『ガールズバンドクライ』10話感想
『ガールズバンドクライ』の10話を観たのでその感想を書いていこうと思う。
今回は実家への帰省回ということで仁菜が熊本へ帰り、父と話し合う様子が描かれる。家族とのいざこざに一応の決着がつき、心機一転してバンド活動に打ち込めるようになる仁菜という形で終わるが、そのラストの爽快感がとても良かった。
単に仁菜が父親のことを誤解していたという展開ではなくて、父親が不器用すぎる故に仁菜を傷つけてしまったということは事実だったという描き方をしたのが絶妙だったと思う。仁菜が高校を退学する前、仁菜の父親は仁菜のためを思って行動したわけだが、結局その行動自体は明確に仁菜を傷つけている。ここにおいては言い訳はできないので、それを真正面から描きつつも愛情自体はあったという話にもっていくというのが見事だったと思う。
仁菜の父親の仁菜の気持ちをわからないながらも模索するという不器用な一面が見れたのが良かった。学校側に働きかけるという解決法も仁菜が求めているものではなかったし、やっぱりどこかズレたところはあるけどそういったズレた面を描きつつ和解するのが良い。完全にわかり合えたわけではないけど少なからず通じ合えるという落としどころが個人的にはとても好きだ。
10話で一番好きなシーンはやはり仁菜が姉に自分のことを話すシーンである。桃香の曲に出会ったことで自分を変えることができた仁菜。仁菜は奈落の底に落ちているのか大空に飛んでいるのかはわからないと自分でも言うが、桃香の曲が仁菜自身の救いとなったのは確かだということが伝わってきてこのシーンは何度見ても涙腺が緩んでしまう。
だからこそ10話の最初の方にあった桃香の「見てみたいんだ、あたしの歌が書いたあたしの歌を」というセリフが良すぎると思う。「仁菜の存在=桃香の歌」であるという比喩を互いに受け入れているという事実が本当に良いし、それを支えるだけの信頼関係も8話までで描写されてきたので、観ている側としてもその等号には納得感しかない。
10話も8話と同じくらいに熱量がある出来でとても良かった。わざわざ配信時間まで待ってできる限り早く見たが、そんなことをするまでハマっているアニメは本当に久しぶりである。11話も本当に楽しみなので続きを期待したい。
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