サマソニの撮影禁止ルールがファンの間でも混乱を招いているのが気になるので、フェスの撮影ポリシーの現状を整理してみた
今年は米国のコーチェラで日本のファンが撮影した動画をたくさんみることができたこともあり、日本のフェスはどうなってるんだろうなぁと気になったので、一通り撮影やライブ配信の状況を調べて書きだしてみました。
やはり基本的に日本のフェスは、今のところLuckyFesを除いては撮影禁止を明確にうたうのが基本ポリシーのようです。
ただ、実は日本のフェスも一律に厳しく撮影禁止前提で取り締まる方針ではない模様なのがややこしいところ。
例えばロックインジャパンはスタッフが厳しく見回りをしているそうですが、サマソニは比較的スタッフは取り締まらずに放置気味になっている傾向にあるようです。
実はサマソニ主催の清水さんがインタビューでどちらかというと撮影容認派なのを表明しており「アーティストがOKな場合はOKなんですよ。ある意味そこに委ねるしかない。」と発言しているのも影響しているようです。
インタビューを細かく読む限り、フェスの主催者としては撮影を嫌がるアーティストもいるので、フェスの規約上は禁止と明記せざるをえないんだけど、アーティストがOKなら撮影OKだからスタッフが厳しく取り締まることはしない、ということのようです。
その結果、サマソニの動画をYouTubeで検索すると、たくさんファンカムの動画がアップされているのが分かります。
で、やっぱりSNSを検索すると、撮影禁止を守らせるべきと言うファンと、ある程度撮影しても良いじゃ無いというファンの衝突が会場でもSNS上でも発生しているようです。
で、さらにややこしいのが、先週末に開催されていたサマソニのバンコク開催。
実はサマソニのバンコク開催のチケット販売ページにも、国内の規約とほぼ同じで下記のような撮影禁止ルールが明言されています。
「Photo, video, audio recording and live on social media are not allowed no matter by cameras, tablets and other recording devices.」
ただ、当然ながらアジア開催ということで、参加者はスマホで撮影するのが普通のお国柄なので、実際には多くの方が撮影していた模様。
こちらの動画もサマソニバンコクのファンカムですが、その動画の中にも何人もスマホを掲げている人達が写っているのが良く分かります。
さらに、日本人の方がスタッフに聞いたら撮影OKと言われたという投稿もあったぐらいなので、念のため規約に撮影禁止をうたっているだけで、実質撮影OKだったようです。
ちなみに、サマソニの清水さんの別のインタビューでの記載によると、「国内の主要なコンサートプロモーターが加盟する一般社団法人コンサートプロモーターズ協会(ACPC)が定める「ライブ・エンタテインメント約款」の第9条では、そもそも「客席内での携帯電話、ノートパソコン及びこれらの類似機器の使用」が禁止されている。」とのこと。
この協会の方針が変わらない限りは、日本のフェスは撮影禁止を規約にうたうのが普通という状況は変わらないのかもしれません。
とはいえ、そう言われてみると実は韓国においてもルール上は撮影禁止なんだけど結局ファンが撮っちゃうのが実態になっているという話を聞いたことがあるんですよね。
で、実際問題イギリスのGrastonbury Festivalとか規約を見てみると、ビデオ撮影のところとか、事前にアーティストに同意を得ないと撮影はしちゃ駄目とか書いてあります。
でも、BBCが公開してる動画を見る限り、観客はたくさんスマホを掲げているように見えます。
ひょっとしたらアーティスト毎にOKかどうかが明示されてて、BBCのアーカイブが公開されてるやつは、そもそも撮影OKのアーティストだけとかなのかもしれませんが。
いずれにしても、撮影OKがポリシーに明確に記載されているのは、軽く見て回った限りではコーチェラぐらいで、ロラパルーザもFAQにはビデオ撮影禁止って書いてありました。
そういう意味では、現実問題フェスの主催者側としては過去からずっと撮影禁止を規約に記載してるんだけど、もはや誰もがスマホを持っている現在では止めようがなくなったというのが世界の現実なのかもしれません。
ある意味、日本人はマジメにルールを守る民族だから、今でも撮影禁止の規約を守ってくれる興行主としてはありがたい存在という感じがします。
そうなってくると、現実問題としては今後の日本のフェスにおいては、LuckyFesがやっているように、アーティスト毎に撮影OKなのか撮影禁止なのかを明確にする、というのが日本のフェスが今後検討すべき重要なポイントになるような気がします。
今回のサマソニでも、平井大さんが明確に撮影OKを宣言するシーンがあったようですけど、フェスの主催者側もアーティストがOKならOKと考えているのであれば、そこを明確にしてあげないと会場やSNSでのファン同士の衝突は、今後より激しくなってくる気がします。
日本においては明らかに他の人の動画撮影を快く思っていない人がいることも、これまた事実なんですよね。
暴力沙汰で犠牲者が出たりする前にちゃんと整理した方が良いと思います。
一方で、LuckyFesもSNS投稿はOKでもYouTubeはNGと、おそらくはライブ配信を実施しているABEMAに配慮した規約になっているので、この辺の興行主や配信事業者との綱引きは今後も厳しく続きそうな気もしますが・・・
ちなみに、フジロックはAmazonとガッツリ組んで世界配信に注力されてるようなので、海外のファンの来場が増えたら同様に撮影ポリシーにも変化が迫られる気もします。
個人的には日本のフェスの撮影ポリシーの方向性自体が、日本のアーティストが海外のファンから発見される一つのルートになる可能性があると感じているので、この辺は是非改善されると良いなと期待する次第です。
ということで、今日の21時からの雑談部屋「ミライカフェ」では、皆さんとこの辺の話題も雑談できればと思っています。
タイミングが合う方は是非ご参加下さい。