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自信はある。新たに自信を掴んだ。しかし、手応えは感じない。【KBOに期限付き移籍をした白川恵翔投手独占インタビュー】

今回は、KBOで大活躍の白川恵翔投手にインタビューさせていただきました!
「NPBドラフト指名されるために私、白川恵翔はKBOに修行しに行くことになりました。」というコメントを発表し、韓国へ渡った白川投手。
KBOでの大活躍。多くのファンに愛されたこと。韓国での生活。怒涛の日々を過ごす白川投手に様々な角度でインタビューを行いました。
最初から最後まで、見逃せない内容になっています!
※この取材は、2024年7月5日に行われたものです。

取材対応中の白川投手

異国の地で脚光を浴びた徳島産投手


(1)出国前のドタバタ劇

_まずは、SSGランダース(以下 SSG)からのオファーを聞いたときは、いかがでしたか。
白川
 「マジで!」と思いました。想像していなかったので驚きました。
そもそも徳島県外に出て生活するのが初めてだったので、不安は大きかったです。比率で言うと不安9、楽しみ1くらいでした。特に言葉(コミュニケーション面)が通じないことが不安でした。

_出国までの流れについて教えてください。
白川
 パスポートが届き次第の出国でした。徳島インディゴソックス(以下 徳島)の試合で登板してから出国するのか否かなども含めて毎日予定や情報が更新され、調整の難しさがありました。最終的には徳島の試合で登板して、翌日に高松から韓国入りしました。

韓国に渡った白川投手

(2)初の海外での野球

_KBOでの感想を率直に教えてください。
白川
 エグイです。全選手、走攻守のすべてにおいてレベルの高さを感じました。どの選手も自身の役割が分かっていて、細かいプレーも上手でした。シンプルに野球が上手かったです。KBOの打者は真っすぐに強い印象でした。特に同じチームなのですが、チェ・ジョン選手(SSG #14)がとんでもなかったです。飛距離なども含めて、間近で見た選手では、一番衝撃を受けた打者でした。

_初登板(6/1 対キウムヒーローズ)はいかがでしたか。
白川
 足が震えるほど緊張しました。日本人コーチのお二人(鈴木郁洋コーチ、渡辺正人コーチ)に「お前足震えてるぞ」と言われました。お客さんの多さも含めて緊張もしていたので、すごく汗をかいたことを覚えています。(笑)
自分の投球内容には満足できませんでしたが、チームも勝ったのでうれしかったですし、自分の中で自信にもなりました。チャン・ヒョンジン選手(徳島 #1)含めて多くの人が連絡をくれたこともうれしかったです。

_初登板の舞台はMLBの開幕戦(3/20 ロサンゼルス・ドジャース 対 サンディエゴ・パドレス)が行なわれたことで知られる高尺スカイドームでの登板となりました。高尺スカイドームで登板したことについてはいかがでしたか。
白川
 ドーム球場で野球を観戦することや登板することが今までなかったので、新鮮でした。今シーズン高尺スカイドームでプレーした日本人選手が、大谷翔平選手、山本由伸投手、ダルビッシュ有投手、松井裕樹投手ということで、有名な選手たちに次ぐ5番目が僕であったことがうれしかったです。

_自身の投球を振り返っていかがですか。
白川
 どの球種もしっかり投げ切ることができれば、通用すると思いました。特に、今年習得したフォークは効果的に使えました。徳島でやってきたトレーニングやケアを行い、しっかり調整して試合に臨めたときは自分のパフォーマンスを発揮できたかなと思います。
また、韓国のストライクゾーンはAIによる判定なので、徳島の時よりストライクゾーンの高低という部分でやや広めにとってもらえる印象でした。自分自身も高めで空振りを取れる投手なので、それが良い方向に作用して投球の幅が広がったように感じます。

