塩野米松『るすばんムクドリ君へ』
この連載では、1980年代の当時は話題になったけれど、今は書店で手に入りにくくなっている作品を紹介していきます。
一年の半分以上も旅をして、「アンクル米松」の名前で雑誌などに寄稿していた著者が、各地で見聞きした自然や人々の暮らしを、父さんから我が子への絵入り手紙の形式で記した紀行文です。タイトルは、著者が子どもの頃、ヒナから育てたムクドリが、学校から帰って来る著者を待っていて、学校での様子をムクドリに話しながら餌をやっていたことに由来します。
最初の手紙は春先の関門海