真実を写すカメラなんて存在しない
こんにちは、路上写真家のTokyo Street PIX/TPIXです。
今日は、カメラが決して「真実を写す」ための装置ではないということについて考えたいと思います。
「写真」とは真実を写すという意味があると思われていますが、決してそうではありません。
防犯カメラの画像は真実なのか、あなたのカメラで撮影した「それ」は、果たして真実を写しているでしょうか。
最も簡単に真実を写していないことを試す方法はいくつかありますが、あなたのカメラで同じ被写体に対して、F値を解放にして撮影した写真と、絞った写真を比べてみれば簡単に同じでないことが証明できます。
手前の被写体にピントが合っているとして、背景がボケている写真と、パンフォーカスの写真でどちらが「真実」を写し出しているでしょうか?
絞りをどうするかはあなたが決めることができますから、主観的な視点といえますが、カメラ本体はあくまで指示通り客観的に光を捉えています。
また、カメラには撮影モードが用意されており、同じ風景を撮っても、色味や明暗などを調節することができます。またRAWで撮影した場合でも、現像またはレタッチで大きく加工することも可能です。
ここまで来ると、1枚の作品としての世界観が優先され、それが真実であるかどうかとは別次元の話となってしまいますね。
一般的な写真は1秒以下の大変短い時間の一瞬の切り取りですが、そのフレームの外側の世界、またはその1秒前、1秒後のことは表現しきれません。
その写真に、表現者が勝手な意味づけをした場合、本来とは違う意味で伝えることも可能です。そこで「真実」が歪められる可能性は大いにあり得ます。
写真が撮られて、多くのプロセスを経て他人の目に届きます。その間に「真実」のようであって “「真実でない」という真実” に変換されているかもしれません。
また、他人がその写真を見た時、その画像からインスパイアされて自分の過去を呼び起こしたり、疑似体験したりして感情が湧き起こることがありますが、それが真実なのか否かは関係なく、表現者の想いなどはもう切断され、最終的には受け手に委ねられるのも、写真の面白さだと思います。
今回紹介したのはあくまで一例に過ぎませんが、カメラと写真の関係、撮影者と被写体の関係、撮影者と受け手の関係など、色々な視点から物事を見ると、楽しくて夜も眠れなくなるでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。またお会いしましょう。路上写真家のTokyo Street PIX/TPIXでした。
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