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ふたりの『終わりなき旅』
遠くに住む友達からラインが来た。
「今日コンビニに行ったら、ミスチルの『終わりなき旅』が流れてて、一気に心が青春に戻ったよ」
大学に入ってすぐの頃、Mr.Childrenが好きって話になって急にわたしが『終わりなき旅』のお気に入りの部分を歌い出したことを思い出したらしい。
友達も、そこ!いいよね!ってなって二人でハモッて歌ったのだそうだ。
「ごめん、覚えてない。でもうちらめっちゃ青春してたんだね!」
『終わりなき旅』のどの部分で意気投合したんだろう。
大学生のわたしはどこが好きだったんだろう。
夕ご飯を作りながら久しぶりに聴いてみた。
“息を切らしてさ 駆け抜けた道を 振り返りはしないのさ ただ未来だけを見据えながら 放つ願い”
冒頭を聴くと思い出す。
あの頃、ずっと音楽を聴きながらマンガを描いていた。
この『終わりなき旅』を当時のわたしはたぶん、マンガ家目指して走り続ける自分と重ねていたんだろう。
鍋をかき混ぜながら、じっと聴く。
”高ければ高い壁の方が登った時気持ちいいもんな”
この部分をプロへの野心を持って聴いていたな。
だけど、刻まれた文字がはっきりと浮かび上がったのは、
”誰の真似もすんな 君は君でいい”
ここだ。
この言葉がわたしに刻まれている。
「この前のさ~『終わりなき旅』の意気投合してたとこって、”誰の真似もすんな 君は君でいい”のとこ?」
ラインを送ると友達からすぐ返事が来た。
「そこだよ!!よかった、魂変わってない!!」
友達もマンガを描く人だった。
わたしは大学に入ってから初めてマンガを描く人に出会った。
高校生までは読んでくれる友達はいても、描いている友達はいなかった。
出会えたとき本当に本当にうれしかったのだ。
夢に向かって突っ走る自分をどこか普通じゃない、とも思っていた。
だからミスチルが”君は君でいい”と言ってくれて安心していたんだと思う。
20年ぐらいずっとこの歌詞が刺さったままだったんだな。
友達もマンガ家を目指していた。
2人で夜通しカリカリと描いた。
あの青春のカケラが残ってたみたいでちょっとうれしい。
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