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Civic Tech & Tokyo OSS Party!!

今回は、OSSを通じたシビックテック推進に向けて、11月20日から開催する”Tokyo OSS Party!!”について、改めて、その目的や具体的な自治体とのコラボレーションの内容について、紹介します。

1 ”Tokyo OSS Party!! 2021"開催の目的

社会課題が複雑化・多様化するなかで、課題を解決していくためには、都政と市民・民間・NPOなど多様なプレイヤーとのオープンな共創が欠かせなくなっています。
2020年3月にリリースされた「東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト」の制作プロセスでは、ソースコードをGitHubにオープンソースソフトウェアとして公開することで、多くのプレイヤーとの協働が実現、刻々と変化する状況に対する迅速な対応と、行政サービスのQOS(クオリティ・オブ・サービス)の向上につながりました。
今回の”Tokyo OSS Party!! 2021”は、このような経験を踏まえ、都や区市町村におけるオープンソースソフトウェア(OSS)の普及・活用を通じて、シビックテックを推進していくことを目的としています。
この目的のうち、都がOSSに取り組む理由など、OSSについての詳し内容については、「東京都OSS公開ガイドライン」をご覧いただければと思いますので、今回は、シビックテックの推進を中心に説明します。

2 まず、シビックテックとは

まずは、シビックテックとは何かという点についてです。東京都のフェローでもある、Code for japanの関さんが、デジタル庁のNOTEに「デジタル庁とシビックテック」という記事を書かれています。この記事では、「シビックテック(civic-tech)とは、市民(civic) と技術(technology)から生まれた造語で、シビック・テクノロジー(civic technology)とも呼ばれますが、実は明確な定義はなくあいまいです。」としています。

こんなシビックテック、実は全国で取り組みが進んでいます。その中でも代表的なものが、Code for Xです。
Code for Xは、全国の各地域で活動をしており、その中でも一番歴史が古いCode for Kanazawa。
同団体が活動する金沢市には、ゴミの分別方法が4種類あるため、いつ、どのゴミを出せば良いかわかりづらいという声をもとに、市民のエンジニアが、ゴミ収集日とどのようなゴミが対象か一目でわかる「5374.jp」というアプリを開発しています。

資源のリサイクルが進み、分別収集が進むなかで。ついつい収集日に忘れてしまい、どんどんと溜まってしまうことがあるのではないでしょうか。こんな身近な課題を解決するため、「5374.jp」では、資源収集日になるとお知らせがくるという機能が組み込まれるなど、市民だからこそ気づく日常生活の困りごとに対して、きめ細やかに対応したものとなっています。このアプリのソースコードはGitHubにOSSとして公開されています。このため、「5374.jp」は現在では金沢市のみならず、都内でも港区など15の地域で導入されています。

このように、複雑化、多様化する地域課題に対して、行政と市民が垣根を越えてスピード感をもって解決していくために、シビックテックを推進していくことは非常に重要なものとなっています。

3 自治体と連携したシビックテックの推進

都は、このシビックテックを区市町村とともに推進していくため、自治体の皆様と連携して、”Tokyo OSS Party!! 2021”を開催します。
このイベントでは、地域課題をハックするサービスの開発を行う共創プログラムを、ハッカソン形式で実施します。
本プログラムでは、実際の地域課題をもとに、開発に役立つオープンデータなどが各自治体から紹介され、それを元に、参加していただくサービス開発やウェブデザインのスキルを持つ方々(エンジニアやデザイナー・プランナーの方々)とチーム毎にアプリケーションを開発する中で、新たな地域課題解決に向けた可能性を探ります。

4 地域課題の提供

今回の“Tokyo OSS Party!!2021”では、練馬区と八王子市から、実際に自治体が悩んでいる課題を提供いただく予定となっています。

① 練馬区からの課題

障がいのある皆さんとのコミュニケーションバリアフリーにするサービスを開発!

(練馬区福祉部障害者施策推進課担当のコメント)
・身体をうまく動かせない方、視覚・聴覚に障がいがある方が「ちょっと助けてほしいけど…」「何か困っていそうだけど…」というとき、
そんな状況を変え、気軽に声を掛け合える地域社会を目指すためのアプリ
【障害のある方の声】
・買い物をするとき、高い位置にある商品を見たいけど、車いすなので一人だと難しい。
・コンビニなどでコーヒー注文するとき、サイズや種類が言葉だと分かりにくい。
・視覚障害のため商品を選ぶとき、触って確かめたいけど、コロナ禍だと周りの目が気になり、できないことがある。
※一方で、「スマホを使ってみたいけど、使いこなせない」という声も多く、使いやすいと嬉しいです。
・今回は、障がいのある方でも、気軽にスマートフォンを使えるアプリの開発を課題として挙げさせていただきました。

② 八王子市からの課題

市民が、簡単に身近なリスクを知り、日頃の備えにつながるアプリを開発!(防災ハザードマップのデータ化)

(八王子市生活安全部防災課ご担当者のコメント)
・風水害等の危険から身を守るには、事前の準備や安全行動が不可欠ですが、それに加えて我が家の周辺がどんな状況なのか知っておく必要があります。
・このため、市では、地域の特性を踏まえ、洪水や土砂災害をはじめとした風水害に重点をおきつつ、様々な事象を掲載した総合的な総合防災ガイドブックを作成しています。
・ガイドブックについては、ホームページにも掲載し、パソコンなどでもご覧になっていただけるようにしていますが、より見やすく使いやすいものにしたいと考えています。
・このため、ハザードマップをデータ化し、市民が今いる場所の周辺の危険個所や避難所の場所などを、スマートフォンを使って知ることのできるようなアプリの開発を課題として挙げさせていただきました。

このような実際の地域課題を題材に、今回のPartyでは、
• 地域課題をハックし、アプリケーションのプロトタイプを開発する
• オープンソースとして社会全体の資産になる
• みんなでさらにより良くする

というエコシステムをまわしていきたいと思っていますので、同じような課題を抱え、市民や地域のエンジニアととともに解決していきたいと思われる自治体の方は、以下のリンクをご覧ください。

5 最後に

今回の“Tokyo OSS Party!!2021”では作られたアプリケーションは、OSSとして共有されることを原則としています。こうすることで、OSSが社会全体に広がるムーブメントの火付け役となるプログラムでありたいと考えていますので、ご興味のある自治体職員の皆様や、地域で暮らすエンジニアの皆様に、是非ご参加いただければと思います。


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