住民に寄り添う、行政の丁寧なデジタル化とは?~瑞穂町CIO×都CIO座談会②~
東京都・区市町村CIOフォーラムにおける活動の一環として、都内各自治体CIO等へ「東京都・区市町村CIOフォーラムマガジン」を発行しております。今回から、マガジンに掲載した内容を一部公開します。
第13回は、「瑞穂町CIO×都CIO対談」をお届けします!
※CIO(情報統括責任者):組織の情報戦略における最高責任者
※東京都・区市町村CIOフォーラム:都CIOと各区市町村のCIO(主に副首長)等が相互に密接な連携と協力を深め、電子自治体の構築や行政施策へのICT活用等の諸課題に関して、テクノロジー情報や導入ナレッジの共有化を通じて、都及び各区市町村のDX施策推進に寄与することを目的として設置
※この記事は全2回でお届けします。前半はこちら
行政デジタル化への課題と現実
「取り残されちゃう私たちはどうするの?」みたいな恐怖感
都CIO:宮坂(以下「宮坂」)
コロナ禍でテレワークについてもご苦労されていたのかと思いますがどうでしたか。
瑞穂町CIO:栗原(以下「栗原」)
昨年のコロナの時は出勤抑制のために半分の人員体制にし、もう半分は在宅勤務という形にしましたが、テレワークで仕事をするまでには至っていないというのが現実ですね。
宮坂
課題としては環境が揃ってないというのがあるのでしょうか。
栗原
環境もですが、そもそも住民の方が役場に来て、対面で話を聞いてしかりという状況があります。ICTを導入してオンラインで申請を出来る人はかなり限られるというのが現実です。
宮坂
相談を必要とされている人と、相談なしで申請できれば良いという人と2パターンいるのかと思っています。その中で、申請よりも相談に重きを置く方は窓口に来ていただいてじっくり相談していただいて、相談よりも申請に重きを置く方はオンラインでサクッと申請できた方が便利なのかと思います。選択肢を作ることが最初の一歩だと思います。
栗原
なるほど。ただ、デジタル推進と聞くと、非人間的で「取り残されちゃう私たちはどうするの?」みたいな恐怖感があるというのが生の声です。
宮坂
我々もそこは丁寧に進める必要があると思っていて、二刀流だと思って進めております。デジタルでやりたい人はデジタルで、アナログでやりたい人はアナログで、といったように。例えば、共働きでお子様が居る方は平日の昼に役所に行くのは大変かと思いますので、デジタル化してくれないとどうにもなりませんという声もあると思いますので、あくまでも選択肢を増やすのがデジタルの意味かと考えています。
栗原
そうですね。色んな選択肢を提示できるようにしたいと思います。ただし町村の場合ですと、その選択肢を提示するための費用をどうするかというのが一番気になるところです。何人かの為だけにそういうサービスをうちの町でやるというのは優先順位としてなかなか上がりづらく難しいと思います。マイナンバーの普及がなかなか進まないのが現実で、やっと来年度中にコンビニ交付を始める予算を計上しますが、やはり多額の費用が掛かりますので、その辺で躊躇せざるを得なかったというのが現実問題としてあります。
デジタルデバイド是正に向けて
行政のデジタル化と使う側はセットで
都デジタルサービス局戦略部長:深井
私からもひとつよろしいでしょうか。我々はデジタルデバイド是正事業として、高齢者の方に対してスマートフォンの体験会や相談会を実施しておりまして、瑞穂町さんでも今月(11月)に役場をお借りしてスマートフォンの体験会を実施予定になっております。行政のデジタル化と使う側はセットで進めていかなければならないと思いますので、その辺についてもよろしく出来ればと思っております。
栗原
ありがとうございます。体験会については承知しております。結局サイレントマジョリティじゃないですけど、ごく一部の我々はどうするのだという声も強くあります。行政としてもこういう事を提供しているということを知ってもらう事が一番の課題なのだろうなと思います。恐怖感の声みたいなものがある特定のところで蔓延してきているなかで、そういった恐怖感を持つ人たちに相談に来ていただきたいです。
―活発な良い議論をしていたところですけれども、お時間も来たようですので、今回の座談会はこれで終了します。普段の会議とは違う、ざっくばらんな意見交換ができて非常にありがたく思っています。
本日はありがとうございました!
本取組については、今後も継続して実施する予定です。次回もお楽しみに!
執筆者:山岸 玲司(デジタルサービス局戦略部戦略課)
編集:星野 惇(同上)
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