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オープンデータ、ホントに使えるの?専門家3人が現場から伝えるその魅力とは

都知事杯オープンデータ・ハッカソン2023のプレイベント2回目となる今回は、総務省地域情報化アドバイザー石塚さん、東京都萩田さん、港区日野さんという行政やオープンデータのスペシャリスト3人にお集まりいただきました。皆さんからは、オープンデータを使ったサービスや政策の現場についてのリアリティ溢れるお話をいただきました。特に、港区日野さんからは名言が連発!イベントを見逃した方は必見です。

登壇者の皆さん(左から)石塚さん、萩田さん、日野さん

オープンデータの基礎知識とその魅力

オープンデータという言葉をはじめて聞く方も多いのではないでしょうか?総務省地域情報化アドバイザーの石塚さんに事例を交えながら、解説していただきました。
オープンデータとは、「機械判読に適したデータ形式で、二次利用が可能な利用ルールで公開されたデータ」です。データは、誰がどれぐらいその場所を歩いているのか、どのようなイベントが行われているのか、どこに飲食店があるなど、生活のあらゆる場面で使われていると石塚さんは指摘します。行政が持っているデータも元々は税金で作っているもので、基本的な社会の公共財という概念の中でオープンデータはヨーロッパやアメリカから広がってきたそうです。日本でも行政の効率化や透明性向上、民間の利活用による経済活性化といった理由で推進されています。
東京都のオープンデータカタログサイトを見た石塚さんは約5,500件というデータセット数に驚くとともに、多様なデータがあることやAPIが用意されていることも高く評価したと語ります。特に石塚さんの「萌え」ポイントは写真。戦闘機の残骸が散らばる成増飛行場の写真などを見ていたら何時間も溶かしてしまったそう。ぜひ皆さんもお気に入りのオープンデータを見つけてください!

総務省地域情報化アドバイザーの石塚さん

データ公開の一歩先に〜東京都観光データカタログ

東京都デジタルサービス局戦略部デジタルシフト推進担当課長の萩田さんからは東京都観光データカタログをご紹介いただきました。
東京都は元々観光情報をCSVの形式でオープンデータとして公開していましたが、単に数値として公開しているだけでは使う人は限られていました。そこで、産業労働局がデータをより多くの都民に届けるためにはどうしたらいいかを考えて生まれたのが観光データカタログだそうです。
観光データカタログは直感的に理解しやすいダッシュボードになっています。さらに、ユーザーが自分の見たい切り口で分析するために、パラメータを操作できるようになっているのが特徴です。今後もユーザーの声を聞きながらサービスを改善していきたいとのことです。
その他にも萩田さんが労働産業局に協力して製作した、デジタルマップを活用したスタンプラリーは大好評だったそう。この企画を通じてスポット別にどのよう行動しているのか、どのような場所が人気なのか、といったデータが集まり、今後の活用も期待されます。

東京都デジタルサービス局戦略部デジタルシフト推進担当課長の萩田さん

オープンデータで三方ヨシ!の施策立案と効果分析を

最後の登壇者は港区みなと保健所保健予防課の日野さんです。日野さんから紹介いただいたのは港区役所内でもスマッシュヒットや大ヒットと評価が高い帯状疱疹ワクチン助成事業です。
帯状疱疹ワクチンを求める声が上がるようになってきたため、日野さんは区長に帯状疱疹ワクチン助成事業の提案をしました。その際に、厚生労働省のオープンデータを分析資料や費用対効果評価を活用したそうです。そこで区長からは急いで補正予算で進めるように指示が出て、たった3日で補正予算を作ったそうです。このエピソードには横で聞いていた東京都職員もびっくり。
日野さんは、帯状疱疹にかかる医療費が日本中で年間260億円もかかると聞き、調べていったところ、厚生労働省が公開しているレセプト医療情報にたどり着きました。そこには、日本ではどれだけ帯状疱疹の原因となる水痘ウイルスの感染者がいて、どれだけ帯状疱疹の発症者がいるのか、といったデータがありました。さらに調べると医療経済評価研究における分析手法に関するガイドラインや、その手法を使ってオープンデータからどのように医療費を抑制できるかに関する研究、予防接種費用対効果評価に関する研究も全部公開されていたそうです。
そこで、ガイドラインに沿った計算をしたところ、港区の医療費が国民保険だけで年間2億円、区民全体では推定で5億円以上かかっていると算出しました。それに対して必要な予算は毎年1億6500万円!区長が急いで進めるのも納得ですね。
こうして施策立案でオープンデータを活用した日野さんは効果分析もしていきたいと意気込みます。そしてそれをオープンデータにすることで、住民・行政・医療機関にとって三方ヨシ!で幸せになると力強く語っていただきました。

港区みなと保健所保健予防課の日野さん

データは行政のものではなく、住民個人個人のもの

本イベントのハイライトとなるパネルトークです。
最初にモデレーターの石塚さんが民間から行政に転職した東京都荻田さんにそのやりがいを聞きました。萩田さんが魅力を感じたのは日本を代表する都市である東京都の規模感と多様性。1つだけではなく、複数の区市町村単位のデータ活用を考え、来訪者がどこから来てどうしたら回遊がもっと促進されるのかを考えることができます。それはデータも同じでこの大量かつ多様なデータからハッカソンで様々なサービスやアイデアが生まれるのではないかと期待をしているとのことでした。
続いて、オープンデータの重要性について港区日野さんに質問。日野さんは、大学など医療機関がオープンデータに基づいて治療方法の開発をしようとしていることや、オープンデータが病気を予防して医療費を下げるための取り組みに使われてることを説明。
レセプトデータは自分のもの、自分のデータが入っているから、1人のデータが、みんなのために使われていることをすごく実感していると語ります。そして、オープンデータは行政が持っている情報ではなく、正しく言えば住民1人1人が持っている「自分の情報」が入っている情報だ、と強調し、参加者の強い共感を呼びました。

アーカイブ動画を公開しています

イベントレポートでは、お届けしきれない内容もありますので、ぜひこちらの動画をご覧ください!

今後の都知事杯オープンデータ・ハッカソンの予定

全4回プレイベントですが、残り1回開催となりました。オープンデータ初心者から上級者まで、エンジニアの方もそれ以外の方も楽しめる内容なので、ぜひご参加ください!

プレイベントの最新情報

下記ウェブサイトを、ご確認ください。
https://odhackathon.metro.tokyo.lg.jp/pre-event

キックオフイベントについて

エントリー申し込み者のみが会場参加・ライブ視聴可能となる、キックオフイベントが8月2日に開催されます。ゲストにTHE GUILDの深津貴之さんとウィズグループ奥田浩美さんのお二人をお招きします!

下記ウェブサイトを、ご確認ください。
https://odhackathon.metro.tokyo.lg.jp/team-building

都知事杯オープンデータ・ハッカソン 2023 キックオフイベント

エントリー締め切りについて

エントリー締め切りは7月21日までとなっています。
エントリー後はすぐにSlackに入ることが可能です。エントリーをお待ちしています!