_KBOと独立リーグ(以下 独立)のレベルの違いを感じた部分はありますか。
白川
 独立で投げていたときとは違って失投を見逃してくれませんでした。失投が簡単にホームランになるケースもありました。しかし、独立よりレベルが高い打者と対戦できたことは自信にもなりました。
対戦する選手のデータに関しても細かく共有されていました。そのため、僕は配球をキャッチャーに任せるシーンが多く、野手も大胆なシフトを敷いていたので抜けると思った打球をアウトにしてもらえたこともありました。

_マウンドに違いを感じた部分はありますか。
白川
 マウンドはどの球場も硬かったです。僕は、柔らかいマウンドの方が好きだったのですが、硬いマウンドにも慣れ、今では硬いマウンドの方が投げやすいかもしれないです。

(3)KBOでの意識の変化

_当初はフォアボールが多かったですが、登板を重ねるごとにストライク先行の場面が増え、フォアボールが減りました。何か意識していたことや変えたことはありますか。
白川
 最初の方は緊張でフォアボールが増えてしまいました。しかし、すごい打者が多くいたので一人一人を抑えようと意識した結果、登板を重ねるごとにフォアボールが自然に減っていきました。今では、フォアボールを出す心配もないです。

_徳島で投球割合が多かったスライダーよりも、SSGではカーブを多用していた印象ですが、どのような狙いを持ってカーブを投げていたのでしょうか。
参考:徳島でのカーブ投球割合は7% スライダー投球割合は24%
6/13 対KIAタイガース カーブ24% スライダー8%
6/21 対NCダイノス カーブ17% スライダー8%
白川
 配球に関しては、基本的にキャッチャーに任せていたのですが、徳島時代とは違う部分もあって面白かったです。徳島の時よりカーブをすごく評価してもらうことが多かったので、決め球にカーブを選択する場面も増えて、引き出しが増えました。

_SSGに日本人コーチのお二人の存在はいかがだったでしょうか。
白川
 日本語を話せる人がいるというだけでやりやすかったです。気持ち的にもだいぶ楽になりました。特に鈴木コーチには、プレーをするうえで頭に入れておくべきことなど、主に野球そのものについて教わりました。もしかしたら、自分が野球を知らなさすぎたのもあるかもしれないですけど。(笑)
でも2人ともとても優しくしてくださりとても心強かったです。

(4)フォロワー爆増⁉

_韓国のファンの印象はいかがでしたか。
白川
 応援していただいてとてもうれしかったですが、韓国語も話せず、戸惑いはありました。韓国のファンが僕を受け入れてくれる姿勢があったことがありがたかったです。差し入れの数もすごかったです。手紙や洋服、食べ物などたくさんもらいました。手紙は日本語で書いてくれている方もおり、うれしかったです。手紙は全部取ってありますし、宝物です。
Instagramのフォロワーも10,000人以上増えて、びっくりしました。DMやコメントなどで様々な言葉をもらって「これがトップリーグなんだな~」と思いました。

_一躍人気選手になりましたがいかがですか。
白川
 自分では分からないです。(笑)
本当に日本のときと同じようにいつも通り過ごしていたつもりでしたが、あるときを境に「ジャガイモ」と呼んでくれるようになりました。SSGのYouTubeやInstagramに取り上げてもらったことが大きかったかもしれないです。

_韓国でメディアに取り上げてもらえる機会も増えたと思いますが、自分が考えていることを言語化する能力は高まりましたか。
白川
 いや、全くです。通訳さんが上手いことまとめてくれていました。「翔ちゃんの通訳大変だよ(笑)」って言われました。テレビにも出ましたが、インタビュー慣れも全然していないです。SSGのYouTube撮影時も緊張していました。自分が出演しているテレビやYouTubeを見ると、第三者目線で「緊張しているな~」と感じることもあります。でも、テレビに自分が出ているのを見るのは恥ずかしいので、すぐにチャンネルを変えます。チェックすることはないです。(笑)

_街中で声をかけられたことはありますか。
白川
 結構気が付いてもらえます。でも、韓国語が分からないので、あまり言葉は分かりませんでしたが、ジェスチャーや英単語等でうまくコミュニケーションを取って、写真やサインなどに応じていました。

