山崎貴監督と是枝裕和監督が、映画制作現場の環境改善を政府に求めることの深刻さを考える
これ、恥ずかしながら全く知らず、ちょっとショックでした。
山崎貴監督と是枝裕和監督が映画制作現場の環境改善を岸田総理に求めたというニュースがあったので、ちょっとビックリしてXに投稿したところ。
アオキさんがコメントで、政府の資料のリンクを教えてくれました。
新しい資本主義実現会議という内閣官房の会議で、コンテンツ産業についての議論がされたようです。
是枝監督の資料もここに問題提起の一つとして提示されたもののようで、action4cinemaの活動を通じて整理された、日本の映画業界における4つの課題について詳細に記載されています。
簡単に箇条書きで書き出すと下記の通り。
■1)労働環境
・フランスは2018年に1日8時間、週休2日が絶対的なルール
・日本は昨年ようやくできた適正な労働時間が1日13時間、2週間に1度の完全休養日で、従来はこのレベルすら守られていなかった。
・安心な職場作りには少なくとも3割から5割の制作費アップが必要だが、おそらく予算上難しい。
・ハラスメント対策もチェックする仕組みも人材もなく、罰則もない。
・最低でも興行収入の1%を原資にして共助のために拠出する仕組みが必要
■2)流通
【国内】
・ミニシアターが次々と潰れている。
・地方都市の映画館は風前の灯火。
・ミニシアターの公的な側面を強化して、本にとっての図書館のよう存在、文化発信基地にできないか。
【国際】
・マーケットブースにお金をかけていない
日本映画の情報発信基地としてとにかく貧弱
・国産のセールスエージェントがいない
韓国は、コンテンツの海外展開を見るから行うように変化
■3)教育
・作り手の教育システムの問題
・国立の映画大学が存在せず、多くの監督が独学
・米国の映画大学への留学生に日本人はほとんどいない
・意欲のある学生へのサポートを国費でできないか
・海外で学んだ人が帰国した際の働く場所を確保してあげる仕組みづくり
■4)製作
①開発費が出ない
企画成立までは監督やプロデューサーの持ち出し
②ギャラが安い
フランスや韓国の1/3〜1/4
③成功報酬がない
フランスはギャラの支払い方法を選べる、夢がある。
・国際共同製作で、韓国主導でネットワークが発足した際、日本は打診があったが国家機関がないため参加が見送られた
・韓国は1兆ウォン(1120億円)の官民合同ファンドが発表され、制作費の最大3割まで税金を免除。韓国は海外作品のロケ誘致のために補助金も出している。日本は撮影許可が出にくく、税制優遇措置もない。
■省庁を横断した統括機関設立の意義
内閣府の知的財産戦略推進事務局の下に、映画⽂化・産業の施策を⼀本化して統括する部署を設⽴して欲しい
いやー、ホント是枝監督の文章を読んでいるだけで泣けてきます。
こんな環境で日本の監督や制作陣は本当に良くあれだけ素晴らしい作品を生み出し続けて来れていますよね。
1視聴者として、恥ずかしながらここまで深刻とは全く知らなかったので、正直ショックでした。
映画「ある男」は、こうした状況を踏まえて1日12時間内撮影という目標を掲げて撮影されていたそうです。
ちなみに、実はaciton4cinemaはPodcastが結構な本数あるようです。
是枝監督の生々しい問題提起が聞けたりします。
なお基礎資料のところに、基本的なデータが掲載されているのでこちらもメモを兼ねてご紹介。
コンテンツ市場は世界的にも伸びている市場で、日本は世界第3位。
しかも輸出の貢献度としてみると今や鉄鋼産業や半導体産業と並ぶ規模になろうとしているので、政府としてもここを更に伸ばしたいということのようです。
で、この4.7兆円の内訳の半分以上はゲームなわけですが、実はアニメも1兆4592億で2位につけています。
一方で実写の映像コンテンツの海外売上は日本は非常に低いんですよね。
で、当然ながら実写作品は制作費と興行収入に相関性があるよねというグラフがあり。
Netflixの制作費がいかに巨額かというグラフまで入ってます。
こちらはあくまでテレビ側の制作費ですが、映画側も似たような状況ですよね。
なお、日本総合研究所の資料をみると、アニメにおいても、実は制作会社側に十分売上のリターンが戻っていない問題が透けて見えてきます。
せっかく日本の映像コンテンツが世界中から注目され始めているタイミングですし、こうした問題については1視聴者、1ファンとしても、もっとちゃんと学んで問題提起の声をあげていかないといけないんだなと反省しました。
是非、詳しい方にいろいろ教えて頂ければと思っています。
ということで、今日13時からの雑談部屋「ミライカフェ」では、この辺の話題を皆さんと雑談できればと思っています。
タイミングが合う方は是非ご参加下さい。
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