漫画家の活躍の場を増やす新しいゲームジャンルの話

サウンドノベルやビジュアルノベルなど、PCやゲーム機で遊ぶアドベンチャーゲームは今は本当に色々出ています。
また昔はプレイステーションでやるドラ(やるドラマ)というシリーズがあり、アニメーションを観ながら途中で分岐する物語を楽しむゲームもありました。
ダブルキャストというゲームを遊んだ人もわりといるでしょう。

サウンドノベルは文字を読みながら物語を楽しみ、途中の分岐で物語が変わっていきます。
ビジュアルノベルは文字や会話にキャラの立ち絵やイベントシーン画像があるという感じです。

それなら「漫画のコマを画面に一つだけ表示しながら、途中で選択肢(選択コマ)が表示される漫画形式のアドベンチャーゲーム」というのもあっては良いのではないでしょうか。

ゲームシステムとしてはかなりシンプルな作りなので、個人で漫画を描ける方ならunityの基礎を少し覚えると自分一人でこういうゲームを作って、パブリッシャーと契約してswitch,ps,xbox,steam(pc)で出して儲けるという事も可能です。

基本的には漫画のコマが一つだけ画面に大きく表示されて、ボタンを押すと次のコマに表示が変わり、バックログ確認のために手動で前のコマ表示に戻す事も可能という風に。
そして「選択肢」というマークが画面内に表示されたら、複数のコマの中から次の展開のコマを選ぶという感じです。(十字キーの左右で次の展開のコマを変えていって選ぶ)

内部処理としてはコマ用の画像レイヤーとは別にセリフ枠のレイヤーを用意し、さらにセリフはその枠内に横書きのテキストとして表示すると、同じコマ画像を別のシーンでも使ってそこでは別のセリフをキャラに喋らせる事もできるでしょう。
コマ画像の使いまわしは制作コストの削減になります。

また、セリフやモノローグなどを横書きのテキストデータで表示するのは、「海外でも売るため」です。
英語や中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語、その他でも出すならセリフ枠は横書きに対応した形やサイズを意識すべきです。
海外でも出すと売れ行きが結構増えます。

個人で作る場合はまずは日本語と英語バージョンでセリフを作っておき、パブリッシャーと相談して対応言語を増やす、みたいにしたら良いでしょう。


サウンドノベルやビジュアルノベルでは複雑なフラグやパラメーター管理で物語が変わっていく形式で作っているのもあります。
そういうのを作るのはかなり大変です。

でも「選択肢(選択コマ)で物語が枝分かれしていくだけ」というシンプルな構造ならアドベンチャーゲームを作り慣れていない人でも簡単に作れます。
途中途中で分岐していき、「プレイによって30以上のエンディングに辿り着く」みたいな感じで良いでしょう。

ホラー系の作品なら選択によって自分や仲間のキャラが死んだり助かったり、あるいは展開がずいぶんと変わったり。
なろう系作品なら選択によってはプレイヤーが返り討ちにあってゲームオーバーになったりも。いかに上手く真エンディングに辿り着くか探す楽しみがあります。
恋愛系や萌え系作品では展開によって仲良くなるキャラが変わったりも。

かまいたちの夜みたいに選択によってずいぶんと物語が変わってしまう(シリアス、お笑い、ホラー、不思議体験)みたいなのも作れるでしょう。

こういうゲームはvtuberなどにゲーム実況された場合も、視聴者は「選択肢によって展開が変わるから、自分も買って遊んでみたい」と思われたり。

「遊ぶ漫画」「プレイコミック」など呼び方は色々あると思いますが、一作品600円前後の買いやすい価格でそこそこ物語が分岐するゲームを出して、日本だけでなく海外でも売るようにすると、まぁまぁ売れる作品も出てくるのではないでしょうか。
今はインディーゲームはセールの時に安くした方が売れるので、セール時はもっと安く売った方が良いですが。

キャラのボイスは製作費抑えるために入れなくても良いと思いますが、シーンごとに音楽は色々な種類の中から選んで流したり、シーンによっては無音にしたりすると良いでしょう。
音楽ではなく環境音を流したり。
またキャラボイス入れるならソフトの値段は上げた方が良いと思います。


注意点もいくつかあります。

まずは商標について。
「遊ぶ漫画」「プレイコミック」「やる漫」など、このジャンルをどう読んでいいかは悩みどころですが、こういうゲーム内容を表す言葉は必ずいずれかの会社が商標を取ってしまいます。(すでに取られているのもありそう)
そのため、自分の作品のタイトルや商品説明にすでに商標を取られている言葉を入れないように注意しましょう。
うっかり入れると使用料を後ほど請求されたり販売差し止めとなります。
商標についてはネット検索で調べられるサイトを国が用意しているので、ゲーム向けのカテゴリーで商標のチェックをしておくのをおすすめします。

次は「わりとすぐ色々な作品が出て競争が激しくなる」という事。
今現在漫画は普通の漫画や縦読み漫画など、どこもまぁ競争はすごい激しいです。

「ゲームの世界で漫画を読む形式のゲームが登場した」となると、「じゃあ自分達もそういうゲームを出して稼ごう」という人達が結構出てくるので、競争はすぐ激化するでしょう。
日本だけでなく韓国とか中国もこういうゲームを大量に投入してくると思います。

それでもこのゲームは漫画絵が描ける人なら個人でも一年以内に一作や二作出せると思うので、「自分もちょっと小遣い稼ぎしてみるかな」と思ったら制作を検討してはどうでしょうか。

過去に漫画を連載されていた人で、なかなか雑誌や漫画アプリで連載を取れない人も挑戦されてみてはと思います。
psyrenの岩代俊明さんがこういうので一人で作ってゲームを出されたら、結構話題になったりして。
漫画の連載は締め切りがあって、歳を取ると雑誌や漫画アプリでの連載はかなりきついけど、こっちはマイペースで作っていけるというのもあります。

あとはトーンのモアレ問題ですね。
網点トーンは結構モアレてしまうので、いかにゲーム画面として表示する時に綺麗に表示されるようにするかを試行錯誤する必要があります。

普通の漫画のようなモノクロ風画面でも良いし、縦読み漫画に多いカラー漫画として作るのも良いでしょう。

将来はこのジャンルで新しいヒットクリエイターも出てくるのではと思います。