令和に情報カードを利用している話
情報カードというものがある。梅棹忠夫氏による『知的生産の技術』という1969年の本で紹介されて世に知られるようになった。この情報カードを2ヶ月ほど利用してみたので、現状の利用状況をここに記そうと思う。
情報カードの利用方法としては、以下のルールがある程度のものである。至ってシンプル。
B6の厚紙をノートの代わりに利用する。
1枚1項目。原則として裏側は利用しない。
カードにはタイトルと日付を入れる
知的生産界隈では古来より有名だが、実際に今どき実践している人は少ない。僕も知的生産の技術は20年ほど前に読んでいたが、まったく実践していなかった。市販のカード自体が結構高いし、カードをどうやって保管するか、などもあまり想像がついていなかったからだ。
しかし、近年では、ダイソーでB6の情報カードが入手できるようになったこと、B6のカードを保管するのにちょうどいい箱がこれまたダイソーで販売されていることなども手伝って、試しにやってみようかな、という気になって、今年から始めてみている。また、それまでは保管場所もなかったのだが、、コロナ禍によって書斎を整備したためにカードを保管するスペースを得ることになったということが大きい。情報カードは、書斎があることが大前提の知的生産の技術だと私は思う。
Digital では駄目なのか
Obsidian を始めとしたデジタルメモのほうが便利なのではないか、という話もある。デジタルメモの利点は以下のようなものであろう。
かさばらない。量が増えても場所を取らない。
量に比例したコストがほとんどかからない
高い検索性
これはもう言うまでもないことである。一方で、紙のメモの利点は以下のようなものだろう。
高い一覧性
紙に書くことで得られる理解度の向上
画面外で見られることによる、いつでも見られるということ。
まぁ、最終的なところでは、情報カードを使ってみたかったから使っている、というのが本音のところですが、、
Obsidian のコミュニティでは Zettelkasten が人気だけれど、Zettelkasten も ID を振って整理してリンクを貼るという点を除けばほぼ、知的生産の技術で述べられているカード術と同じである。Zettelkasten とにせよ情報カードにせよ「1枚に1トピック」を原則とするわけだが、Obsidian を始めとするデジタルメモでは意外とこれを守るのが難しい。現実的にはだんだんと長くなりがちである。実際にやった結果、やはり物理的な紙を使った場合とデジタルメモでは体験がだいぶ違うのだな、ということを体得したのである。
サイズはB6が最適なのか
正直、最適なサイズがB6なのかはわからない。が、僕はわりと字を大きく書きたいので、B6を利用している。得てしてこういう「メソッド」を実践するにあたって、自己流のアレンジを加えた結果、エッセンスが失われるということはよくあることなので、できるだけしばらくの間はアレンジを入れずに実施したかった。
初めてからしばらくしてから気づいたのだが、B6よりも5x3サイズのほうが、輸入をいとわないのであればジョッター・引き出しなどのオプションがたくさんあって楽しいと思う。日本語を書くとなると、少し狭い気はする。
初心者における情報カード利用の実際と、沼
僕が情報カードを始めるにあたっては、ダイソーのB6情報カードから始めた。これを納めるちょうどいい箱をダイソーでこれまた探して入れ始めた。
しかし、しばらくしてみると、コレクトやコクヨからでているカードの使い心地がどうなのかということと、コレクトやコクヨから出ている箱はどうなのかということが気になってくる。
ダイソーのカードを少し使ってから我慢できずにコレクトの情報カードを買ってみた。実際使ってみると、まぁダイソーのものよりは高いのだが、非常に使い勝手がよろしい。どういいかというと、「繰り返しくる」ことがしやすいのだ。この「繰り返しくる」というのは『知的生産の技術』の中でも繰り返し述べられている言葉である。一度書いたカードを何度も何度もめくって見ることが大事なのだが、これがコレクトのカードのほうが圧倒的に紙がしっかりしているのでやりやすいのだ。というわけで、最近ではコレクトの B6 の穴あきの方眼を主につかっている。
このカードをどこに入れるかというのも、結局コレクトのちょっといい木の箱に入れている。これがカードのために作られただけあって非常に使いやすい。自分が過去にかいたカードをめくって探すのに都合が良い。300枚ほど保管できるので、今考えている内容に関するカードなどは全部これに入れている。
カードを箱にいれるにあたって、すぐに探したいカードも出てきたので、ある程度の分類をすることにしてみた。見出しカードを入れると非常に使いやすくなった。
木の箱に入らなくなったカードはいったん、↓これにいれて保管してみている。これにも入らなくなったら、クローゼットにしまうのかな?その時が来るまでに考えないといけない。
なお、ジョッターも欲しくなって、買った。これが一番高い。。これはもうなんかそもそもジョッターというものを使ってみたかったし、せっかくジョッターを買うなら革がいいなと思ったからであって、別に革である必然性はまったくない。
Obsidianはもう使っていないのか?
普通に使っている。デジタルメモが適しているシーンには Obsidian を利用しているし、そうじゃないものには原則として情報カードを利用しているということである。
システム手帳との比較
システム手帳でもだいたい同じことができるのだけど、システム手帳ってバインダーを開いたり閉じたりするのがめんどくさくて、ページの入れ替えとかってやる手間が結構でかい。意外とでかい。システム手帳好きの人からしたら、「そんなの手間じゃないよ」って思うかもしれないけれど、まぁ閉じてない紙のカードを入れ替える手間と比べたらやっぱり手間ですよ。
何を書くのか
正直、何を書いてもいいのだが、何を書いてもいいと言われると逆に難しいのが人間である。
例えば僕の場合であれば「アニサキス」に関するメモがあったり、「komapper」に関するカードがあったりする。
カードは一枚一項目なのだが、一つのテーマについて深く考えるときは、カードを近くに寄せてまとめておいておくというようなことが非常に容易にできる。
とにかく、心に引っかかりがあるものを書いておくという感じでやっていれば、引っ掛かりがあるものがなんなのかがわかるようになって、自分にとって興味あるものがわかりやすくなる。
たとえばなにかについて深く考えよう、なんてときには、カードを複数枚机に並べて考えたりする、なんてこともしやすくて良い。
結局、情報カードは何がいいのか?
「繰り返しくる」ことができる。というのは非常な利点なのだなということに気付かされる。ノートに書くと、古いカードは押し出されてかえりみられなくなってしまいがちだけれど、カードだったら、カードボックスから押し出されない限りはすぐに見られる。押し出すかどうかは、僕の場合は「まだ引っかかりがあるかどうか」で判断していて、「もう引っかかりはないな」ということであれば二次保管ボックスに移している。
まぁ、初めてから2ヶ月ぐらいなのでまだまだ運用方法は変わるだろうし、なんなら辞めちゃうかもしれないが、少なくとも年内ぐらいまでは続けてみたいなと思っている。
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