最低賃金と介護報酬。介護業界が価格転換するには。
このニュース。
皆さんの生活に直結する話題だけに、どのニュースサイトでもコメントが多いです。
しかし、感じ方は人によって全然違うようです。
最低賃金で働く人々のコメント
例えば、最低賃金で働く方々は素直に喜んでいる。
もしくは足りないからもっと上げろ!というコメントが多いです。
ただ、「最低賃金の前に年収の壁をどうにかせい」というコメントも多々見受けられました。年収の壁を意識して、働く時間を制限している方々には、単純に喜べない内容のようです。
経営者のコメント
経営者のコメントは全体的に否定的です。
シンプルに書くと経費増ですからね。
パートが多い職場の場合、働く時間をセーブする人が増える可能性もあり、人手不足に陥る可能性もあるようです。
また、厚生福利費が年々上がっていますので、経費増に頭を悩ませている経営者が多いのが伺えます。
ただ、全体的に給与が高い会社は、そこまで影響がないようで、同じ経営者といっても、現状が異なると、別の話になるようです。
賃上げが厳しい介護業界
さて、立場によってとらえ方が異なる今回の最低賃金UPですが、介護業界にいる私としては、どうしたものかと頭を悩ませています。
こういうコメントが、ニュースサイトに上がっていました。
私も同感で、介護業界はとても辛い状況にあると認識しています。
しかしながら、それに対するコメントが冷ややかと言いますか、理解を得られていなかったので、少し介護業界について書かせて頂きます。
介護業界の収益構造
まず、介護業界がどのように収入を得ているかというと、大部分は「サービスごとに厚生労働大臣が定める基準により算定された介護報酬」と呼ばれるもので賄っています。
簡単に言うと「何分働いたら幾ら」と厚生労働省が定めているんですね。
介護業界が価格転換するには
サービス単価を厚生労働省が定めている以上、厚生労働省が介護報酬を上げなければ、介護業界の収益は上がりません。
しかし介護報酬は介護保険料と公費で賄われている為、なかなか上がりません。
その結果、2023年7月28日現在、最低賃金は上げるけれども、介護報酬をどうするかは検討に検討を重ねますという感じになっています。
介護は「何分やったら幾ら」の世界
さて、介護報酬を簡単に上げる訳にはいかない。
お次に出る言葉は決まって、効率化・つまりは生産性をあげよという声です。
IT・ロボットなどで効率化すれば、手早くケアすることが可能になる。
そうすれば、60分で2人しかケアできなかったのが、60分で3人ケアできるようになり、収益が増加。
と言いたいところですが、そうならないのが、介護報酬です。
介護報酬は先ほど書いた通り「何分やったら幾ら」という報酬体系でなので、60分で2人ケアしようが3人ケアしようが、介護報酬は変わらない。
効率化=報酬増とならないのが介護・福祉の世界なんです。
介護報酬はどうなるのか?
つまるところ、「サービスごとに厚生労働大臣が定める基準により算定された介護報酬」が変わらなければ、収益の増加が見込めない訳ですが、介護報酬は今後どうなるのか?
厚生労働省で議論されています。
異次元の少子化対策の影で忘れ去られていますが、日本は高齢化社会でもあります。
最低賃金を上げるのを決定したのだから、介護報酬についても責任をもって決めて頂きたいと、介護業界に身を置く者としては願っています。
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