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 現代の寓話 悔いがないオレ 


 アメリカNASAに勤めていた兄とそれから姉のおかげもあって、アメリカと縁を持ったオレ。

何かと捕まらないように裏で警察に手をまわし、政治家とコネを作り、摘発されないようにいっけん風俗店みたいなテレビ局でタレントオーディションをやり、あとで特別室にするためにレッスン室を作って、両親とプロデューサーを安心させた。でも暗黙に了解しあっていた。

初め、反抗的な
学生の全学連、全共闘の反省もあって、困惑していたアメリカ政府は何かと新聞社やテレビ局に圧力をかけ、
さらに気弱な中太で中身の青少年のタレントを育てあげ、日本中にこんなホストみたいな青少年が女性にモテるんだよ、などとテレビ・マスコミを通じて広めるように、オレに極秘命令があった。
敵討ち文化の武士道を恐れて、二度とアメリカに歯向かわないようなインポテンツ青年を育てることが至上命令だった。

オレの好みのタイプにピッタシなので、いっぱつ返事で引き受けた。アメリカの裏の威光もあって警察から睨まれることもなく、日本政府とも太いパイプを持つことができ、ラッキー。

思えばアメリカ仕込みの飴と鞭を使いテレビ局をコントロールしてきた。
むかし田中角栄が日中友好関係を結び、今もなお、なんだかんだいいながら、中国貿易なしで生きていけない日本でも、アメリカに怒りを買ってロッキードで火をつけられ、政敵にやっつけるように仕向けていた。
地べたから這いあがってきた角栄と違って、地盤看板がある世襲議員の小泉純一郎、「いいえ2世でありません、3世です」と元気に答えて、アメリカに逆らわなければ大丈夫、笑顔でいっていたのにはビックリ。バカ正直な奴だな、と感心した。
エスカレーター議員の4世の息子も大衆の苦しい生活をわかるはずもなく、行政をうまくこなしてもサラリーマン官僚に、世界の狂暴なオオカミやライオンがたむろしている各国首脳に対峙して、心もたなく見えるのはオレだけだろうか。

当代の首相も初めから当選確実候補者の世襲議員で、まったく危機感のないアメリカべったりの外交をして、外国訪問で支援金をばら撒き人気を得て、晩餐会でおいしい料理とワインを飲むのが唯一の楽しみな男であった。
世論もかわすために鈍感力は必要さといいながら、ホンマもんの鈍感や、といわれている。

オレもアメリカのマネをして、接待と圧力を使い分け、テレビ局をコントロールしてきた。テレビ局役員の親類家族のためにチケットとか特別シート、太鼓持ちの芸能レポーターには飛行機代とかアイドルとスキンシップさせ、何気なく高級バッグをプレゼントして懐柔していた。
もしこちらのゴリ押しに逆らったら、何気なく視聴率を見せるとか、他の番組でもいっさいうちのタレントを出さない、と穏やかでやさしい口調でも圧力をかけること忘れなかった。

ゾウさんは大きくて強いけど、大きい体を保つにはいつも食べていなければならない。
テレビ局は大きく影響力があるけど、大きな建物と局員を養っていくにはお金がいります。NHKは受信料でも、民放はスポンサーが必要だった。スポンサーを納得させるには視聴者数が不可欠で、テレビの中で愛と人権を問いても、慈善事業しているわけではなかった。

ねっ、いっけん楽そうに見えて大変なのさ。セクハラといわれそうだけど、女子ども相手の学芸会を見せられ付き合わされている大人はえらい迷惑だけど、しようがないよね。作為的に日本人を幼稚化させたんじゃない、テレビ局も大人も注意しないで甘やかして迎合して、結果的にこうなったんだよ。テレビ局にはほんと感謝して、助かった。


それからの順風満帆の活躍は、みんなのご存じの通りさ。目論見は成功し、日本の青少年も思惑通り、「まじめに」分別くさく育ってよかった。わが人生には悔いはないってとこかな。

でも日本国民は情況によって、コロコロ変わって調子がいいから用心、用心。

よくアメリカ高官も言っていたものさ、
「ほんと日本人は主体性がないよな、でも主体性を持つと危ない」

 ふふふ、おもしろい話があったものだ。



 それにしても、
もしジュリーさんと白波瀬元副社長にアメリカの後ろだてがなければ、警察は威信かけて、逮捕にゴーサインを出してくるだろう。


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