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西武の2022ドラフト戦略を予想してみる②

①の続きです。
見てない方はこちらから↓

前記事ではライオンズの現有戦力を分析し、補強ポイントを考察しました。
おさらいすると補強ポイントは以下の通りです。

年齢構成から考える補強ポイント
① 高校生捕手
② 投手全般(できればイニング食える先発タイプ)
③ 高校生外野手
④ 高校生長距離砲(一・三塁を守るイメージ) 
(⑤ 即戦力セカンド)

投手課題から考える補強ポイント
① 大社先発型投手(やや素材寄り)
② 出力の高い高校生投手

野手課題から考える補強ポイント
① 即戦力外野手(できれば選球型or機動力)
② 高校生捕手or打撃型大社捕手(森次第で変わる)
③ 素材型高校生外野手
④ 高校生ロマン砲
⑤ 実戦向き二遊間
(⑥ 足のスペシャリスト)

『西武の2022ドラフト戦略を予想してみる①』より

それでは早速この記事の趣旨に入っていきたいと思います。
需要にマッチしたドラフト候補のリストアップです。


指名候補リストアップ

基本的な姿勢としては、チーム課題の解消を最優先として下位や育成指名で年齢構成上足りないポジションを補っていく形を取る。
まずはそれぞれの補強ポイントに対して候補をリストアップしていく。
(他球団が1位公言した選手は除く)

補強ポイント1:即戦力外野手

1位 蛭間拓哉
上位 森下翔太 澤井廉 
中位 萩尾匡也 杉澤龍

蛭間拓哉(画像はFull-Countより)

今年最大の補強ポイント。一年目からオーダーに入ってくる即戦力であることが求められる。その上で西武が一位公言に踏み切った蛭間拓哉(早大)は六大学屈指の長距離ヒッターであり、走攻守にレベルが高い。4年秋の絶不調や東大専など懸念要素はあるものの、「飛ばせる、足速い、肩強い」と魅惑のカタログスペックは揃っている。また三振こそ多いものの選球眼は優秀であるため、チーム課題解消という面からもうってつけと言えるだろう。

蛭間は西武単独指名が有力視されており、彼を取れた場合に他の即戦力外野手を獲得する線はかなり薄いが、万一競合して外した場合の代替候補も考えよう。森下翔太(中大)は広角に打球を放つ右の長距離砲であり、基本はライトながらも外野守備には定評がある。また澤井廉(中京大)は地方無双枠であり体重を3桁に乗せるなどパワーツールに特化した選手である。

中位でのバリューピック候補としては萩尾匡也(慶大)杉澤龍(東北福祉大)の名前が上がる。萩尾は4年秋に本塁打を量産し評価を急上昇させているアスリート型であり、「高長打率・高三振率・低四球率」の尖りに尖った指標を残す。杉澤は地方リーグで四冠を果たした左の天才肌であるも、全国の舞台ではアピールしきれなかった。1位や2位で即戦力外野手が取れなかった場合、中位でこの二人に狙いを移す策略も考えられるだろう。

補強ポイント2:高校生捕手or打撃型大社捕手

上位 松尾汐恩
中位 吉田賢吾 野口泰司
下位 山浅龍之介 清水叶人 高山維月 立松由宇 盛島稜大

吉田賢吾(画像は日刊スポーツより)

森友哉の去就次第で戦略はガラリと変わるが、吉田賢吾(桐蔭横浜大)の指名はいずれにしても理解できる。捕手の枠を飛び越えた強打者である彼は、森が抜けたらその穴埋めとして、森が残ればコンバートを視野に打者として育成することが可能である。懸念は燻る一昨年ドラ1・渡部と同じ大学なことだが、共に花咲徳栄出身の愛斗と西川の例もある通りその影響は少ないだろう。

