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偏愛ハートビートの感想(1~3話まで)

SNSで流れてきた『偏愛ハートビート』というジャンププラスの漫画を読んでみたら面白かったので感想を書いていこうと思う。ちなみに現在3話まで連載されている以下の作品である。

ざっくりこの作品を説明すると、「重度にストーカー気質の女子高生」と「疑似的な死を体験して強い生の実感を得たいという特殊性癖の男子高生」の異質な恋愛ものといえるだろう。互いに歪んだ性質を持ち合わせている男女がその歪み具合により妙に惹かれ合ってしまうという作風である。

こう書くと暗い感じに思われるかもしれないが、全体的に明るくシュールギャグっぽく見える感じの仕上がりになっているためサクッと読める。

最初はストーカー気質の女の子である戸叶希咲(とかのきさき)の異常なストーカー行動に度肝を抜かれるが、対する男子高生の河辻悠(かわつじはるか)も全然負けていない。むしろ戸叶は仲良くなりたいという気持ちから距離感が異常に近いだけなので河辻の方が面倒まであるかもしれない。両者異常なのでその強烈さが面白い。

この作品ですごいと思ったのは河辻悠というキャラの発明である。重度なストーカー気質という戸叶のようなタイプは似たような性質のキャラがよく他の創作物でも出てくるが、それに対する河辻のようなタイプはあまり見ない気がする。もしかしたらいるかもしれないがストーカー気質の女の子とぶつけてなおかつ笑えるくらいにポップな感じに成り立たせているのは他にないと思う。

この手のストーカーを扱うとどうしても暗くなってしまいがちだと思うが、この作品は徹頭徹尾明るくなおかつ狂気さも兼ね備えているのでとても面白い。非常に良い作品なのでもし読んでない人がいれば読むことをオススメする。

最後に展開予想をするが、おそらく今後は河辻側のヤバさが掘り下げられていくんじゃないかという気がしている。現状だと戸叶側がヤバいという描写が多めだがそれだといつか単調になっていくと思う。なので次の4話あたりから徐々に河辻の異常さも垣間見える感じになっていくんじゃないかと思っている。

現に3話の時点でその伏線となるような描写なんじゃないかと思える部分もあった。戸叶が河辻の母に「こんな素敵な人が河辻くんのお母さんで良かったです」と言うのだが、このあとにこのセリフはおべっかだけでなく戸叶の本心でもあるんじゃないかという風に河辻が思っている描写がある。そしてそう思った後の河辻の表情には若干影が差し見えなくなる。

これは戸叶が自分の母が単に仲良くなってしまうことにがっかりしているからなのではないかと思っている。河辻は自分の母親にまでも戸叶の手が伸びていたことに対して驚きその怖さを楽しんでいたが、結局それは一時のことで慣れてしまえば怖くなくなるだろう。戸叶と自分の母親が仲良くしているのを見ていずれは慣れてドキドキしないほほえましい未来となることにがっかりしてしまったんじゃないかという解釈である。

戸叶の幸せは河辻一家と末永く仲良くなることだが、河辻の幸せはドキドキして生の実感を得ることなので慣れてしまえば戸叶のストーキングは無意味となってしまう。

つまり戸叶の幸せは維持しやすいが河辻の幸せを維持するのは難しいということである。もしかすると戸叶よりも河辻の方が面倒なのかもしれない。

もちろん河辻の表情が描かれていないのはたまたまで考えすぎの可能性もある。ただやはりいつかは戸叶だけじゃなくて河辻側もヤバいという描写は来ると思うので、ここが特に伏線じゃなかったとしても河辻の性癖の掘り下げは近々来るんじゃないかと思う。

ただおそらく河辻のヤバさを掘り下げてもそのうち展開に限界があると思うので、さらにそのカウンターとしてもっとヤバい戸叶のストーキング描写が見れそうな気もする。そういった彼らの狂気が繰り返しぶつかり合うのがこの漫画なんじゃないかと思っている。

というわけで予想は以上。とにかく来週の更新が楽しみである。

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