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 作家残酷物語 存在の耐えられない文学の軽さ


 * 心の中を探してみてもあなたは見つかりません。社会と自然を見つめるまなざしに、もっとも見いだせるだろう、行為と芸術フィクションの中に。

 ふたこと目には人権とか愛とかいいやがって欧米各国、いままでさんざん他国に侵略して酷いことしてきたのにどのツラ下げて。まあ、落ちついてください、全国の子供が見ていますなんて、イノッチみたいなこと。

でもイノッチもかわいそうだよな、ただいつもより演技していただけなのに、と最近批評から小説家に転身を図っているM。

ただ変に対決ムードを作らないで、イノッチがジャニーズ事務所のために善意と覚悟でがんばっても、なんとかなるような問題でもなくて、こんなことに慣れて冷血にもなれるプロに任せる方が無難で、これからたぶんに広がっていくだろう被害者のためにも、残りの人生を救済のためにやっていくことが本人のためにもジャニーズにもいいんじゃないと、Mは他人事でなかった。

でも
ジャニーズ記者会見で、図らずも露呈してしまったテレビ局の芸能レポーターの太鼓持ちとソンタク記者。
いまではすっかり、アメリカに弱い日本政府や使われ雇われ警察の実態がばれてしまい、そんな政府や警察にめっぽう弱く、取材もしないで、記者クラブでは言いなりのメモを取るだけの骨抜きにされているメディアも、シロウトの国民にはバレバレになってしまった、誰も信用されていない始末。

テレビ局員というだけで芸能スポーツの優先観戦シートやマンションを優遇され、高級車を乗りまわしてきたツケが来て、そんなの、誰も見返りなしでは接待なんかしない。

(だからアメリカよりの報道は当たりまえで、黒でもアメリカが白といったら、政府も警察もテレビ局も、みんな白。アメリカがロシアが悪いといったら、もちろんですとも、ロシアはん、あんたが悪いと報道します。

また、アメリカ在住のユダヤ人に選挙権と「資金力」で、首根っこを押さえられているアメリカの共和党と民主党の両党。ユダヤ人国家のイスラエル国が攻撃されたら、即座にイスラエルの相手が悪いといい、日本政府は相手が誰だかわからなくてもソイツが悪いと同調しました。
もちろんメディアに気骨な批判力がある訳もなく、取材も面倒なのでアメリカの動画をお借りしてソイツが悪いと報道、しばらくして画面を見てソイツがわかったしだい。

そんな利害関係やソンタクばかりしている地上波を批判しているYouTuberも、YouTubeがアメリカ資本のグーグルなので、何かとアメリカ批判やユダヤ人批判、それに風邪ウィルス批判してバンされないように、ソンタクなさっています。まったく、おもしろい奴らだぜ)

それに
スポンサーと大手芸能プロよりの偏向報道もすっかり国民に見透かされて、最近ではテレビ局の記者というだけで逆に偏向な目で見られて、相手にされなくなっている。左右対称、言うものは言われ、鏡に映る他人は私のようで、当然といえば当然だった。


初めからジャニーズ会見のNGリストを作る必要がない、政府や警察、皇室担当の記者クラブ。もう顔馴染みですっかり馴れあって、フリーの記者を閉め出して愉快な新聞とテレビの「御用」記者たち。

さっき言ったように怠けて取材しないで、メモるだけがお仕事、ほんと、ジャニーズ事務所のスタッフにはうらやましく見えただろう。
記者ばかりじゃなかった。テレビ評論家やタレント芸人もテレビでコメントすれば、茶坊主とか太鼓持ちと言われそうで、当たっているだけに出るのが怖かった。顔を売りたいだけなのに。これもまた当然といえば当然の報いだった。

 そんなことをぼやきながら、ええっと、Mはやおらポケットの中をさがし、まわりをチラチラ、どこだっけ。あっそうかそうか、禁煙しているんだった。

うーん、椅子の背に体を押しつけかたむけながら、ふとMはふり返りため息ついて、はたしておれたちも立派なことがいえるんだろうか、テレビ局と同じで五大の文芸誌が誌面利権をにぎっている文学業界。
アイドルと芸人なしではえらそうに報道番組もつくれないテレビ局のように、ジャニーズやマンガで稼がなければ、売れそうにもない文芸誌なんて、どうしようもなくて出版社。文春のように全部とはいわなくても、利害関係に走って編集が縛られたら、どうしようもなかった。

