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「コロナかも・・・?」受診しないのはなぜ?-都民アンケート結果から(3)

こんにちは。東京iCDCリスコミチームです。

3回にわたり、都民アンケート調査の結果をお届けしています。第1回では基本的な感染予防策の取組の実際について、第2回では新型コロナのワクチンに対する意識と知識について述べてきました。

感染流行が1年以上続き、医療現場の加重負担と通常医療へ影響は長期化しています。医療提供体制は無限ではありませんが、様々な努力と工夫のもとで医療提供体制は維持されています。今回は、その状況のなかでの、受診に関する都民の意識や経験について、調査結果を見ていきたいと思います。

下の図をご覧下さい。このグラフは、新型コロナウイルスの感染流行が長引くなかでの、受診に関する項目を含む、都民の意識や経験について質問した結果の一部です。

11_本_都民アンケート調査

医療体制の逼迫(ひっぱく)、変異株の影響は、7割以上が懸念しているという回答です。コロナ収束の見通しがつかないと感じているひとは6割以上で、それでも8割以上が「ひとりひとりが感染予防策をとることは決して無駄ではない」と考えています。とはいえ、今の自粛生活をこれ以上続けることに困難を感じている人も3割近くいます。

ここで受診に関する項目に焦点を絞りましょう。
コロナかなと思っても受診を控えると回答した人が14.8 %います。また、持病やけがなどがあっても、コロナ感染が心配で受診を控えた経験は33.5 %、持病やけがなどコロナには関係のない体調不良があったとき、受診を拒否/後回しにされた経験は17.9 %にみられます。

これらの項目について、さらに詳しく見てみましょう。
コロナかな?と思ったときの受診控えについて、年代・性別の違い、また受診を控える理由はなにか、下の図をご覧下さい。

12_本_都民アンケート調査

「コロナかなと思っても受診しない」と答えたひとには、男女ともに若い世代の割合が高いことがわかりました。その理由としては、「すぐに検査してもらえるかどうか分からないから」、「検査で陽性が判明したら、ひとから批判や差別を受けるかもしれないから」と続きます。
実際には検査体制の強化は続いていますが、人々の間で、必要な時に迅速に検査を受けられないイメージが定着してしまった可能性があります。また、とても残念なのは、批判や差別を恐れて受診を控えるという声があることです。
検査や受診方法に関する最新の情報をこまめに提供するとともに、感染者への偏見や差別を許さないという強いメッセージや相談窓口の情報も示すことが大切です。

最後に、コロナ以外の体調不良についての受診を控えた/受診できなかった経験について、年代・性別で差があるかどうかも見てみましょう。下の図です。

13_本_都民アンケート調査

左側のグラフは、「持病やけがなどがあっても、コロナに感染することが心配で、受診をひかえたことがある」と回答した人を性別と年代でみたものです。顕著な年代差は見られませんが、コロナに感染する心配のあまり、持病やけがを我慢することを選ぶひとは、男性より女性に多く、40代の女性では4割を超えていました。
しかし、慢性的な病気の受診が低調になり、健康診断やがんなどの検診を受けないことによる、人々の健康面への影響が危惧されています。流行状況にかかわらず、必要な受診を勧める啓発が必要です。

右側のグラフは、「持病やけがなど、コロナには関係のない体調不良があったとき、受診を断られたり、後回しにされたことがある」と回答した人についてです。男女ともに、20代や30代のひとで経験者が多く、2割を超えています。この調査結果から詳しい理由はわかりませんが、流行が拡大し、通常の医療が制限されると、持病やけがの受診で我慢を強いられやすいのは若い世代である可能性があります。

ここまで、今回の都民アンケート調査の結果からは、

〇 コロナかと思っても受診を控える人の理由は、迅速に検査を受けられないと思っていることや、陽性になったときの批判や差別への恐れがあること
〇 コロナ感染を恐れた受診控えには、年代差はないが、男性より女性で目立つこと
〇 持病やけがなどでの受診拒否や後回しの経験は、男女とも若い世代に目立つこと

が分かりました。

以上、3回にわたり、都民アンケートの結果をお示ししました。
都民のみなさんの意識やくらしへの理解を深めることができました。この結果は、今後の情報発信や体制整備に生かしていきたいと思います。
ご協力くださった回答者のみなさんに感謝いたします。


※当初の「新型コロナと都民のくらし」のタイトルを、より内容を分かりやすく伝えるタイトルに変更しました。

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