視力回復をどう効率良く行うか?(ピント調節筋の柔軟体操の効率化)

前回の記事で「眼鏡屋さんに行って新しい眼鏡を作った時に近視が改善されているのが分かった」と書いたが、その時は「眼軸の伸びが改善された」と書いたものの、検査機器の仕組みを調べてみると「眼軸の伸びが改善されたかどうか」は定かではなく、実際は「ピント調節筋の柔軟性が増す事で近視が多少改善された」という可能性の方が高いと思った。

人間の眼は眼軸は一度伸びると縮む事はない一方、目のピント調節筋(毛様体)は柔軟性をある程度まで高めていく事が可能だ。
体の固い人が全身の柔軟体操をこまめにする事で少しずつ柔らかくなるように、目のピント調節筋もある程度柔軟性を高めていく事ができる。

実際にこのnoteでも女性弁護士の方が自身の視力回復の話をシリーズ化して紹介していたり、その女性が参考にした男性が行っていた視力回復方法も読んでみたが、「眼軸の伸びが改善されたというより毛様体の柔軟性を高める事を長期間やり続けて、毛様体の柔軟性が高まっていったからどんどん遠くの物がよく見えるように視力が改善されていった」と考える方が妥当に思える。

「ピント調節筋(毛様体)の柔軟性を高めていくと遠くの物が見えやすくなっていく」という観点で物事を考えると、より効率の良い視力回復方法が見えてくるのでそれをちょっと書いてみたい。

<筋肉は疲労している状態ではいくら柔軟体操をしても柔軟性はほとんど高まらない>

多くの人が視力回復に挑戦しても途中で挫折するのは「目立つ効果をきちんと体験できない」という事に他ならない。
子供時代に挑戦して挫折した人、大人になってから挑戦して挫折した人いろいろいるだろう。

「遠くの物をしっかり見ようとする事が視力回復につながる」と実際に成功者達がいくら言っても、いざ自分でそれを毎日のようにやっても視力が回復していく実感がほとんど無いためにやがて諦めてしまう。
しかし「効果が出ない」というのには理由があるのだ。

近視の人の多くは近くをずっと見てピント調節筋(毛様体)に力が入る事を日常的によくやっても、毛様体を緩める(遠くをしっかり見る)という事はあまりしないために当たり前のようにピント調節筋の柔軟性が年々低下していく。
近視については眼軸が伸びていく事による近視の進行に加えて、「ピント調節筋の柔軟性が年々低下していく」という事も近視が進行していく理由の一つだ。(屈折性近視と軸性近視の同時進行)

だからこそ「遠くの物をしっかり見る事を続けてピント調節筋の柔軟性を高めて視力を向上させる」という事をやるのだけど、これには注意しないといけない点がある。
「筋肉が疲労している状態ではいくら柔軟体操をしても筋肉の柔軟性はほとんど向上しない」という事。

多くの人は日常的に眼鏡やコンタクトをして長時間近くの物を見て、そのせいでピント調節筋は力が入っている時間が多くなるせいで筋肉に疲労がかなり蓄積してしまっている。
ガチガチに固くなってしまっている。
この状態で筋肉の柔軟体操をやっても筋肉疲労でなかなか筋肉が柔らかくなってくれず、ただいたずらに時間を無駄使いする事になってしまう。

じゃあどうしたらいいかというと、「ピント調節筋を疲労させない生活に変える」という事。
具体的には「近くの物を見る時は裸眼だったり、裸眼だと近くの物でさえ見えない人は度のかなり弱い眼鏡を使用して、できるだけピント調節筋を疲労させないようにする」というのが大事。
勉強、PC作業、スマホやタブレット、読書の時などは裸眼にするか、強度近視の人は度のかなり弱い眼鏡などを使えば良い。

実際に先ほど紹介した女性弁護士やその人が参考にした男性も「眼鏡やコンタクトを使わない生活に切り替えた」というのをやっていて、そのおかげで日常的に近くを良く見てもピント調節筋の疲労がかなり少なかったのだろう。
この状態でピント調節筋の柔軟体操をやるときちんと筋肉をほぐせるようになり、少しずつ柔軟性が高まっていく事になる。