高校生捕手の補強も必要となってくるが、田代旭(花巻東)が進学を決定したことによって上位で消えることが予想される松尾汐恩(大阪桐蔭)以外の候補はいずれも決め手に欠ける印象となった。その中でも光るのは山浅龍之介(聖光学院)の圧倒的な盗塁阻止能力であったり高山維月(浦和学院)の打球距離であったりするわけだが、球団が誰を好むのかは正直検討がつかない。沖縄枠として盛島稜大(興南)でも面白いか。

補強ポイント3:大社先発投手(素材寄り)

上位 荘司康誠 仲地礼亜 青山美夏人 菊池吏久
中位 河野佳 田中千晴 松山晋也
下位 渡辺翔太 才木海翔 羽田野温生 松井楓 西濱勇星 林優樹

仲地礼亜(画像は西スポより)

億千といるこのジャンルの選手の中で、一番ありそうだと感じるのが仲地礼亜(沖縄大)。沖縄の大学史上初のドラフト指名が確実視されている彼は非常に高い完成度を誇っており、全国大会でもその実力を証明した。出身が西武第二の故郷・沖縄なのに加え、ちょうど全体20番目前後での指名が予想されることもあり、西武がドラ2で手を出す可能性は高いと見る。先発ローテ入りにも期待が持てよう。

他にも候補はいくらでもいるが、西濱勇星(BC群馬)は西武が好きそうなタイプか。高1で最速107キロだったところから現在20歳にして最速が154キロにまで上昇した成長著しい右腕である。独立Lからの指名にも積極的な姿勢を取るため、まだまだ時間がかかりそうな原石とはいえ指名されてもおかしくはない。

補強ポイント4:素材型高校生外野手

上位 西村瑠伊斗 古川雄大
中位 海老根優大 
下位 田中多聞 三塚琉生 伊藤千浩 井坪陽生 黒田義信

西村瑠伊斗(画像はベースボールキングより)

個人的に凄く推したいのは西村瑠伊都(京都外大西)。王貞治を彷彿とさせる猫背フォームからタイミングを合わせて軽く振って柵越えさせる天才的なバッターである。ミートする力も非常に長けており、身体が出来上がればどんな逸材になるのか想像がつかない。

また今年はアスリート系外野手が豊富であり、古川雄大(佐伯鶴城)海老根優大(大阪桐蔭)田中多聞(呉港)黒田義信(九州国際大附属)などといった身体能力に長けた人材が下位でも獲得できる。長打力という面からは左のスラッガー候補である三塚琉生(関東第一)もロマンに溢れているだろう。

補強ポイント5:高校生ロマン砲(主に一・三塁)

上位 内藤鵬
中位 内田湘大
下位 村上慶太

内田湘大(画像は日刊スポーツより)

上記の高校生外野手とは反対に、今年はここの層がかなり薄い。上位指名が有力の内藤鵬(日本航空石川)を逃すと真のアーチストタイプの高校生は皆無となる。

中位〜下位で期待できるのは内田湘大(利根商)か。彼は懐の深いスイングが持ち味で柔らかくもしっかりと振れるところに特徴があるが、最速149の投手としても評価も高いためどちらで指名されてもおかしくはない。また公式戦では全試合で一塁手であったため、守備位置の問題も合わせている。下位ではS村上の弟・村上慶太(九州学院)がいるが、体格の割に打球が飛ばないなど課題は多い。

補強ポイント6:高校生投手(出力高め)

上位 門別啓人
中位 田中晴也 斎藤響介 茨木秀俊 森下瑠大
下位 日高暖己 大野稼頭央 田村朋輝 古賀康誠

大野稼頭央(画像は西スポより)

高校生右腕はやや不作年か。田中晴也(日本文理)斎藤響介(盛岡中央)などの若い速球派・本格派はいるものの、ディテールを詰めるとやや不安要素が大きい。

狙うなら構成的にも左腕だろう。門別啓人(東海大札幌)は最速150のスケール感と変化球やコマンド等における完成度の高さを両立するポスト・B宮城であり、上位指名が有力視されている。また大野稼頭央(大島)はまさに新監督から付けられた名前であり、De今永を彷彿とさせる美しいストレートを投げ込む。こちらは中位〜下位でも取れるとされているため残っていれば積極的に指名したい。

