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雇用改革で人材不足を乗り超える!~瑞穂町CIO×都CIO座談会①~

東京都・区市町村CIOフォーラムにおける活動の一環として、都内各自治体CIO等へ「東京都・区市町村CIOフォーラムマガジン」を発行しております。今回から、マガジンに掲載した内容を一部公開します。
第13回は、「瑞穂町CIO×都CIO座談会」をお届けします!
※CIO(情報統括責任者):組織の情報戦略における最高責任者
※東京都・区市町村CIOフォーラム:都CIOと各区市町村のCIO(主に副首長)等が相互に密接な連携と協力を深め、電子自治体の構築や行政施策へのICT活用等の諸課題に関して、テクノロジー情報や導入ナレッジの共有化を通じて、都及び各区市町村のDX施策推進に寄与することを目的として設置

※この記事は全2回でお届けします。

令和3年11月9日に、「東京都・区市町村CIOフォーラム第13回座談会」として瑞穂町CIOと都CIOの座談会を実施しました。
参加者(敬称略)
瑞穂町CIO:瑞穂町副町長 栗原 裕之
都CIO:宮坂 学
都デジタルサービス局戦略部長:深井 稔
都デジタルサービス局戦略部戦略課長:小澤 洋之

IT人材の不足

人材の流動化を公務員の世界で

―まずは瑞穂町様より、DX取組についてご紹介よろしくお願いいたします。


瑞穂町CIO:栗原(以下「栗原」)
来年の4月からデジタル推進課という新しい組織を立ち上げるべく、組織改編を行う予定です。その準備として、今年10月から、現状組織の中で人員を加配しまして、どこから取り組んで行くか検討が始まったところであります。
まだまだデジタル構想や計画をお示しできる状況ではなく、それを進めるための準備が始まった、というのが現状です。小さな自治体で職員数も約220人という規模でございますので、どこから手を着けていけばいいのか難しく、手続きについても課・係ごとにシステム化されているところを横断的にデジタル化するのは現状難しいというのが率直なところです。
また、行政のデジタル化が住民に理解を得られないと、職員が楽をするためだけに多額の費用をかけると誤解されてしまうことも心配です。ですから、しっかりと推進計画の構想を立て、議会や住民に説明する必要があるため、それらを進める上で司令塔となる全体を俯瞰するアドバイザーのような人材が必要になると思っています。ただ、そのような人材が見つけられるか、来年度に向けて苦慮しているという状況です。

都CIO:宮坂(以下「宮坂」)
ありがとうございます。まず人材について悩みを抱えてらっしゃるのかと思いましたが、解決策やアイデア、都への要望など何かありますでしょうか。

栗原
要望になってしまうのですが、年単位で携わって瑞穂町のデジタル化に対してアドバイスくださるような方をご紹介いただければありがたいなと思います。ICTに関しては各企業の営業も絡んで来るので、人材を求めづらいのかなと思います。

宮坂
たとえば週に1回、月に数回の機会でも、年単位で皆さんとディスカッションをして色々な悩みを相談しながら一緒に考えていく人がいたらいいなという感じなのですかね。

栗原
こちらの実情などを含め、こういう形でざっくばらんにお話ししたいですね。

宮坂
大事だと思います。東京都も人材が一つの課題で、デジタル人材は民間も奪い合いの状況ですので苦労しています。まずは局を作り、これからやるのだという形を見せるのが大事だと思い、昨年4月にデジタルサービス局を作りました。また、私のような形で外からの就任、デジタルシフト推進担当課長という制度で民間から2~5年の間で、生涯キャリアの中で短期間行政に入って仕事をしたいという志を持った人の採用も行っています。さらには副業型の公務員制度も始めました。民間企業の多くが副業を認めていますので、副業先として都庁もどうですかと公募で始めましたら、高校生や大学生からも応募があり、ホームページの作成やプログラミングをしていただいています。
今までと同じように、公務員試験を受けなくてはいけないのでは雇いづらいので、我々も柔軟になっていかなければならないと思い、雇い方改革として民間の人を公務員が雇いやすくするようなことを行っています。

栗原
正に特定任期付きでお願いするのも良いと思っています。瑞穂町でも危機管理官に特定任期付職員として元自衛官の方に就いていただき、非常に防災関係が進んだと考えております。職員になるのですから、地元に愛着をもっていただいた上で、どうやって自分のスキルを活かせるか考えていただけますし、そのような人材はデジタルに限らず、色々な方面で広がっていくと思います。

 宮坂
ここは要研究なのですが、都庁で一旦採用するが、その中で瑞穂町など自分の故郷で仕事をしたい人がいたらマッチングをするのが良いのではないかと考えています。特定任期職が終わったら民間に戻る人がほとんどだと思うのですが、もうひと踏ん張り行政で働きたいという希望があればマッチングするなど、人材の流動化を公務員の世界で回していく工夫もアイデアとしてはあります。
実は世界の都市を見ると、デジタル人材を1000人、2000人単位で雇っている一方で、デジタルサービス局の職員はやっと200人くらいです。急激に採用人数を増やすことは難しいと思っているので、今いる職員の中からDXを推進したい人に対して研修をするのもありかと思っています。先日韓国の方から、韓国の公務員は年間100時間程度デジタルの研修をしていると聞きました。シンガポールも同程度実施しているとも言っておりました。それくらい徹底的にデジタルの勉強が出来る環境にして、職員もデジタルの知識を獲得できるようにしたいと思っていて、区市町村の皆さんと研修メニューを共同化してみるのも良いかと考えております。実際、一緒になってオンラインで勉強したりアプリを作ってみたりしたいといったニーズはあったりするのでしょうか。

栗原
研修のやり方は今副知事がおっしゃられた方法は今後の手だと思います。ただ、瑞穂町としては現実問題として人員が非常に制約されているので、まずは勉強のための時間を取る工夫を組織的に取り組む必要があります。ただ、職員が一定レベルスキルを上げていくことは重要と思いますので、研修などの学ぶ機会は今後しっかりと確保していきたいと思います。

前半はデジタル人材に関する意見交換の様子をお届けしました。後半もお楽しみに!

執筆者:山岸 玲司(デジタルサービス局戦略部戦略課)
編集:星野 惇(同上)

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