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『泣きたい私は猫をかぶる』の感想

・たまにはアニメ映画を観てみようということでネットフリックスで見つけた良さげな感じの映画を観てみようと思う。見つけた映画のタイトルは『泣きたい私は猫をかぶる』。せっかくなので見ている最中に思ったことなどをその都度書いていこうと思う。

・いきなり男子にケツアタックする女子。キャラ付けが謎過ぎる。なんとなくリアル路線かと思ってたけどそういう味付けが強烈なアニメなのかもしれない。タイトルからするとこれらすべてが猫かぶってるだけで実は本心は別という感じなんだろうか?

・主人公と男の子の双方の親がある程度の分量をもって描かれているしおそらく毒親っぽい問題を扱う作品なのだろうと予想。

・どうやら主人公の女の子が猫になっているっぽい。人間が現実でそこから逃避する猫状態という対比なのだろう。

・人間モードの主人公の行動に対してはひたすらに共感性羞恥を感じる。おそらくコミカルな描写として描いているんだろうけど大胆過ぎてちょっと引いてしまうかもしれない。この痛々しさも意図的に描いているんだろうか?

・なんか辛い映画だ……共感性羞恥がすごいし家にも居場所がなさそうだし男の子にも拒絶されてしまうという袋小路。こういう閉塞感は刺さるけど見ていると辛い。

・この作品においてヨリちゃんのような友達がいてくれるっていうのは結構大きいことだと思う。こういうアニメだと全ての解決策を男女関係にもっていく強引さが目立つけどそれ以外にも心配してくれる他人がいるというのはなんか良い。

・明るいんだけど実は内面で色々感じてしまっているというタイプのキャラは結構好きかもしれない。こういう人って実際いて誤解されやすいけど内面で色々感じてたりすることが多い。だから接する側としても受け入れてもらえると思って何でも言ってしまいがちだけど意外なところで傷ついている時があるから注意が必要だと思う。本作の主人公もそういうところがあるんだと思う。

・ニセムゲの怪しい感じの方が本体より魅力的に感じるかもしれない。主人公っぽい明るい風貌に怪しい表情があるというのがギャップを感じて良いんだろうか?

・「人間に戻ったって苦しいだけ」というお面屋のセリフは確かにそうだよなぁと思ってしまう。猫の生活がどれほどのものかわからないが週40時間以上働く必要はなさそうだし、脳的にもそこまで考えなくて済みそうだし。

・唐突に猫の島が出てきた。こういう作品で途中からこういう世界が出てくるってあまりない気がする。しかも普通に人間世界から逃げてきて猫になってしまった人が何人かいたりする。主人公はおそらく人間に戻るんだろうけどこういう風に人間に戻れなくなった人たちが登場するって斬新だと思う。

・今さらだけどお面屋のCVが山寺宏一だ。やっぱりうまい。とぼけた感じもありつつダークさも兼ね備えた怪しさがすごいと思う。

・やっぱり猫の島という要素が唐突感あってあまり世界に入り込めないかもしれない。

・自分のことなんて誰も好きじゃないと思っていたけど実は少なからず想ってくれる人がいてそれに気づくことができたというオチはよくあるけどあまり納得できない気がする。完全につまらないわけではなかったけど個人的にはそこまで刺さらなかったかもしれない。

・こういう物語に対してのよくある評価判断って大きく分けて2種類あると思う。それが以下だ。

1:個別のキャラの結末の好し悪しで判断する評価方式。
本作でいえば「主人公が救われて良かった!」という風に感情移入するタイプがこの評価方式を用いていると言える。

2:登場する個別のキャラの結末を別の人にも適応してその救われ方に妥当性があるかどうかで判断する評価方式。
本作でいえば「自分のことなんて誰も好きじゃないと思っていたけど実は少なからず想ってくれる人がいてそれに気づくことができたという結末」が多くの人に適用可能かどうかを考えてしまうというのがこの方式である(判断するというか細かい部分が気になってしまうタイプという方が適切な表現かもしれない)。

・どっちが良いとか悪いとかはないけど自分はどうしても後者の方で判断してしまうというのがある。なので「誰からも好かれない人」もいるから場合によっては猫のままの方がいいよなぁと思ってしまうのでなんとなく釈然としない気持ちが残ってしまうのである。

「好きな人や自分のことを想ってくれる人がいてくれた」という偶然性によってこの物語は成り立っているが、そうじゃなかったとしても生きる理由はあるということを訴えかけてくる作品の方が個人的には好きだという話(そういう作品は実際にある)。ただそういう釈然としなさがありつつもそれなりに楽しめたというのはある。

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