(休憩 )「短編」 奥さま、レッツダンス
日ごろ、きれい事をえらそーにいっている裏腹に、強いものにめっぽう弱くて、弱いものにめっぽう強いものはなーに
ある日、政府与党の大物政治家が最近のテレビ局や芸能事務所のスキャンダルなどを見て、こりゃいかん、ひとつ活を入れようと、受信料を取っているテレビ局SMHと民放のテレビ夕日の幹部を呼び出した
政治家から呼ばれてなんで出てこなきゃあかんのや、と最初、そう言われるかなと危惧して、大物政治家はヒヤヒヤして理屈を用意して準備していたのに、いやに素直にノコノコやって来たので興ざめして驚いたほどだった
会ってみても、従順そのもので去勢された羊のようだった、これほどだったとは、何の業種かわからないほどサラリーマン化していた
むかしわれわれと闘った先輩たちの気骨さがまったくなくなっていた、戦後すぐのテレビ開局当時とか、そのあと大学紛争が終わっても舞台をテレビに移して、報道番組で政治家とも闘っていたものだった
政治家になる前の秘書のとき、そう感じていたから、なおさらだった
( 明治維新の偉人の子供は、いくら父親が自分の理想だからって、陰でお母さんがどんなに苦労したかと感じていても、どこかで父親を尊敬するところもあって、逆に孫世代になると生まれたときから裕福で名門であるのか、世間知らずでダメな子が多かった
いまも中国の革命世代の孫とか、苦労人の大会社の孫は裕福でエリート教育を受けてもダメな子は多いし、江戸幕府の名門や御公儀指南役柳生新陰流もそうだったし、大学も一流会社も創立当時の苦労も知らないで、孫世代になるとすっかり名門のエリートに安心して、見た目は良く上がっているのに、中味と人物は下っていった
ここのテレビ局もそうだったのか、親子3代目というか、よくなるか悪くなるのかは孫世代で決まるみたいだな、と大物政治家はつくづく戒めたのでした)
平安王朝末期や江戸時代末期の大奥、戦前の国内危機迫る頃の検閲制度に似て、爛熟があれば、やがて衰退もやってくる
ジャニーズ問題もズルズルこのまま何もなかったように穏便に流れ、自浄作用もなく、新たな打開策も見出せないままにナアナアの馴れあいを続けていけば、テレビ業界もそろそろだな
ほんと、いったいどういう動機で社員は入社したんだろう
まあ、名が知れた一流企業みたいだし、お母さんたちからも安心ね、と喜ばれそうで、うちの娘をもらってほしいなと言われそうで
他に余っている放送電波もあるのに、受信料もらっている局ならびに民放の5社協定で独占企業が守られているし、政府役人に従順で逆らわずにいたら、電波オークションの独占利権をもらえるし、最高さ
それにアイドルタレントとも仲良くなれるチャンスもあるから、とてもいいんだよ
女性アナウンサーのあたしたちも英語を一生懸命やってれば、本を読む時間がなくて世の中を何にも知らなくても、台本を読むだけの接待業さえきちんとやっていれば、スポーツ選手やタレントには賢く見られそうだから、とってもいい職場かな、それにカレらってサラリーマンよりお金持っていそう
あれっ、あたしの会社ってどんな企業だったっけ、芸能関係じゃないし、あっそうそう、政府関係の下請け業種の広告会社だったんだ
いっけない、うっかり忘れちゃっていた
そんな感じなんだろうな、まったく
いまでは、視聴率をとるためにタレントが司会して、あうんの呼吸でプロデューサーと目配りして無難におさめ、娯楽・報道番組になっているしまつ
もう、すっかり忖度と利害関係の巣窟に成りはてていた
まあ、そうなったのもわれわれ政治家がいろいろと、微に入り細に入り圧力をかけたせいでもあるんだがな、ふふふ
それはそうと、もうじき総選挙、テレビよりもネットの流行も目配りしなきゃ、特に最近では奥さま票もおろそかにできない
3時のおやつにレッツダンス
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