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新規顧客獲得への取り組み:燕三条の町工場の一例

新規顧客獲得の重要性
今ある仕事を毎日、毎月、毎年、同じように行っている。仕事が途切れず安定して注文が流れ続けていれば問題はない。しかし、何かの契機に注文が途切れないとも限らない。地震や洪水などの天災、新型コロナウイルスによるパンデミック、戦争など様々な外的要因。定番商品のモデルチェンジによる廃盤。競合他社の参入による発注先の変更。
何らかの営業努力をして新規案件の受注に繋げていかなければ、事業は均衡縮小に陥ってしまう。
しかし、新規顧客の獲得といっても簡単なものではない。突然取引実績のない会社に行って新規案件の受注を依頼しても、契約は成立しないだろう。

ではどうやって新規案件を獲得するか?

・既存の顧客に対し、既存の製品を売る
・既存の顧客に対し、新規の製品を売る
・新規の顧客に対し、既存の製品を売る
・新規の顧客に対し、新規の製品を売る

既存の顧客に対し、既存の製品を売る
現状はこの状態。この仕事だけやっていると、均衡縮小の罠にはまってしまいます。一社の売上のウエイトが大きい場合、一社依存になり、主要顧客に会社の運営を左右されかねません。

既存の顧客に対し、新規の製品を売る
取引実績のある顧客は、最低限の信頼関係が出来上がっていますから、取引実績を重ねることで更なる信頼関係の構築が期待できます。ただし、取引企業の誰に対してアピールするかが重要になります。発注権限のない人、部署に対してアピールしても、新規案件の獲得には繋がりにくいことでしょう。先ずは、発注権限のある人に自分の会社を知ってもらい、興味を持ってもらうことが重要です。取引企業の抱える問題解決に寄与するのか。
トクニ工業は金属の板の加工をする会社で、様々な加工が可能ですが、取引企業にしてみれば、現在発注しているものしか見えていません。たまに担当者の方に工場内を見てもらうと、「こんなものも出来るのですか?」と日常的に作業している様子を見て驚かれることがあります。なじみの食堂に行って同じものしか頼まないのと一緒です。

新規の顧客に対し、既存の製品を売る
新規顧客の開拓です。どうやって新規顧客を開拓するのか。トクニ工業では年間約10社ほどの新規の顧客からの依頼があります。主な経路は、既存取引企業からの紹介、協力会社からの紹介、燕三条地場産業振興センターからの紹介、取引企業担当者の転職先からの依頼、展示会出展での出会い、ホームページからの問い合わせなどです。主に「口コミ」です。

新規の顧客に対し、新規の製品を売る
ものづくり企業にとって「新規の製品」とは何でしょうか?
「既存の製品」とは、今持っている加工技術を使って加工実績のある品物と類似したものを作ること。つまり、コスト・加工時間・品質などが把握でき見積可能な案件になります。
それに対し「新規の製品」とは、コスト・加工時間・品質のどれかが未知数なものになります。それらの問題点を解消し、受注・加工に繋げていくためには顧客候補との話し合い、条件のすり合わせが必要になります。新規の顧客は取引実績がないために、求められる「品質」が未知数です。費用対効果に反映されますので、顧客の求めている「品質」がいかほどのものか、見極める必要があります。

10人10社10業種
10人の顧客対応するスタッフが、それぞれ異なった業種で10社ずつ取引顧客をもち、ものづくりのノウハウを生かしながら業務を展開していくものです。まだ道半ばですが、会社運営のあるべき姿の一つです。景気の影響などにより、業界による景気の波は避けようがありません。その業界で景気が良いときは、仕事が忙しく新規の案件に対応する余力がありません。またその業界の景気が悪くなり仕事量が減ったからといって、簡単に穴埋めするような仕事が見つかるわけではありません。
日常的に新規案件に対し、門戸を開きながら業務を進めていく必要があります。成約まで至らなくとも、新規顧客獲得のためのきっかけになるかもと思えれば、新規の顧客への対応も前向きになります。心当たりがあれば、協力会社を紹介することもできますし、代替案を提案できるかもしれません。金属加工と一言でいっても、加工分野は様々です。ましてや自社で対応できないことの方が多いかもしれません。
様々な業種の仕事に携わることで、ネットワークの幅は広がっていきます。

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