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聖人君子の愛人2号

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生死感と浮遊感。 フィクションで不透明な答え。
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#SF

11.おれたちは続いていく

11.おれたちは続いていく

 小さな個室で、おれは一糸まとわぬだらしない自分の下半身を見つめて唾を飲みこんだ。
 これから始めるのは生殖活動。
 しかし興奮もなければ高揚もない。
 なぜならこれから待っているのはこの世でいちばんの快楽ではなく、この世でいちばんの不快であることを知っているからだ。
 ふと時計を見上げれば、個室の残り時間が迫っていた。

「ふんごおおおおお!!」

 獣のように慟哭して、おれは下半身に手をかけた

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