補強ポイント7:実戦向き二遊間

上位 山田健太 友杉篤輝
中位 村松開人 門脇誠 齊藤大輝 奈良間大己
下位 林琢真 平良竜哉 福永裕基 和田佳大

奈良間大己(画像は高校野球ドットコムより)

源田・外崎の後釜候補として実戦的な内野手が吉。六大学のスター・山田健太(立教大)を指名できれば大満足だが、こちらはスケール感含め他球団も狙いにくるだろう。となると次に狙うべきは村松開人(明大)か。故障で欠場が続いたが、出場した際には綺麗なバッティングで常に結果を残してきた指標最強二塁手である。これは齊藤大の育成落ちでヒビの入った明大とのパイプ修復の意味合いもある。
また中位以降では奈良間大己(立正大)がチームカラーに合っている。小柄ながら攻守に積極的な姿勢が持ち味で、雑…いや華やかなプレーが目立つ。より実戦的な候補では林琢真(駒大)がおり、俊敏さを活かした守備や盗塁を得意とする趣のあるプレイヤーである。

(補強ポイント8:足のスペシャリスト)

下位 浦口輝 辰見鴻之介

浦口輝(画像は中日スポーツより)

足のスペシャリスト枠を取るのであれば浦口輝(駒大)であろうか。50メートル5秒8の快足で盗塁を仕掛けるスピードスターであり、この手のタイプにおいて大事となる選球能力・粘りも悪くない。打撃の確実性が増せば、代走要因としてだけではなく外野レギュラーとしての道も見えている。


指名パターン予想

4年秋の絶不調・忌避されがちな左投左打・早い段階での公言などといった理由から、蛭間が競合するということは考えにくい。従って、指名パターンも基本的には1位蛭間を前提として考えていくことにする。

また、年齢構成から考える補強ポイントである
① 高校生捕手
② 投手全般
③ 高校生外野手
④ 高校生長距離砲
についてはどのパターンでも一人は獲得を検討する(無理なら育成指名で)。

※ウェーバーの仕様より西武はドラ1と全体19→30→43→54→67→…番目の指名権を保持している。今回は支配下6人指名を想定。

パターン1:2位指名に即戦力投手

バランス的には一番可能性のあるパターンではないか。今年は2位アンカーの即戦力投手にボリュームがあり、3位(全体30番目)には残っていない選手が多くいると予想する。従って2位でいい投手を取っておけば、後は野手中心で指名してもある程度の編成上の均衡は保たれるだろう。

その場合3位は売れ残った実戦向きの内野手を確保し(偶数年ドラ3継続)、4位以降に同レベル帯の指名候補が多いゆえ下位指名でも賄えきれる高校生の投手・野手を連続して獲得する展開が最も素直な道と言える。

指名例
1位 蛭間拓哉(即戦力外野手)
2位 仲地礼亜(大社先発投手)
3位 奈良間大己(実戦向き内野手)
4位 内田湘大(高校生ロマン砲)
5位 清水叶人(高校生捕手)
6位 田村朋輝(高校生投手)

パターン2:2位・吉田賢吾

森のFAの状況が芳しくなく、ある程度のリスクヘッジをしつつ戦力強化をしたい場合の折衷案。チーム状況・育成方針次第で即戦力捕手にも真の強打者にもなれる吉田賢吾を2位のターゲットに定める。

3位はいい候補が残っていればバランスを取ってその投手を、いなさそうであれば上位連続での野手指名も考慮に入るか。野手であれば以降は投手中心で、投手であれば以降はパターン1と似た様子になるだろう。

指名例
1位 蛭間拓哉(即戦力外野手)
2位 吉田賢吾(打撃型大社捕手)
3位 村松開人(実戦向き二遊間)
4位 大野稼頭央(高校生投手)
5位 才木海翔(大社先発投手)
6位 井坪陽生(高校生外野手)

