映画マトリックスの世界を完全再現するUnreal Engine 5に感じる「メタバース」の未来
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映画マトリックスの世界を完全再現するUnreal Engine 5に感じる「メタバース」の未来

徳力基彦(tokuriki)

最近、話題の「メタバース」の未来を作る代表企業の1社として注目されているEpic Gamesが公開した、あるデモ作品が業界で話題になっています。

そのタイトルは「マトリックス アウェイクンズ(Matrix Awakens)」。

日本で12月17日に公開される映画「マトリックス」シリーズの最新作「マトリックス レザレクションズ」のラナ・ウォシャウスキー監督や映画の技術陣がEpic Gamesのエンジニアチームと協力して制作したデモ作品です。

まずは、百聞は一見にしかず、こちらのショートバージョンの動画を見て下さい。

映画の1シーンのような冒頭からはじまる動画は、実は「PlayStation 5」と「Xbox Series X/S」という最新ゲーム端末を持っていれば実際に操作することが可能なゲームのデモ作品なのです。

同じ事故が2回発生することはない

これまでのゲームでも、街が本物そっくりに再現されていたり、映画さながらのCGシーンというのはあったりしましたから、動画で見るだけだと何が凄いのか伝わりにくいかもしれません。

このデモ動画の凄いのは、実際にプレイヤー側の操作が画面に反映されて、この映画のような画面が作られているという点です。

従来のゲーム機の場合は、映画のようなCGシーンは大抵の場合、事前に作りこまれた動画が再生される形になっているケースが多く、プレイヤーが操作する際のCGは一段階綺麗さや細かさが劣ったり、爆発や横転する車のパターンなども、ある程度決められたものが表示されたりしているのが普通でした。

それが、今回公開されたデモ作品においては、「Unreal Engine 5」というEpic Gamesが開発した最新のリアルタイム3D制作のゲームエンジンによって、車の流れや人の動き、時間による街の見え方や明かりなど、全てが動的に生成されているようです。

自動車の衝突事故などもリアルタイムにシミュレーションされているので、「同じ事故が2回発生することはない」とのこと。

それにもかかわらず、この映画のような映像クオリティを担保できているのは、本当にスゴイ事と言えます。

プログラマーとしても知られる実業家の清水亮さんは、「ついにイマジネーションに現実が追いついた」という表現で、これまでゲーム会社がベンチマークにしていたマトリックスの世界を、ゲームが再現したことに対する感慨を表現されていました。

特に映画「マトリックス」のファンの方であれば、第2作のカーチェイスを彷彿とさせるエージェントとの高速道路での戦いのシーンは、文字通り自分が映画の中に入ったかのような感慨を感じるのではないでしょうか。

Epic Gamesは「フォートナイト」も作った会社

普段ゲームをプレイしない方からすると、なかなかこの凄さは伝わりにくいかもしれませんが、これがゲームをプレイしない方にも関係あるのは、この技術がそのまま「メタバース」のサービスにも利用されていく可能性が高いということです。

このデモ作品を開発したEpic Gamesは、「メタバース」の事例としてよく名前が出るゲーム「フォートナイト」を運営している企業でもあります。

「フォートナイト」は登録ユーザー数が3億5000万人を超えていると言われ、ゲームだけでなく、米津玄師のコンサートなどのライブイベントを実施している「メタバース」的なサービスであることでも有名です。

「フォートナイト」は、まだ画面がアニメ調のキャラクターがメインですので、ゲームをプレイしていない方からすると、いまいち米津玄師のライブと言われても、現実感が足りなかったかもしれません。

ただ、今後Epic Gamesの新しいゲームエンジンの技術を使えば、本当のコンサート会場さながらのオンライン空間で、本物かCGか分からないレベルのアーティストの映像を活用し、リアル会場よりも生々しいライブイベントが開催される可能性さえ見えてくるわけです。

日本でもスペースデータという会社が、バーチャル空間に世界を自動生成するAIを開発し、東京などの街の3Dデータの無償公開をしようと準備されています。

こうした都市の3Dデータと、今回のゲームエンジンを組み合わせれば、従来よりはるかに低コストで、リアルな現実世界を活用するゲームやイベントも可能になってくるわけです。

映画「マトリックス」が再現される意味

映画「マトリックス」で描かれたのは、まさに人間が、機械が創り出した「マトリックス」という「メタバース」的な仮想世界の中で生活しているという世界観でした。

映画「マトリックス」においては、人間は脳を直接機械に「ジャック・イン」して仮想世界に入り込んでいましたが、現実世界においては私たちはVRゴーグルを使って同様に仮想世界に入り込むことができる時代に突入しつつあります。

今回のデモ作品で描かれたクオリティで、目の前に仮想世界が拡がるとしたら、技術的には映画「マトリックス」の世界同様に、現実と仮想世界の境界線が曖昧な状態を体感できる日が近いということがイメージできるはずです。

現在「メタバース」が注目される中で、映画「マトリックス」がEpic Games社の最新技術のサンプルとして使われるというのは、非常に象徴的な出来事と言えると思います。

実際のデモ作品は、「PlayStation 5」や「Xbox Series X/S」を持っていなければプレイすることができませんが、YouTubeに10分ほどの動画があがっていますので、是非こちらを見て「メタバース」の未来を想像してみて下さい。


この記事は2021年12月13日Yahooニュース個人寄稿記事の全文転載です。


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徳力基彦(tokuriki)

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徳力基彦(tokuriki)
noteプロデューサー/ブロガー。 ビジネスパーソンや企業の、ブログやソーシャルメディア活用の可能性を日々試行錯誤してます。 アンバサダープログラムのアンバサダーも担当中。 書籍「顧客視点の企業戦略」「アルファブロガー」を書かせて頂きました。