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第5回 新型コロナへの気持ちの変化-都民アンケート結果から(5)

こんにちは。東京iCDCリスコミチームです。

全5回にわたり、都民アンケート調査の結果をお届けしています。結果報告の第1回では現在の感染防止対策の実態について、第2回では今後の感染防止対策に関する意識について、第3回ではマスク着用の考え方について、第4回では医療従事者に負担をかけないための思いについて述べました。
第5回では、都民の皆さんの新型コロナへの思いについて見てみましょう。

新型コロナと人類が出会って丸3年間が過ぎ、感染症法上の位置づけが「5類」に移行するにあたって、都民のみなさんは、新型コロナに対して、どのような思いをもっているのでしょうか。昨年3月に行った調査結果と比べてみましょう。

まず、今後の感染拡大や収束について、都民のみなさんはどのように考えているのでしょうか。

①今後について「感染が再び拡大する不安がある」に「あてはまる/ややあてはまる」と回答した方の割合は約70 %と、昨年3月の調査結果と比べて約6 %増えていました。性別でみると男性より女性のほうが、年代別では年代が上昇するほど、不安を感じている結果となりました。

②「コロナ感染の流行がこれ以上長引くと、経済や教育など社会全体にさらに大きなダメージがあると思うと考える方は68.5 %で、昨年より約15 %減っていました。いずれも、性別でみると男性より女性のほうが、年代別では年代が上昇するほど、社会全体へのダメージを懸念する結果となっていました。

③これまで自治体は新型コロナへの対応に尽力してきましたが、「保健所など自治体の担当機関への負担が続いていることが心配だ」と考える方は、65.5 %でした。こちらも、性別でみると男性より女性のほうが、年代別では年代が上昇するほど、自治体職員の負担を懸念する割合が高い結果となっていました。

④長引く新型コロナ対策については、「コロナがいつ収束するか、見通しもつかない」と考える方の割合は58.7 %ですが、昨年より約15 %減少していました。性別でみると男性より女性のほうが、年代別では年代が上昇するほど、収束の見通しがつかないと考える傾向が確認できました。反対に、「とくに特別な対策をとらなくても、コロナはそのうち収束すると思う」と考える方の割合は約25 %で、昨年とほぼ同じでした。性別でみると逆の傾向がみられ、女性より男性のほうが、年代別では年代が若いほど、そのうち収束すると考える傾向が確認できました。

「ワクチンの接種が普及すればコロナ流行は収束すると思う」と考える方は28.3 %で、昨年より約11 %増えていました。ワクチン普及による収束を期待する声は、性別でみると男性より女性のほうが高い傾向にありましたが、年代による差はみられませんでした。

今後も流行することが予想され、収束が見通せていないものの、対策が徐々に緩和されたり、ワクチン接種が進んできたこともあって、社会全体に与える影響への不安は減ってきているのかもしれません。

それでは、ご自分と新型コロナ感染の関係についてはどのように考えているのでしょうか。

①「自分はコロナに感染しないと思う」と考える方の割合は、前回に比べて約5 %減少し、17.3 %でした。ご自分や周囲の方が感染する事例が増えたことに関連しているのかもしれません。性別でみると女性より男性のほうが自分はコロナに感染しないと回答する割合が高い傾向にありました。年代別では20代が最も高く、40代以上では差がみられませんでした。

②新型コロナの流行が長引く中で、感染をやむを得ないと考える気持ちは広がっているようで、「感染対策をしていない人は、非難されても仕方がない」(37.2 %)と考える人の割合は、昨年3月の調査結果から約18%減少していました。性別でみると男性より女性の割合がわずかに高く、年代別では70代の回答者は他の世代よりも高い割合となっていました。また、「コロナに感染するのは、その人の注意や対策が足りないからだと思う」(20.9 %)と考える人も、わずかに減少していました。性別で見ると、男性より女性のほうが高く、年代別での差は見られませんでした。

③「コロナかと思っても受診したくない」(21.2 %)、「周囲に感染者がでても、検査を受けたくない」(20.4 %)に「あてはまる/ややあてはまる」と回答された方は約20 %で、昨年3月の調査結果からは5%程度増加していました。性別でみると女性より男性のほうが多く、年代別では若い世代がそのように考える傾向でした。

④感染した後の症状については、「自分は死ぬことはないと思う」(35.3%)、「自分は重症化しないと思う」(29.5%)に「あてはまる/ややあてはまる」と回答された方は、昨年3月の調査結果とほぼ同一の割合でした。性別でみると女性より男性のほうがわずかに多い程度でしたが、顕著な年代差がみられ、年代が若いほどそのように回答する割合が高い結果となりました。

この3年間の経験を踏まえて、都民のみなさんの多くは、「5類」に移行した後も感染拡大がありうることを予想しており、感染することはやむを得ないと受け入れつつ、感染しても死なない・重症化しないと考える人が少しずつ増える一方、感染した場合に検査や受診をためらう人も増えてきたことがわかります。その背景には、医療機関への配慮の気持ちもあるのかもしれません。

ここまでをまとめると、今回の都民アンケート調査の結果からは、

○ 今後の感染拡大の不安、収束しないことよる社会全体へのダメージを約7割の回答者が感じており、収束の道のりが見通せないと感じている方が多いこと。

〇 ご自分が感染する可能性、ほかの人が感染する可能性も受け入れつつあり、感染する理由を個人の責任とする見方が減ってきていること

○ 感染しても重症化しない、死なないという確信をもつ方や、コロナかなと思っても検査を受けない、受診したくないという考えを持つ方は、少しずつ増えてきていること。こうした考え方には年代による差が顕著であること

が分かりました。

以上、全5回にわたり、都民アンケートの結果をお示ししました。

今回もまた、都民のみなさんの感染防止対策の実際、またワクチンや感染状況への意識等についての理解を深めることができました。この結果は、今後の情報発信や体制整備に生かしていきたいと思います。

ご協力くださった回答者のみなさまに感謝いたします。

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