事務事業は計画時点で事前評価すべき
事務事業の評価基準について先の記事で見てきました。
ところで、事務事業評価を公開している例は多々ありますが、事業実施後に実績まで含めて記載されている例しか見たことがありません。本来、PDCAのC(確認)ではなく、P(計画)時点で事前評価を行い、計画の適切性を吟味するべきです。この問題について検討していき、事務事業評価をどのように行い、結果をどう活用するかについて見ていきます。
事前評価の目的
例によって、総務省ガイドラインでは事前評価について記載されています。行政活動の採否、選択に利用することを想定しているわけです。
事務事業を採用して、予算化する事前に評価しておくことが総務省ガイドラインでは示されています。逆に言えば、事前評価を行わないのであればガイドラインと違う運用をしているのは誰の判断なのか、と説明責任を問いやすい状況にある訳です。
事前評価を採用し、優先順位を付けさせた上で予算総額の観点から採否をつけていきましょう。
担当委員会で事前評価を
東京都では、晴海ふ頭公園のモニュメントに批判が高まっています。
しかしながら、既に予算化されて承認されている以上、発注も含めた執行を止めることは、通常の行政事務の流れでは困難です。予算化される前に、新規事業も既存事業も事前に評価し採否を審議するには、議員が所属している個別委員会で担当範囲について全件を審議するのが望ましいです。評価基準ごとの評価結果とその根拠を、担当部署だけでなく委員会の所属議員にも求め、議員ごとの回答を評価資料に記載することで、どのように決まったのかが可視化され、議員と有権者のコミュニケーションも促進されます。
監査制度を機能させ、評価の実効性を高めよ
評価基準とタイミング、参加者について見てきました。機能する枠組みを提示できていると思いますが、実施方法が骨抜きになる懸念が残ります。杉並区のまちの湯ふれあい入浴事業で見たように、目的と手段を混同させた目的や効果を設定したり、東京都の若年被害女性等支援事業のように支出の確認を怠る例が見られます。最終的には、住民監査請求によって解決を図ることになりますが、機能する監査制度によって自主的な解決を期待したいところです。こちらは今後の検討課題としたいと思います。
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