_仲良かった選手や印象的なエピソードはありますか。
白川
 みんなに良くしてもらいましたが、特に日本の履正社国際医療スポーツ専門学校でもプレーしたハン・ドゥソル選手(SSG #34)がいてくれてとても頼もしかったです。彼は日本語を話せるので、とてもお世話になりました。元徳島の ハ・ジェフン選手(SSG #13)もロッカーが隣だったので話すことは結構ありました。

_充実感が漂うお話が盛りだくさんですが、その分、別れが惜しいのではないでしょうか。
白川
 もちろんです。7/2にSSGの選手みんながサプライズでユニホームにサインを書いてくれたり、初勝利の試合のメンバー表にメッセージを書いてくれて、それをもらったときは、自然と涙が出ました。日本人コーチのお二人から「これがプロの世界だからお前も早くプロの世界について来い!」と言われたことが印象に残っています。

(5)韓国ライフスタイル

_生活面で苦労したことはありますか。
白川
 一人でタクシーが呼べないことです。通訳さんを頼りにしていました。

_覚えた韓国語はありますか。
白川
 「배고파요(お腹減った)」「배가부른(お腹いっぱい)」とかですね。書いたり読んだりはあまり成長しませんでした。(笑)

_食生活について伺います。食生活で苦労したことやよく食べていた物ものや飲んでいた物はありましたか。
白川
 食べ物が口に合うか心配していました。辛い食べ物も多く、特にスープ系は辛い!でもうまい!けど辛かったです。(笑)
SSGでは、スターバックスコーヒーが無料だったのでいつも飲んでいました。特に韓国限定のドリンクがおいしかったです。少し太りましたけど今は絞りました。(笑)

_オフの日もあったと思いますが、どのように過ごしていたのですか。
白川
 観光地には行かなかったのですが、買い物には行き、リュックサックを買いました。

(6)さらなる進化を求めて

_KBOで得たことをどのように今後の野球人生に活かしていこうと考えていますか。
白川
 KBOでのプレーが大きな経験になったことは間違いないです。そして、もっと成長したいという気持ちが強くなりました。KBOを経験したことで、どこでもやっていけそうな気がしています。

(7)変わらぬ情熱

_改めてではあるのですが、NPBへの思いをお聞かせください。
白川
 もちろんNPBに行くためのステップとして韓国に行きました。KBOでは自信を掴みました。しかし、去年のドラフト会議で指名漏れを経験したのでKBOでは、手応えをあえて感じないようにしていました。とりあえず、結果は後からついてくると信じて、自分に甘えないように常に心がけて、やり切ろうという気持ちです

(8)世界中の白川ファンへ

_たくさんの応援をしていただいた韓国のファンの方に向けて、メッセージをお願いします。
白川
 韓国のファンの皆さんには感謝しかないです。励みにもなりましたし、背中を押してもらいました。僕がどこで野球をすることになったとしても、ずっと応援してほしいです。これからもよろしくお願いします。

_日本でも多くの方が白川選手の活躍を祈り、応援をしていると思います。徳島のファンの方にもメッセージをお願いします。
白川
 これからもレベルアップをし続けて、「今までの白川ではないな」と思ってもらえるような投球をできるように頑張ります。そしてNPBを目指してこれからもっと頑張ります。引き続き、応援よろしくお願いします。

_お忙しい中、ありがとうございました。

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【取材者談】
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

異国の地で躍動した白川投手の活躍が海を越え、徳島ファンの方へも届いていることでしょう。白川投手の高い志が強気な言葉からにじみ出ており、それと同時に「まだまだ」と謙虚な姿勢が印象的でした。

SSG在籍期間だけでなく退団後もチームメイトとご飯を食べに行ったそうで、チームメイトやファンなど多くの方から愛される人柄がインタビュー中からも感じることができました。

夢を追って、腕を振る白川投手にますます期待です。

〈取材・記事〉
横田恵周


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