芋けんぴ
例えば今日が、僕が生きる最後の日だとして「何が食べたい?」って聞かれたら、それと答えることはないと思うけど、今となっては何が好きかさえよくわかんないけど、
それでも僕は、芋けんぴが好き。
芋けんぴ、芋けんぴ、芋けんぴ。最後の「ぴ」がなんか可愛い。フライドポテトと対を成す食べ物だと僕は勝手に思ってる。ポテトと違って歯の隙間に挟まると硬いからちょっと痛いけど、それすら愛おしい。猫と一緒(猫に失礼ですね、ごめんなさい)。カリカリ。
好きなものに好きと言うことは悪いことじゃないのに、相手の顔色とか、世間体とか、そんなよくわからないものを気にして嘘をついたり、言えなかったりする。それは嫌いなものに対しても同じで、生き辛いというか、息がし辛い。呼吸の話ではなく、本心の話。それは多分、優しいんだと思う、でも優しくもないよ、自分の心に対してね。普段の生活の中で、言いたくても言えないことがたくさんあるけど、好き嫌いに関しては正直でいたい。文章を書くことを生業にしたいのに、本当に好きなものや、一目惚れした好きに対して、「最高!!」とか、「めちゃくちゃよき!!」とか、そういうことしか言えないのがいつも悔しい。でも、言葉にできなくてよかったのかもね。だって言葉にすればするほど薄っぺらく感じることだってあるから。
想いが伝わればそれでいいんだ、いつだって。
僕は芋けんぴが好き。
でも、もし今日が僕が生きる最後の日だとしたら、僕は天下一品のこってりラーメンに、煮卵をトッピングして食べて、食後にカフェラテを飲みながら、ミスタードーナツのゴールデンチョコレートが食べたいです。