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第1回 流行から3年。感染防止対策、どうしていますか? -都民アンケート結果から(1)

こんにちは。東京iCDCリスコミチームです。

冬に到来した新型コロナウイルス感染症の第8波がようやく落ち着き、久しぶりに大規模な流行のない春を迎えています。

新型コロナの感染症法上の位置づけは、2023年5月8日に、季節性インフルエンザと同じ「5類」に変更されることになりました。新型コロナがなくなるわけではありませんが、今後の感染防止対策には、個人の判断に委ねられるものが増えるようになります。
都民のみなさんは今後の感染防止対策などについて、どのように考えているのでしょうか。リスコミチームでは都民アンケート調査を実施しました。

調査の概要は次の図のとおりです。調査対象は東京都在住の20代~70代の都民とし、年齢構成を東京都の人口比率に合わせた割当抽出を行いました。調査期間は2023年2月15日〜同年同月21日、有効回収票数は10,429です。

アンケートを行った時点では、「5類」になることは決定していたものの、詳しい対策は明らかになっていませんでした。このアンケートの実施中に公表された、2 月16 日のモニタリング項目の分析資料によれば、この時点での感染状況・医療提供体制の分析の総括は、それぞれ以下のとおりでした。

■感染状況:「黄色」(赤・橙・黄・緑からなる4段階のうえから3番目)。総括コメント「感染状況の推移に注意が必要である」(報告された新規陽性者数の7日間平均は、昨年6月以来となる2,000人/日を下回る水準まで大きく減少した。今週先週比も100%を下回って推移しており、感染状況は改善傾向にあるが、引き続きその推移に注意が必要である。)

■医療提供体制:「黄色」(4段階のうえから3番目)。
総括コメント「通常の医療との両立が可能な状況である」(入院患者数は、5週間連続して減少している。救急医療を含む通常医療の対応などへの負荷が続いているものの、病床の柔軟な活用により、通常医療との両立が可能となりつつある。)

つまり、「第8波の渦中にありつつも、山は越えて回復傾向にあった」時期に行われたアンケートの回答であることに留意して、以下をお読み下さい。

ではアンケートの結果です。

現時点での感染防止対策の取組状況について質問したところ、下の図のような回答結果となりました。
参考のため、1年前の同じ時期に実施した結果も併せて示しています。

新型コロナの流行から約3年が経過し、5類への移行が示された後の2023年2月時点において、多くの都民のみなさんは、少し警戒を解きつつあるものの、感染防止対策に気をつけていることが伺えます。

①    「マスクを着用する」では、「いつも/まあ気をつけている」と回答した割合は約87 %であり、昨年の同時期と比べると10.1 %減少していました。「いつも気をつけている」の割合は約20 %減少しており、「まあ気を付けている」の割合が約13 %増えていました。

②    「部屋の換気」の項目では、「いつも/まあ気をつけている」と回答した割合は約70%と昨年3月の調査結果と同程度でした。

③    「3つの密を避ける」については、「いつも/まあ気をつけている」の割合は約70%となっており、昨年3月の調査結果と比べると、15.5%減少していました。「いつも気をつけている」の割合は昨年3月の調査結果と比べると約15%減少していました。

④    「体調不良のときの出勤や外出をひかえる」では、約75%が「いつも/まあ気をつけている」と回答していました。昨年3月の調査結果と比べると、「いつも気をつけている」の割合は昨年3月の調査結果と比べると23%減少し、「まあ気をつけている」が約8%増えていました。

感染防止対策に取り組む割合は、どの項目でも男性より女性のほうが高く、年代が上昇するほど高い傾向にありました。なかでも、「3つの密を避ける」や「体調不良のときの出勤や外出をひかえる」では、年代の差が顕著でした。

また、下の図から、テレワークを実践(調査実施時点)している人は約30%いることが分かります。これは昨年3月調査結果と同じ程度となっています。なお、「テレワークを実践できない仕事についている」、「現在、仕事をしていない」人をのぞいて、実践割合を算出した場合には約60%となります。
 
さらに、新型コロナウイルス感染症への備えについてもたずねました。東京都では感染した場合に備えて、必要な物品を用意しておくように呼びかけています。都民のみなさんはどのような物品を準備しているのでしょうか。
都民の皆さんが準備しているものは、多い順に「体温計」(67.6 %)、「市販の解熱鎮痛剤」(51.7 %)、「食料品」(44.9 %)となっていました。新型コロナに関わりなく、急な体調不良や災害に備えた意識のあらわれかもしれません。
一方で、新型コロナ対策に特化した「市販の新型コロナ抗原検査キット」を準備している人は25%でした。

性別でみると、いずれの項目も男性より女性のほうが準備していると回答した割合が高く、年代別では年代が上昇するほど準備していると回答した割合が傾向にありました。ただし、「市販の新型コロナ抗原検査キット」については、70代の回答者は準備している割合が最も低くなっていました。重症化リスクの高い高齢者が備えやすい環境づくりが望まれます。

ここまでの今回の都民アンケート調査の結果をまとめると、

○ 多くの都民は引き続き感染防止対策に取り組んでいるが、昨年3月調査と比べると、「部屋の換気」を除き、全体的に約2割程度、低下していること

〇 取り組みの低下は、「いつも気を付けている」割合の低下、「まあ気を付けている」割合の増加といった形で表れていること

〇 感染防止対策に取り組む割合は、どの項目でも男性より女性のほうが高く、年代が上昇するほど高い傾向にあること。しかし、検査キットの準備については70代の回答者の割合が最も低かったこと

が分かりました。

結果報告の第2回では今後の感染防止対策に関する意識について、第3回ではマスク着用の考え方について、第4回では医療従事者に負担をかけないための思いについて、第5回では新型コロナへの思いについて記載しています。ぜひご覧下さい。


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