不動産オーナー探訪記 第1話 日本殖産興業
こんにちはとっくさんです。新連載のオーナー探訪記です。これはどういうものなのか説明が難しいのですが、仲介会社さんや不動産業者さんと話していると地主さんの沿革や土地情報に詳しい人、売買に詳しい人や過去の地主さんの情報など異様に詳しい人がいます。
不動産は5年10年50年と長丁場で語られることが多いので、知る人ぞ知る所有者や不動産オーナーの事情などがたくさんあります。しかしみんなWEBサイトはおろか会社概要すらあまり公開していません。
ビルを100棟持っていても不動産の情報以外はとても薄い。なんなら個人オーナーの感覚で物件を所有しているのです。そんな埋もれてしまいそうな不動産屋さんの情報や物件オーナーの情報をあつめてみたWEBに載っている様で載っていない情報を思いつくままに徒然書き連ねていこうかと思います。
三井不動産や三菱地所のような大手ではなく、でも公式の沿革だけ追っていくには一苦労。
そういった情報を探訪していきたいなと思っています。あまり馴染みの濃すぎる情報だとWikiやGoogleで検索したほうが情報は出てきます。あまりリンクされない情報が面白いような気がしています。
第1話 日本殖産興業
日本殖産興業、京橋や茅場町などの日殖ビルと名前がつくビルを複数所有しているのですがホームページは無く、どういった会社か中々わかりません。
少し過去を漁ると入居テナントとの訴訟の情報が出てくる程度。いったいどういった会社なのか謎めています。その答えは根津美術館にあります。
根津美術館の事業計画を参照すると以下のような記載があります。
1.不動産事業
平成 5 年に当館の土地の一部に、地上 5 階地下 1 階、延べ床面積 2141 平米の「青山サンライトビル」を日本殖産興業株式会社と持分割合二分の一で建築した。建物の当館持分については貸店舗とすることを目的として日本殖産興業株式会社に年間約 6000 万円で賃貸しており、管理は日本殖産に業務委託している。また、建物の日本殖産持分については、底地の地代として年間約 1700 万円の収入を得ており、他に、駐車場の賃料として年間約 60 万円、NTT ドコモの移動通信設備設置料として年間約 80 万円、合計年間約 7800 万円の収入があり、当館の運営における安定した収入源となっている。
日本殖産興業はあの「根津財閥」からの派生企業になるのです。根津財閥は、根津嘉一郎 (初代)によって設立された日本の中堅財閥。現在の東武グループの前身企業。
財閥解体になりグループは分かれていきますが、関連企業としては東武鉄道、東武百貨店、南海電気鉄道、東京地下鉄道、富国生命といった名前が上がります。
今では財閥の中で大きく分かれてしまった企業ではありますが、まだまだ根津の家は脈々と受け継がれているのです。
株式会社東武ストア、株主総会資料より
実質は根津家との繋がりか東武鉄道絡みの天下り先資産管理会社としての立ち位置が強そうですが名家の名残ありです。
その他根津美術館、根津育英会、教育系であれば武蔵大学。その他日清製粉グループ本社、日清紡、サッポロビールなども派生企業として名を連ねています。
企業概要
企業名:日本殖産興業株式会社
所在地 :東京都中央区京橋1-8-7 京橋日殖ビル9階
代表者 :根津 嘉澄
業種 :土地賃貸
主な賃貸オフィス:池之端日殖ビル、京橋日殖ビル、茅場町日殖ビル、青山サンライトビル
シリーズ連載
主にオフィスに関する不動産知識や趣味で短文小説を書いています。第1作目のツボ売り、それ以外も不動産界隈の話を書いていければ良いなと思っています。 サポート貰えると記事を書いてる励みになります。いいねをしてくれるだけでも読者がいる実感が持ててやる気が出ます