブだと思う。失敗もそんなに恐れていない。恋愛にしたって、全然もじもじするタイプじゃない。比較的、「はいはい次々」って方だった。

ただ、私には自信がない。なんていうんだろう。達成感と言った方が近いような気もする。なにをしても、なにを頑張っても、自分をスゴイと思えないのだ。スゴイね、頑張ったね、って言ってもらえても、笑顔になれない。照れじゃない。思えないから笑えないのである。

今年に入って、2月に1冊、10月に2冊、漫画を出させてもらった。これはスゴイ。普通スゴイことだ。これが友人の話だったら興奮しているし、他人の話だったら嫉妬する。自分の話だったら(自分の話なんだけど)、めちゃくちゃ感謝して、歓喜する。はずが、私は歓喜だけ取りこぼした。

自分が頑張ったからだと、ぜんぜん思えない。「出版社の方々、担当編集さん、書店員さん、支えてくれる家族、友人、みなさんのおかげです。ありがとう、本当にありがとうございます」は、毎日思っている。そこには1点の曇りもない。ただ、自分のことは1度も褒める気にならない。

私は、本さえ出れば、ちょっとは自信が湧くだろうと考えていた。でも、1冊目が出て、自信がバスっと減ったのがわかった。代わりに、不安がボッコリと現れた。「幻かもしれない」という不安だ。「勘違いかもしれない」とも言う。サイン会で80人ファンの方に来ていただいても、トークイベントに60人お越しいただいても、「勘違いかもしれない」と思っていた。「勘違いかもしれない。そしてみんなも、勘違いしてるのかもしれない」という、すごく失礼な不安だ。好きという気持ちを信じられないなんて、本当に失礼で、誰にも口にできなかった。

5冊出そう、と思った。5冊出せたら、自信も出るだろうから、5冊まではがむしゃらにやろう。そう決めて、がむしゃらに描いた。そして10月に、なんと2冊同時に出してもらえた。すごく宣伝も打っていただけた。出版社の方から、心のこもった手紙ももらった。担当さんは、少しも疲れた顔を見せずに接し続けて下さった。めちゃくちゃ忙しい毎日だろうに。すごく、すごく感謝した。こんなに良くして下さって、不満なんて当然なかった。でも、またしても、バスバスバスンっと自信が減ったのがわかった。

そんなことは、口が裂けても言えない。皆さん、それが仕事にせよ、おおがきなこを輝かせようと、こんなに試行錯誤しているのだ。それなのに、虚しいなんて絶対に言えない。虚しさの正体がなんなのかもわからないのに。

多分、多分だけど、私は、描くって活動において、喜びを自信にできない。何でもかんでも自信ないわけじゃないですよ。私は別に、自分の人生は好きですよ。自分のことも好き。出っ歯だけど顔も好きだ。そりゃあ芸能人とかとは並びたくないけど、髪型も服も顔つきも、「良いですね」って言われたら「うん、良いでしょ」って言える。褒められて謙遜などしない。その明るさが、‘’おおがきなこ‘’に持ち込めないのである。

これは面倒だ。まず、一緒に暮らす夫に申し訳ない。‘’妻‘’は明るいんだけど、‘’おおがきなこ‘’は暗いんだから。すっごく気を使うだろう。友人にも申し訳ない。友としての私は明るいのに、SNSや作品内から感じ取る‘’おおがきなこ‘’は、365日心が曇っている。これはもう、裏表が激しいと思われても仕方のない困りもんである。我儘もんだ。

‘’おおがきなこ‘’は、なにを達成したら、自分を褒めてやれるんだろうか。ひとまず、「5冊出せたら自信出るだろう」節は危ないからやめた。実は来年、4冊目の刊行が決定している。私はきっと、それで自信を増やすことはできない。それが自己嫌悪になる前に、刊行と自信回復をセットにすることをやめる。

‘’おおがきなこ‘’は、何もんになりたいんだろうか。自分のことなのに、とても遠い。ばっかばかしい。心底、ばっかばかしい。こんなに幸せなのに、何を探しているんだろう。ばかばかしくて苦しい。自分を好きと言ってくれる人たちに、申し訳ない。‘’おおがきなこ‘’は‘’おおがきなこ‘’が好きと言えず、365日心が曇っていて、申し訳ない。

こういうことをTwitterで中途半端に書くと、かまってちゃんぽくなってしまうので、今日からnoteで書こうと思う。これ、伝わってんのかな。ちゃんと書けてんのかな。意味のわかんない、贅沢な愚痴になってやしないかな。いや、なってるなこれは。

それでもここに、自分の気持ちを置いていく。それが私にできる、‘’おおがきなこ‘’への優しい行為だ。


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