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上大崎発読書案内

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#おすすめ本

女の子だと……?/『囚われのアマル』/文:編集部 小島範子

 舞台は現代のパキスタン。主人公のアマルは、小さな村に住む12歳の少女。本が好きで、学校で先生のお手伝いをする時間が楽しみ。家では三人の妹たちの世話をする日々ですが、さらにもうひとり妹が生まれます。父親は、生まれたのがまたしても女の子だと知ると、喜ぶ様子もありません。母親は産後体調がすぐれず、赤ん坊の世話はアマルがしなければならず、学校へも行けなくなってしまいます。  そんなある日、市場に買い物に行ったアマルは、店にあった最後の一個のザクロを買い求めた直後に、車にぶつけられ

被災地を歩いて見つけた美

 今年で東日本大震災から10年。当時はまだ赤子だった子どもたちが10歳になると考えると、月日が経つのは早いと感じます。  2月刊絵本『はるのひ』の作者、小池アミイゴさんは震災後、自分が被災地に唯一貢献できるのは被災地で見つけた美しい風景を描いてその美しさを共有していくことだ、と感じてから、何度も被災地を訪れて海辺の風景などを描き、「東日本」という個展を定期的に開催されてきました。その活動がきっかけになり、依頼を受けたのが、絵本『とうだい』です。  岬にたつ生まれたての灯台