ニューヨークタイムズ紙が昨今の経営不振を逆手にとって、1パーセント広告を打ちだし文句をいう会社には引きとってもらうなど、さまざまな手段で報道の自由を維持していた。報道の自由とは初めからあるんじゃなく、危機になって「勝ちとっていく」ものだと気づいたようです。

われわれのテレビ局も、初めから当然のごとくあった報道も、経営するために利害関係とソンタクで縛られ、共産国のテレビ局のようになってしまった。でもピンチはチャンス。やり方しだいで良くも悪くなるテレビ局と出版社業界。

業績の物質的欲望に目を奪われたら心失われ、病気して初めて健康の大切さを知り、苦労して初めて日々の平安な幸福を味わうようなもの。これで充分なら充分だろう。
欲ばってもしようがない、あと少しお金があったらいいな、あと少し大企業になれたらの具合がいちばんいいだろう。

顔のことはともかく、ぼくがもう少し頭がよかったら苦労しないんだけど、まあ健康だけがとりえ、見栄をはらないで好きなことをやっていれば才能が開くってことで、納得している M だった。


2Bの鉛筆を、そおっと原稿用紙の上に置いてみる。最近、とみにパソコンとかiPhoneばかり見て、目がチカチカしてシパついていたので原稿用紙の方に変えてもいた。やおら椅子から立ちあがり、窓を開け、ひと呼吸。

そうだよな。おれたちもえらそうに言えない。政治なんかくだらないといいながら、ひと一倍世の中に拘束されて有名になりたがり、ひと目にたちたくないといいながらテレビ好きで、俗物を嫌い内面の輝きを問いながらお金にふり回されて、甘い生活を夢見ていた。

そんな訳の分からないことをしゃべったり討論しているひまがあったら、小説を書いている方がどんなに得かわからない、とはある人気作家の言葉でも、そんなプラグマティックな文章ばかりを書いて、気のきいた社会風刺を述べて読者に受けてもいっこうに重みがなく、いっけん無駄なことを言っているようで、じつは回りまわって利にかなっていた。

たとえば、いま立っている地面は他の無駄な大地から成り立ち、気づいていないようなものだった。若い頃はよく無駄話をしていたけど、最近はバカ話ばかりして、と中年に差しかかった三島由紀夫はこぼし、明らかに無駄話はバカ話とは違っている、すべての有は無から成り立っていた。

(むかし学生の頃、受験に関係ないことはいっさいしないで勉強して、大学に入っても大学院のため朝から晩まで勉強して、政治学をめざしていたクラスメイトがいた。自治会で騒動があってもまったく無関心。たぶん大学院でも教授をめざしてひたすら勉強して、世の中の面倒なことに関わらないことが予想され、また教授になっても学長めざしている姿がかいま見えるのだった。
大学を卒業後、カレがどうなったか知らないし、世の中に名前が出てこないでも、その分野では名士になっているかもしれなかった)

そんなこんなで
俗世間にまみれないで、ひとり澄みきった世界に安住してきれいごといって隠すから、自分のいやな面が現れ、口に出してみれば意外に、俗物に囚われないで内面のドロドロしたものが出て、スッキリ、ピュアな気分で瞳も輝いてくることもある。

でもいつしか露呈好きになって、好んで人に裸を見せたがり、やたらピカソみたいに芸術といいながら男女がマグわっている絵を描いたり、文学表現といいながら、今日はいつもより性描写を描いてますよの小説家になっているようで、本当はただ単に好きなだけなのに。

だからといって、落語や推理小説みたいにオチをつくようなものばかり書いて、ストレス発散し、自己満足してもなあ。
フッと、Mはため息をついて、さて続きでも書くか、そうつぶやいて、机にもどっていくのでした。


 ジャニーズ記者会見では、腑に落ちないことばかり。PR会社、弁護士もあんな失態したのにお咎めされていないという理由の不思議で、それに稚拙な茶番劇。
でもすべてがジャニーズの「自作自演」だとすると変に符合し、怪文書もNGリスト、イノッチの名セリフ、NHKのスクープなどすべてがガテンがくる。筋書き通りなのに、なぜか結果が大失敗という不思議さで、百戦錬磨のお得意のドラマみたいにはいかなかった。

「指名してもいいですか」
たぶん次回の記者会見では、あまたのYouTuberや売れない芸人のピラニア群が大挙追い寄せる気配がして、ふだんなら友だちになりたくてもまったく無視されていたジャニーズから、いかにして「指名したいリスト」の実弾に当たらないようにするか、次回からの一番の課題でしょうね。


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