<動的ストレッチと静的ストレッチ>

さらにピント調節筋の柔軟性を高める際に気をつけて欲しいのは、ストレッチには動的ストレッチと静的ストレッチの二種類があるという事。
いきなり静的ストレッチからやり始めるのではなく、まず最初は勢いをつける動的ストレッチで軽くほぐしてから静的ストレッチに切り替えた方が筋肉を効率良く柔らかくさせやすい。

動的ストレッチは勢いをつけて筋肉をほぐす行為。目の場合は「遠くの物にピントをしばらくあわせてから近くの物にピントをあわせる」という事を何度も何度も繰り返す行為。
一方、静的ストレッチはずっと筋肉を緩めようとする行為。目の場合はずっと遠くの景色を見続ける事。

目のピント調節筋の柔軟性を効率よく高めようと思ったら、「最初の数分は動的ストレッチをやり、ある程度これで筋肉が柔らかくなってから静的ストレッチに切り替える」というのがより効率よく筋肉の柔軟性を高める事ができるようになる。
また、目にいくらか疲労が残っている事も考えて、合間合間に目を閉じて休める時間も設けた方が良いのかもしれない。

静的ストレッチだけ(遠くをずっと見続けるだけ)でも時間をかなりかければどんどんピント調節筋が柔らかくなっていくものの、それはかなり効率が悪い。
多くの人は静的ストレッチだけをしてしまい、そのせいで筋肉がきちんと柔らかくなる前の段階で「今日のストレッチはこれで終了」とやめてしまうためにほとんど効果が無いのだろう。

<視力回復のために>

まとめると、

・目のピント調節筋に疲労がたまった状態では筋肉の柔軟体操の効果が無くなるので、日常生活で近くを見る時は裸眼や度のかなり弱い眼鏡を使うようにして、できるだけピント調節筋に疲労がたまらないようにする

・その状態でこまめに目のピント調節筋のストレッチを行うが、最初は遠くと近くを交互に見る動的ストレッチでほぐしていき、ある程度時間が経つと遠くの景色をずっと見続ける静的ストレッチに切り替える
5分くらい動的ストレッチをしてからその後は静的ストレッチに切り替えると良いだろう。
また長時間やる場合は眼をつぶって休める時間も合間に入れる。

というのが視力回復を効率よく行う方法になる。
両目の視力に差がある人は片目ずつ動的ストレッチをするように。

過去に視力回復に挑戦するも効果を感じられず挫折した人は、この二点に気を付けて改めて取り組んでみると良い。
近視の人のほとんどは眼のピント調節筋をかなりゆるめるという事が少ないためにこの筋肉の柔軟性がかなり低下していて、だからこそ誰でもやればある程度はピント調節筋の柔軟性を回復させて視力も多少は改善できる。
ただ眼軸の伸びは改善されないので視力回復も限度はあるだろうが。

前回の記事でも書いた通り、「視力が向上していくと使っている眼鏡やコンタクトの度があわなくなっていき、度を弱めた物に買い替えしていかざるをえない」というのには注意しておくべき。
度のあってない眼鏡やコンタクトをして車を運転したり外を歩くのはかなり危ないし、眼鏡などの買い替えは金銭的なダメージも大きい。


<ストレッチ中にピント調節筋がしっかりほぐれたかどうかの確認を毎回する事>

ピント調節筋の柔軟性を毎日高めていくには、「毎回のストレッチでしっかりピント調節筋がほぐれたか?」というのをその都度確認しないといけない。
もしピント調節筋がきちんとほぐれていない場合は柔軟性の向上にはなっていないから。

これを確認する方法はすごい簡単だ。
ピント調節筋がストレッチ中にしっかりほぐれると、「ストレッチ開始時より明らかに遠くの物の見えが良くなる」という現象が起きる。
これがストレッチ中に起きた場合はピント調節筋がしっかりほぐれている証拠で、時間が許すならそこから10分や15分くらいはこのほぐれた状態で遠くの景色や室内の色々な細かい物をしっかり見続ける事をやると良い。

物の見えが良くなると色々な物をしっかり見るのがかなり楽しくなるので見続けるのも苦痛でないはず。

残念ながらストレッチを終えてしばらくするとまたピント調節筋は固くなるものの、このように毎日ピント調節筋をしっかりほぐす事を繰り返す事で確実にピント調節筋の柔軟性は日々向上していく事になる。