地域コミュニティはデジタルで活性化できるか？Vol.2~豊島区と東京都のチャレンジ~
東京都と区市町村が連携して進めている”デジタルデバイドの是正”に向けた自治体モデル事業について、モデル自治体の一つである豊島区の皆さんとコラボレーションして取り組んでいる”地域コミュニティ活性化支援”の結果をご紹介いたします。
前回までのお話
緊急事態宣言が明け、コロナ感染者数が比較的落ち着いていた10月、我々は豊島区第11地区区政連絡会委員にご意見をヒアリングすることから始めました。
前回の記事：地域コミュニティはデジタルで活性化できるか？
印象的だったのは、「来月から全員デジタルは無理」というご意見でした。デジタル化の利便性や効果はみなさん理解いただいている一方、急いでやることなのかという疑問や、高齢者が取り残されてしまうのではといった不安をかかえていらっしゃいました。
そこで、区政連絡会を段階的にオンライン化しつつ、LINEやTwitterなどのコミュニケーションツールを触ってみる講座を毎月実施してみることにしました。
2月までにやってきたこと
オンライン会議については、まずどんな感じなのか見てもらうというところから始めました。11月はスピーカーとプロジェクターでハウリングしたり、通信状況が安定せず画像が乱れるといった運営側の問題がありましたが、12月にそれらが解決するとオンライン会議でも十分コミュニケーションはとれるな、ということが実感として感じていただけたのではと思います。1月にはオンライン会議の操作体験会を実施しましたが、皆様楽しみながらどんどんいろんな操作を試され、我々が思っていた以上の吸収力で操作を習得されました。
また平行し、TwitterやLINEの使い方講座を開催しました。正直なところTwitterは利用シーンがあまりマッチせず（我々が町会内の情報共有に活用してほしいとやや一方的にテーマ設定してしまったと反省しております、、）1回で打ち切ったのですが、LINEはやはり皆さん普段から活用されているということから習得がはやく、応用編を実施したときにはアルバムの作り方など「こんな使い方もできたんだ」と大変興味をもっていただき、最後にはLINEPayの使い方にまで質問が及びました。こちらも、我々が思っていた以上の習得スピードでした。
コロナ感染者の急激な増加、「もう実行しちゃいましょう」
さて、1月までの間に第11地区区政連絡会委員の皆さんはかなりデジタルに慣れ親しんでいただきました。一方でこれまではずっと我々が対面で伴走する形でしたので、完全なオンライン開催に移行するにはまだ少し不安がありました。
しかしそこで1/21のまん延防止等重点措置。
対面で集まることのリスクを鑑み、他の地区の区政連絡会はどんどん中止となっていきました。第11地区はどうするか迷っていたそのとき、
「もう実行しちゃいましょう！」
豊島区さんのデジタル化を推進するという強い思いにより、第11地区は初のフルオンライン開催に挑むことになったのです。
案ずるより産むが易し
一度操作しただけのオンライン会議ツールを、皆さんがご自宅からご自身のデバイスで伴走もなく操作できるのか、不安はありましたが結果は全く問題なく、スムーズに進行できました。
2月は念のため、操作に不安のある方のために集会室に我々が数人待機し一部の方の伴走をいたしましたが、3月にはそれもなくしました。
3月開催時には、音声ON/OFFを使い分けたり、チャット機能も活用するなど皆様ツールを自然と使いこなしている様子でした。
最後に、第11地区区政連絡会委員の皆様の感想をご紹介します。
本当はやはり会って話がしたい。毎回でなくても3か月に1回くらい。
月に1回の操作だとマイクやビデオの操作など戸惑う。普段からPCやタブレットを使っていると良いのだろうが。
何回かは対面で誰かが伴走する必要がある。対面とオンラインを交互にやるなどし、教えあえるといい。
町会長はある程度時間に余裕がある人しか受けられない状況がある。しかしリモートでなら参加できるという人もいると思う。
デジタル化第1号として第11地区が対応できたのは良かった
今後の取組
第11地区での取組で得た知見はオンライン町会活動のはじめ方というドキュメントにし、3月末に公開させていただく予定です。豊島区だけでなく、全国で自治会活動をされている皆様のお役に立てると幸いです。
また、豊島区では全部で12の地区があり毎月区政連絡会を開催しています。今年度はモデル地区として第11地区の皆様と取り組んできましたが、来年度以降、順次他の地区にも展開していきたいと考えています。
豊島区 区民部 区民活動推進課
星野 浩昭
五十嵐 理奈
石川 克範
豊島区町会連合会
大戸 国昭
東京都デジタルサービス局戦略部
小松崎 秀行
宮部 麻里子
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