マガジンのカバー画像

「もう一度読みたい! '80年代の日本の傑作」

6
運営しているクリエイター

2021年3月の記事一覧

森山 京『あしたもよかった』

 この連載では、1980年代の当時は話題になったけど、今は書店で手に入りにくくなっている作品を紹介していきます。  作者の森山京は、コピーライターの仕事をした後、40歳頃から童話を書き始め、『きいろいばけつ』『つりばしゆらゆら』など、多くの幼年童話の傑作を残しています。この作品も、小さなクマの子が野原で出会った一日の、様々な体験や驚きを詩的に描いて、深く心に残ります。  朝、クマの子は川のふちに座り、耳をすますと、水が「きつねくんきつねくん」とささやいているように聞こえ、