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死刑執行できない女

こんにちはトクです。

本日も訪問くださりありがとうございます。

今回も創作物語を書いてみたいと思います。

最期までお付き合いをお願い致します。

その女は死刑囚であった。

瓜実顔で色白であり、日本髪がよく似合いそうな美人なあった。

女は、自分の配偶者を殺害した罪で起訴されたのであった。

それも一人ではない。

三度結婚して、三人とも殺害したのだ。

裁判では起訴事実をあっさりと認めた。

反省の色も色濃くあった。

しかし、動機だけは頑なに語らなかった。

そして、裁判官の下した判決は、死刑であった。

三人も殺害しているので、当然の結果ではあった。

そして、いよいよ死刑執行の時がやって来た。

女は、死刑執行の場に連れられてきた。

穏やかな表情の女を見て、死刑執行人は、覚悟を決めているのだな、そう思った。

女の顔には薄い微笑みさえあった。

「あれが魔の13階段なのですね?」

女は落ち着いた様子で死刑執行人に尋ねた。

「なぜ13階段なのでしょう・・・」

死刑執行人は言った。

「余計なことはしゃべるな、今から死刑執行だ」

そして、死刑執行人に連れられて、女は13階段を登った。

顔には覆いをかけられ、首にロープがかけられた。

いよいよ死刑執行である。

ガタンという音と共に、女の立っていた場所の床が開いた。

そして、女は、首にロープをかけられたまま下に落ちていった。

これで死刑執行のはずであった・・・。

死刑執行人達が、死体の処理をするべく動きだした。

しかし、何かがおかしい・・・。

そう言えば女の断末魔も聞こえなかった。

しばらくすると、女の声が聞こえた。

「痛~い~」と。

慌てて、処刑台に行ってみると、そこには、あの女が座り込んでいた。

女は腰を床にしたたかに打ちつけていたのだった。

しかし、女の首がない・・・。

そう、女の首は、はるか上にあったのだった。

女はろくろ首であったのだ・・・。

「これが私が三人を殺した理由です。皆んな、私がろくろ首だと知ると逃げ出すんです、だから殺したのさ・・・」

それでは、最後までお付き合いくださりありがとうございました。


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