漫画や小説の売れ行きを増やすタイトル付けの話
漫画や小説、またその他の本も、タイトルによってその本に興味を持ってもらえるかどうかというのはかなり違ってきます。
今は世の中にコンテンツが大量にありすぎて、「内容は良いはずなのに自分の作品を読んですらもらえない」という事が多く、そのため「タイトルでまず興味を持ってもらう」という事をするのはかなり大事です。
出版社を介して漫画や小説を出している方は編集者と時間をかけていくつものタイトル案を出し、その中で販促効果が高いと思われるタイトルを選べるでしょう。
しかし自分でkindleなどで本を出している場合は自分で販促効果の高いタイトルを考えないといけません。
kindleインディーズ作品でも、「漫画のタイトルの時点で興味を持ってもらえるようなタイトルにする」を意識すると、閲覧数やダウンロード数も違ってくると思います。
今回は「ユーザーが自分の作品を読みたくなるようなタイトルはどうやって付けるか?」を考えてみましょう。
<タイトルでその漫画の内容を表す>
ほとんどの漫画や小説ではタイトルでその内容を表している事が多いでしょう。
たとえば「ヒカルの碁」は、少ない文字数ですがヒカルという少年が囲碁をするという漫画だという事がすぐわかると思います。
しかしこういうケースではなく、内容がよくわからないタイトル付けをしている場合もあります。
今適当に考えたタイトル名ですが、「ブルーライトニング」みたいなタイトルだと内容がよくわかりませんよね。
印象的なタイトル名にしたいとか、その他の理由で内容が伝わらないタイトルにする場合もあると思いますが、できればタイトルから漫画や小説の内容の一部がわかるようなタイトル付けをされた方が良いでしょう。
<なろう小説は何故ああいう長ったらしいタイトルになったのか?>
ラノベのタイトルがどんどん文字数が多くなり、今はほとんどのラノベやなろう小説が長文タイトルになっています。
これは「できるだけタイトルの時点で本の内容を紹介してその本に興味を持ってもらう」というのを狙ってこうなっているのです。
たとえば「片田舎のおっさん、剣聖になる~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~」は、もうこのタイトルで色々な説明がされていて、「この本を読んでみたい」と思う人も増やしやすいでしょう。
だからなろう作品や最近のラノベはこういう長ったらしいタイトルになっているわけです。
どんなに頑張って面白い作品を作っても、それをまず読んでもらわないと駄目なので、「タイトルの時点で情報を色々提示して作品に興味を持ってもらう」みたいな事をしているのです。
また、大喜利的にタイトルで爆笑させて興味を持ってもらうというのもあるでしょう。
たとえば「元首相の異世界戦記 -私が来てから物価の上昇が止まらないのだが?-」という小説なり漫画がもしあったら、もうこのタイトルを聞いた時点でツボにはまり、わりと多くの人が「この作品を読んでみたい!!」と思ってしまうのではないでしょうか。
<長いタイトルを付ける時の注意点>
なろう小説的な文字数が多いタイトルを付ける場合に注意しておくべき点があります。
それは「検索間違いが無いよう、一旦短いタイトルで区切ってからサブタイトル的に長い文を追加する」という事。
たとえば「異世界転生した元校長が教え子たちに反旗を翻されて国が滅びそうなのだが?」みたいなタイトルは駄目です。
コピー&ペーストとかできるとは言え、自分でタイトルを入力してストアや投稿サイトで検索する人も多く、こういう長いタイトルは打ち間違いが必ず起きて検索結果に出てこず、読む人を減らします。
こうではなく「元校長の異世界物語 教え子達が全て国に反旗を翻して滅亡しそうなのだが?」みたいな一旦区切るスタイルのタイトルにしましょう。
こうすると「元校長の異世界物語」というワードだけでストアで検索して楽に探せるようになります。
<kindle本の表紙デザインで気を付けておくべき事>
kindleで自分で本を出す人の場合、表紙のデザインでいくつか注意すべき点があります。
まずは「表紙の右上と右下あたりには巻数表示を入れない」という事。
kindleでは右上には「既読」や「70%」や「new」みたいな表示がされ、右下にはダウンロードしているかどうかを示すマークが付いてしまいます。
そのため、このエリアや近くには巻数表示を入れるのではなく、他の場所に入れるようにしましょう。
次に「巻数を示す文字は大きめにする」という事。
