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<知っておくべき>家庭における火事対策 第二十七回 消火器を家庭のどこに置いておくべきか

家庭での火事を予防するためのシリーズ第二十七回。
今回は「消火器を家庭のどこに置いておくべきか」の話です。


出火した際も初期消火がきちんとできれば小火(ぼや)ですみます。
その際、いちいち別の部屋に取りに行くより、その部屋に消火器を置いておいた方がより早く消火活動を開始でき、火が拡大する前に消し止める事ができるようになります。

消火器は一般的な10型サイズの物が5000円程度で売られているため、基本的にこの10型サイズをいくつかの部屋にきちんと設置しておくのをおすすめします。

消火器を設置しておくのにおすすめの場所としては「台所」「仏壇のある部屋」「寝室や子供部屋」などです。

台所は日常的に火を使う事が多いため、油料理や調理中の衣服への燃え移り、電子レンジの間違った使い方により出火した場合もすぐ消火できるようここには消火器を置いておくのをおすすめします。

出火すると近くの蛇口から水を汲んでそれで消してしまおうとする人もいますが、油火災の場合は水では消えず、逆に火種を一気に拡散して火事を悪化させてしまいます。
消火器は油火災にもきちんと対応できるのが大半で、油火災の場合は消火器の使用が推奨されます。(購入の際はきちんと油火災対応のを選んでください。ほとんどの消火器がこれに該当しますが)

仏壇のある部屋で今も線香やろうそくなどで火を使う場合も、その部屋には消火器を置いておくのをおすすめします。
高齢になると立ちあがる動作も鈍り、仏壇から出火した際に他の部屋にもたもたと消火器を取りに行ったり水を汲みに行ったりしている間に火が広がってしまいます。
仏壇のある部屋に消火器を置いておけば、より早く消火を始められます。

寝室や子供部屋に消火器を置くのは、「万一別の部屋から出火して家のあちこちが燃えている時、消火器によって退路を確保しながら逃げられる」というのがあります。
部屋がすぐ屋外に繋がっている場所ならともかく、何らかの通路を通る必要がある場合はその通路が火にまみれていると逃げられません。
しかし消火器で火の一部を消しながら移動していくと助かる場合もあるのです。

その他にもタバコを吸う人は仕事場として使っている部屋やリビングにも置いておくと、タバコやライター使用の不始末による出火もすぐに消火できるでしょう。

レトロゲーム用などで古いブラウン管を今も使用している人も、昔のブラウン管はコンデンサーの劣化で出火する場合があるため、初期消火できるようその部屋に消火器を設置しておくのをおすすめします。


<子供や女性の場合は重い消火器が移動しにくい事も>


10型消火器は一般的なサイズですが、子供や女性などにとっては重くて移動しにくいという難点もあります。
小型の消火器なら重量が減り移動しやすくなりますが、サイズが小さい消火器は粉末量なども減り、消火できる時間が短くなるという難点もあります。

可能なら10型消火器と小型の消火器の両方を置いておくのが良いのですが、コストがかかったり場所をより取ってしまうというマイナス点もあります。


<火が大きくなったら逃げるしかなくなる>

消火器については初期消火にしか使えません。
大きく拡大した状態では最早手を付けられず、その場合は自分や家族の命を最優先に考えて屋外へ退避するようにしましょう。

またリチウムバッテリー製品が出火した場合、消火器で消そうとしてもなかなか消えず燃え続けるという事がわかっています。
リチウムバッテリー製品については万一出火した場合も周辺に延焼しないよう、以前解説したこの回も読んでおくのをおすすめします。

「リチウムバッテリー製品をペットが触っているうちに出火した」という事例も海外では起こっています。
ペットが起こす火事についてはまた別の回にお話いたします。

  

家庭における火事対策シリーズの第一回目はこちら
自分の大切な物や家、自分や家族の命を守るために一回目から順番に読んでいきましょう。

<知っておくべき>家庭における火事対策 第一回 序章


次回は「耐火バッグは用途が限られた商品」です。