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午前三時の風

Aです。昨日の記事について〜

・めちゃめちゃ楽しく読みました。
・苺をガチャの確定レア扱いしていただけて、わたしも嬉しいです。
・先輩の読書量に驚きました。
・「躁鬱」と「矮小」が読めなかったので、Mさんの文章でわたしのボキャブラリーが増えました。
・MさんとHさんについて、仲良きことは美しきかな! と思いました。

それでは本編へ。どうぞ〜

2月22日(月)AM3:00

いつもより早く22時に電気を消して布団に入った。夜ふかしに慣れているため寝つけず、23時前にようやく眠れた。
午前3時に悪夢で目を覚ました。

実家に帰省したら、ちょうど家宅捜索が行われている夢だった。3月の北海道は雪が溶け始めて道がぐちょぐちょだった。母も父も妹もイオンに行っていたため、わたしと知らない2人と刑事さんがうちの玄関フードにいて、警察が車や家の中を調べているところだった。
「一見幸せそうに見える家庭でも事件が起きたケースを、これまで何十件も見ていますから」
と夢の中の刑事さんは言った。我が家で一体何が起きているんだ。
ちなみに家宅捜索は『半沢直樹』でしか見たことがないので、想像力に欠ける。

目を覚ました。のどがカラカラで、おでこは熱く、眉間に皺が寄っていた感じがする。
こわかったよ。
どうして、温泉に入って幸せいっぱいで帰ってきた日の夢が悪夢なの。

ていうか今日、暑いな。
まだ2月だぞ。

ペットボトルのほうじ茶を飲んで一息つき、リップクリームを塗って布団に戻った。

眠れない。


そうだ、夜風にあたろう。


実家にいたとき、寝る直前に自分の部屋の窓を少しだけ開けて、星が出ているのを確認してから寝ていた。毎日必ずではないけど、わりとやっていた。夏の夜は暑くて寝苦しいが、お盆を過ぎれば北海道では8月でも涼しい夜風が吹く。冬はオイルヒーターで温められた部屋の中で、もこもこの毛布にくるまれながら、雪の日でも数cm開けたりしていた。近所の家の屋根に雪が積もる早さを確認して閉め、メガネを外して寝ていた。


夜中の3時にそっと窓を開けた。

クールダウンできる。
なんて気持ちいいの。

布団に覆われてのぼせた顔に
そよそよと吹き込む冷たい夜風。
冬の露天風呂みたいに贅沢……

このまま寝たら風邪ひいちゃうから、
いつか閉めなきゃだけど。
心地いい。

心地いい……


むにゃむにゃ……。



AM7:00

やわらかい太陽の光で起きた。
よく眠れた。
今日は本当に暖かかったんだ。
暖房、つけなかったもん……。

真夜中の、真っ暗闇の中に吹く、
閑かな夜風が気持ちよかったから、
また窓を開けてみた。

冷たくて気持ちがいい。
夏になったら蒸し暑くて
朝が来るのがうんざりするから
今の季節だけの贅沢だ。

風の冷たさと匂いが、
ポルトガルのモンサラーシュという
標高332mの小さな村で
地平線から昇る朝日をみたときの記憶に
酷似していたのでカメラロールを調べたら、
それはちょうど1年前の今日の出来事だった。

2020年2月21日から22日にかけての出来事だった。交通手段がないため、駅員さんの私用の車に乗せてもらい、村の宿で一泊した。
明け方に宿を出て村の南西の城に向かった。誰もいない。眼下には墓地が見える。強風が吹く極寒の要塞で、暗闇の中朝日を待った。
東の空の山の際からオレンジ色の光が広がって、徐々に日が昇りはじめた。日の出をもっと見やすい方向で見るために、わたしは北東の門に向かって走った。
まもなく村全体が明るく照らされ温められた。鳥や犬の鳴き声が聞こえ始めた。朝を知らせる鐘が村中に鳴り響く。変わらず太陽が昇ることにあれほど安心したのは初めてだった。揺るがないパワーと美しさを感じた。

1年経った今日でも、
五感で美しい風景を思い出せる。
あの旅はいい旅だったんだと思う。


おわり

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