パターン3:2位指名に実戦向き二遊間

山田健太友杉篤輝などの優秀な即戦力二遊間が全体19番目までに残っていた場合に素直に彼らを獲得するパターン。源田・外崎の後釜候補を先取りしておくというやや手堅く立ち回った動きになるだろう。

それ以降はバランスをとりつつ即戦力投手や高校生捕手、ポジション問わず有望株を適時獲得するという流れがオーソドックスか。

指名例
1位 蛭間拓哉(即戦力外野手)
2位 山田健太(実戦向き二遊間)
3位 門別啓人(高校生投手)
4位 田中多聞(高校生外野手)
5位 山浅龍之介(高校生捕手)
6位 林優樹(大社投手)

パターン4:2位・内藤鵬

内藤鵬が全体19番目まで残っていた場合に獲得するパターン。今年の高校生内野手でスラッガー系なのは内藤を除くとほぼいない。要は内藤はいわばこのドラフトにおける唯一無二の存在なわけだ。

そんな彼を2位で取ることで後々このタイプの獲得に困らずに済み、ドラフト全体を優位に進めていくための布石となる。これは今年だけでなく来年の豊作市場においてもその効用が残り、各球団が佐々木麟太郎に惹かれる中同じタイプの内藤を今年取っておけば他の超一流素材(前田悠伍渡会隆輝など)の一本釣りを目指すことなども心理的に容易となる。

てなわけで残ってるなら積極的に取りに行くべきは彼。それが成功したなら3位以降は投手を中心にパターン3と似たような構成になるだろう。

指名例
1位 蛭間拓哉(即戦力外野手)
2位 内藤鵬(高校生ロマン砲)
3位 斎藤響介(高校生投手)
4位 林琢真(実戦向き二遊間)
5位 松井楓(大社先発投手)
6位 高山維月(高校生捕手)

パターン5:2位・西村瑠伊斗

個人的な心情が介入して申し訳ないのですが、
この選手、やっぱり欲しい。

何度見ても天性の打撃の才能があるようにしか映らず、純粋に、ただただ欲しい。しかし現実的には1・2位で外野手を獲得することなど滅多に無いので(昨年の中日は事故)、この案は参考程度に留めておきましょう。

指名例
1位 蛭間拓哉
2位 西村瑠伊斗
選択終了

パターン6:蛭間外し

最後に蛭間が競合してクジを外した場合を考えよう。

想定される展開としては
森下翔太澤井廉を1・2位で代替獲得
② 上位は他の補強ポイント→萩尾匡也杉澤龍を中位で獲得
③ 獲得を諦めて既存選手の台頭・新外国人補強で賄う
の3パターンか(下位指名はどんぐり増やすだけ)。

17年に田嶋→齊藤大と同じタイプの代替指名で失敗し、20年はその反省を活かして早川→渡部と指名した過去があるためここはズラして②でくると予想。となると他球団の入札次第だがハズレ1位は吉村貢司郎西村瑠伊斗あたりだろうか。

指名例
× 蛭間拓哉
1位 吉村貢司郎(大社先発投手)
2位 吉田賢吾(打撃型大社捕手)
3位 萩尾匡也(即戦力外野手)
4位 齊藤大輝(実戦向き二遊間)
5位 三塚琉生(高校生外野手)
6位 西濱勇星(大社先発投手)

以上が指名パターンの大まかな予想となる。


終わりに

ここまで読んでいただいた方、本当にありがとうござました。私自身もこれが合計1万字を超えるような作品になるとは思ってもいなかったです。

かなりの労力と時間を費やしてここまでドラフト予想を書き連ねたのですが、我々の度肝を抜いてくるような独自指名のオンパレードをするのもまたこの埼玉西武とか言う球団なのです。どんな結果になるのか、期待して20日を迎えましょう。

ライオンズの未来は、ここから始まる。


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