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データ保存の変革 【後編】

こんにちは!本郷Web3バレーです。
Stanford Blockchain Reviewシリーズになります。
このシリーズではStanford Blockchain clubの業界レポートであるStanford Blockchain Reviewを日本語に翻訳したものを要約と我々の観点とともに発信していくものとなっています。
翻訳の許可をくださったStanford Blockchain ReviewのJayYuには感謝申し上げます。
前編では本文とその要約を、後編では我々の議論内容と観点を発信します。
前編を追いながら後編を見ていただけるとわかりやすいのかなと思います。
今回扱うテーマは「データ保存の変革」です。

本記事では、ブロックチェーンによって保存されるデータがどのように変化されるのかを具体的に見ていきます。

実施報告・内容

概要

6/13の19:30〜21:30頃まで、本郷近くのオフィスにて、輪読会を行いました。
記事の概要についての説明を行ったあと、既存のSNS、DID、AIの未来についても話が及びました。
今回の輪読会参加者は開発や事業者としてクリプトに関わる方が多かったため、ビジネスでの落とし所や思想的な美しさといった深いところまで話が及び、非常に有意義な時間となりました。

どのように行ったのか

6/13の19:30〜21:30頃まで、本郷近くのオフィスにて、輪読会を行いました。
参加メンバーは、Twitterの募集フォームを通じて参加申し込みをした方々と、本郷web3バレーのライン、discordを通じて告知に応じたメンバーです。
今回の輪読会では、分散型ソーシャルグラフの概念について各自の考えを出し合い、オンチェーンで繋がる人々の行動や社会の変化について話し合うことを目的としました。

本文はこちらにあるのでぜひ読んでください!

始めに自己紹介をしたあとに、20分間ほど記事の概要についてのキーノートスピーチを行いました。
途中で質問もはさみながら、NFTやSNSの事例を挟み記事の概要をつかみました。
記事の本質はおさえつつ、内容からは離れた議論が発展していきました。

内容

対面にて計6名が参加する中、今回の集会は実施されました。
この業界に深く関わっている参加者が多いため、クリプトの思想のビジネス的な落とし所を様々な角度から話し合いました。
初めに、既存のSNSプラットフォームと分散型ソーシャルについての説明を行いました。分散型ソーシャルはブロックチェーンにデータを載せることでデータがプラットフォーム内に制限されないために、ユーザーのアイデンティティがよりエンパワーメントされます。それによって、共同創造や共同所有が第三者を介さずにできたり、インセンティブ構造を生み出すことも可能になります。
その具体的な方法として、英数字の羅列であるウォレットアドレスをドメイン化した「ENSアドレス」や、Web3のソーシャルメディアであるLensやPhaverが挙げられます。

ここで、分散化しているアイデンティティを1つに集約することで、本当にそのコミュニティ内でオンチェーンで繋がった人々の共同共創が生まれるのか?という話題に移りました。

身近なプラットフォームであるSNSのTwitterを例にして考えました。

TwitterをWeb3化(分散型の概念を持つプラットフォームへ移行する)した場合、PFPや広告枠をNFT化し販売することや、Twitter社のトークン発行し、ユーザーエンゲージメントを上げることができます。
Twitterにはマネタイズポイントが多く存在し、ブロックチェーンの匿名性、正確性を活かすことで、それをビジネスチャンスとなせるのではないかという議論が展開しました。

また、分散型アイデンティティを構築するものにおいて、「ENSアドレス」についても話題にあがりました。
ENSアドレスを取得すれば、英数字の羅列であったウォレットアドレスが一見にして、誰の所有物なのかが分かるようになります。Webサイトでのドメインと同じ役割で、そのENSアドレスがプラットフォームを超えて使用できます。ENSアドレスの導入によって、トークンの誤送金が激減することや、その人のアイデンティティの特定が非常に容易になるなど、オンチェーン上のアクティビティにおいて基本ツールであるという認識を合わせました。

また、Web3の思想を持ちながらも、Web2的アプローチをするTelegramについても話題に上がりました。Telegramの暗号通信技術は、秘密チャットにおいてエンドツーエンド暗号化を使用しています。これは、メッセージが送信者と受信者の間でのみ解読可能であり、Telegram自体も含む第三者はメッセージを読むことができないということを意味します。Telegramは分散型の思想を重視し、ユーザーのプライバシーと権利を尊重する姿勢を持っています。そのため、多くのブロックチェーンと暗号通貨コミュニティがTelegramを使用しています。


議論

まずは解説中の質疑応答の一部をここにまとめます。

Q.複数のSNSにまたがり、分散化されていたアイデンティティを集約させる必要性はあるのか?

A.現在は、各SNSによって使い分けている面が大きいため、必要性は感じられないが、資格や証明書等の証明には役立つと思う。実際にコロナワクチンの接種証明はDIDと結び付けられている。

Q.第四の権力と言われるメディアが分散化すると何が起こるのか?

A.メディアが力を持ちすぎるのは、良くないとされているので、分散化するのは良いこと。しかし、各人が力を持つとフェイクニュース等が流されやすくなる可能性がある。ここで分散型ソーシャルグラフによってトラストレスな信頼性が効果を発揮できるかもしれない。

Q.オラクル問題とは?

特定の問い(または問題)に答えるための「オラクル」(答えを知っているとされる存在または機能)を使用するさいに、その情報が本当に正しい情報なのかを複数のバリゲーターがチェックする際に、ラグが発生することを指します。オラクルは現実世界とブロックチェーンを結びつけることにおいて、キーとなりますが、それを応用できていないのが現状です。



また、感想もここに掲載します。

−分散は哲学としては美しいが、ビジネス的にそれにベットするのは厳しいものだということが多くの人の意見から理解できた。また、AIに議論が発展し、AIを利用したビジネスモデルや情報を中央集権化した社会実装方法に対する議論がとても面白かった。 AIによって情報が分散化されたといえども、その情報はAIによって傾斜がかかっている可能性があることを知ったのが新鮮だった。

−初めての参加でしたが、話を建設的に進めようとする雰囲気やみなさんの暖かい歓迎で、楽しかったです。今回の輪読会で、主に話していた、現在において各SNSやオンラインで複数の人格を持ち合わせ、それらを場に応じて機能させたいという考えが若者を中心に広がる中、DIDによる各プラットフォームでのアイデンティティの一元化が本当に多くのユーザーが欲していることなのかについて、自分も薄々考えていたことが各メンバーの所感や意見を聞いて、さらに深めることができよかったです。

−いろんな方向に話が飛んで総合的に見られたのがよかった。 特に企業目線、投資家目線からプロダクトの分析を聞くことができ、今回の抽象的なテーマだが広がりを持たせることができてためになった。

最後に

当団体ではいつでもメンバーを募集しています。どなたでも加入できますのでこちらからぜひ申請してください。
一緒に学びを深めていきましょう!


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