kindleインディーズで色々な方のシリーズ漫画をダウンロードして読んでいますが、「表紙画像だけ表示のモードでは、巻数を示す文字が小さすぎてどれが何巻かわからない」という事になっているのがわりと多かったです。
これは読者に無駄にストレスを与えるため、どれが何巻かの数字は大きめに入れるようにしましょう。
最後に長いタイトルですが、小さく表紙が表示された時にタイトルを読みやすくするにはある程度の文字サイズにする必要がありますが、長文タイトルでそれをやると表紙の多くのエリアが文字で埋まってしまいます。
kindleで出す漫画や小説は魅力的な表紙絵でも読者をひきつけた方が良く、絵のエリアをある程度確保するためには「長文タイトルでは、最初の部分だけ大きく表示して残りは小さく表示する」をやると良いでしょう。
たとえば「元校長の異世界物語 教え子達が全て国に反旗を翻して滅亡しそうなのだが?」では、「元校長の異世界物語」を大きめの文字にし、残りの「教え子達が全て国に反旗を翻して滅亡しそうなのだが?」は小さめの文字で表紙に入れるという感じです。
実際にこういうデザインをしているなろう作品が多いでしょう。
「元校長の異世界物語」と「教え子達が全て国に反旗を翻して滅亡しそうなのだが?」は位置的に近くにせず離しても問題ないので、これも意識するとレイアウトしやすくなるでしょう。
<シンプルなタイトルも作風によっては良い場合もある>
基本的に作品の内容がわかったり、その作品をより「読みたい」と思わせるために長めのタイトルにした方が良いのですが、これも作品によっては「短くシンプルな方が作品の印象が良くなる」というのもあります。
最近kindleインディーズで猫野サラさんの「夕凪を写しに」というシリーズ漫画(全四冊)をダウンロードして読んだのですが、独特の雰囲気と読後感がある素敵な作品でした。
上記の作者さんのnoteでも読めるので、読んで気に入ったらkindleインディーズ版もダウンロードしておくのをおすすめします。
この作品がもし説明的な長ったらしいタイトル名になっていたら、印象ぶち壊しになってしまうでしょう。
漫画や小説も「より多くの人が読みたくなるような長いタイトルにするのか?それとも作品の印象を重視した短めのタイトルにするのか?」は、個別の作品ごとに考えていく必要があるでしょう。
「短い文字数でもなんだか気になる、読んでみたくなる」みたいなタイトル付けをしている作品もあり、アマゾンやお近くの書店で色々な本のタイトルをチェックして研究されると良いでしょう。
<短いタイトルの表紙は下の方に帯をつけるのも良い>
わりと多くの本が表紙の下の方に帯をつけて、そこに何らかの文章を入れて本に興味を持ってもらうという事をしています。
帯というのは結構販促効果があるので、kindleで短いタイトルで本を出す人も表紙に帯を付ける事を検討してみてください。
帯のサイズ(縦のサイズ)が大きすぎると表紙絵がずいぶん隠れてしまうので、小さめの帯にした方が良いでしょう。縦サイズの1/4以下とか。
この部分にその本に興味をもってもらうような短めの文章を入れてみるのです。
「珠玉の短編集!!」とか「癒し力が半端ない!!」「ラーメン好きにはたまらない!!」「心に響く物語」「少年が辿った数奇な人生とは?」みたいに。
帯の文章は長い文章になると表紙が小さく表示された時に帯の文字が読めなくなるので、少ない文字数で切れ味の良い言葉を入れるようにしましょう。
アマゾンでのストアでの表紙のサムネイルサイズで、適切な文字の大きさを確認してください。
景山えあさんが出しているkindleインディーズ漫画は表紙デザインがかなり良いと思います。
表紙デザインの参考になるでしょう。
<商標権侵害などに注意>
タイトルによっては商標権を侵害してしまう場合があります。
たとえば「ディズニーランド戦記」みたいなタイトルにしてしまうと、オリエンタルランドからすぐに出版差し止めの勧告が来てしまうでしょう。
また、「すでに出ている他の本とタイトルが結構似ている」も場合によっては不正競争防止法違反で訴えられたり、その本のファンからアンチレビュー攻撃を受ける(低評価連発)ので注意してください。
「似た名前の商品が不正競争防止法で訴えられた」みたいなニュースは時々見ると思います。
なろう小説を投稿サイトでアップしている人も似たタイトルは低評価爆撃を食らいかねないので注意を。
出版社から本を出す場合はこういう商標権侵害や、すでに出ている本と似たタイトルにならないようチェックしてくれるでしょうが、自分でkindleで小説や漫画やその他の本を出す場合は、これらの点にもきちんと注意してタイトル付けをする必要があります。