見出し画像

赤坂迎賓館 和風別館見学

赤坂迎賓館の和風別館へ見学に行ってきました。
久しぶりの大人の社会科見学です。

赤坂迎賓館は普段から解放されていて、有料ではありますが見学が可能です。
赤坂迎賓館と言えば宮廷のような洋風の建物を思い浮かべますが和風の別館もあり、こちらにはガイドツアーがあるのでこちらに申し込みました。

まず警備が非常に厳しかったです。持ち物のX線検査と金属探知機の検査がありました。ここまでは他の見学施設でも体験したことがありましたが、持ち込みの飲物がある場合、一口飲んで危険物ではないと確認を取る必要がありました。

見学できるとは言え普段は外交の場として使われていますので、万が一なにかあった場合国の威信にかかわる事態になりますので警備が厳しくなるのも理解できます。

本館と呼ばれる宮殿風の建物から庭園の端の方の通路の先に隠れるように和風別館はあります。実際に周りにはビルなどの高層建築もありますが樹木を植えることで周りからは見えにくくなっているそうです。すぐ隣にはホテルニューオータニもあるのですが樹木で隠されているかたちになっていました。

和風別館は游心亭(ゆうしんてい)と言う名前なのだそうです。外国の要人を迎えるにあたり和風テイストを味わって頂きたいという考えから1974年(昭和49)に迎賓館の大改修に合わせて建てられたのだそうです。設計は谷口吉郎氏です。

ヘッダーに使用している写真が外観ですが、庭には池がありいかにも日本的な建物です。池の水に光が反射して建物内の天井や柱に水面のゆらぎが映し出されるように設計されているのだそうです。写真のすだれ部分に写っているのが水面の反射で見えるゆらぎです。建物内でもこの水面が反射したゆらぎをきれいに見る事ができました。冬場になって日が低くなると天井の一番奥までゆらぎが映るそうです。

画像1

この池は水面のゆらぎを映すのために作られていたので、建築当時は水深は20cmほどしかなかったそうです。ですがここを訪れた田中角栄が「せっかくの池に何もいないのは寂しい」と言って鯉を寄贈したそうです。ですが水深20cmでは鯉は酸欠になってしまい、その後設計の谷口吉郎氏に許可を取って水深を80cmにしたそうです。

和風別館は敷地内からの移動以外に外の門からも出入りできるようにもなっています。東口と呼ばれる門から入ると石庭の庭園があります。庭園には石が3個配置されています。元々は石はなかったのですが中曾根康弘が「何もないのは寂しい」と寄贈したそうです。こちらは谷口吉郎氏が亡くなった後なので許可は取れていないとの事。
まったく政治家はロクなことをしません。

別館の中に入ると主和室と呼ばれる大広間があります。「そんなに広くないか?」と思ったのですが部屋の広さは60畳です。周りが広すぎて感覚が狂っています。ニュースで大統領夫人が生け花のような日本的な事を体験することがありますが、それがここで行われています。
同様にお店のようなカウンターの席で食事のシーンなどもニュースで見ますが、それもこの和風別館内にある即席料理室と呼ばれる部屋で行われています。
カウンター内の料理人のスペースは床が低くなっていて要人を上から見下ろさないようになっているのだそうです。換気扇も床にあり煙や臭いが立ちこまないようになっています。

最後に茶室を見ました。茶室と言えば四畳半の小さなものをイメージしますが、茶室大きすぎです。おそらく30畳くらいのスペースがありました。畳のスペースの四畳半だけが小上がりのように一段高くなっている状態です。一般的な茶室のイメージとはだいぶ違います。
茶室へは建物内の通路からも入れますが、外の庭からの入口もあます。外からの入口には待合の椅子がと手水があります。本来はここで手水で手を洗い、呼ばれてから茶室に入るのがマナーなのだそうですが、要人は分刻みのスケジュールが組まれているため、時間的な余裕がなく手水と待合は現在まで1度も使われたことが無いそうです。

和風別館の見学はこれで終わりでした。要人が来日時のニュースではあまり気にしていませんでしたが、ここで行われていたのだと初めて知りました。結構急ぎ足で回った感じでしたが1時間ほどかかりました。

ガイドツアーはここで終わりでしたが、本館と呼ばれる赤坂迎賓館内も見学できるので、せっかくなのでこちらも見てきました。

画像2

赤坂迎賓館は元々は大正天皇のための東宮御所として建築されたそうです。ですが東宮御所としてはあまり使用されず、国へ移管され行政の機関が使用していたのだそうです。
その後第二次大戦後十数年が経ち日本が国際政治に復帰し始めると外国の要人をもてなす施設が必要になり建物の大改装を5年かけて行い1974年に現在の赤坂迎賓館になったのだそうです。
大改装を行う前にはこの建物自体を取り壊して新しくビルを建てようという案もあったそうですが、下見をした段階でこの建物を使った方が良いとなったのだそうです。そりゃそうだろうと思います。

中に入るとまさに宮殿と言う感じです。ネオバロック様式の西洋風宮殿建築らしいのですが、高い天井に天井画、そこから吊るされる巨大なシャンデリア(重さは約1トン)大きな鏡に上部が丸くなっている縦に長い窓。壁には彫刻、床には赤絨毯と本当にイメージ通りの宮殿でした。

また各部屋には名前が付けられているのですが、それが「朝日の間」「花鳥の間」など「旅館かよ」と突っ込みたくなります。部屋の中身と名前のギャップがありすぎです。そしてとにかく広いです。
こちらでは首脳会談など外交関係で使用されるそうです。ニュースの時は気にしていませんでしたが、ここで行われていたのですね。

迎賓館には宿泊することも可能で、宿泊する要人もいるのだそうです。そのため部屋のドアに201のように部屋番号が振ってあるのですが、これもかなり違和感がありました。番号の振ってあるドアがかなり大きいのが原因だと思います。
違和感といえば各所にあるコンセントや電話、消火器など、あるのが当たり前の物もあることに違和感を感じるほどでした。それほどまでに中世の宮殿的なのです。
順路に沿ってまわる形でしたが1時間ほどかかりました。各所で映像での説明があり、それを眺めてからゆっくり回るとこのくらいかかると思います。

迎賓館の前庭と呼ばれる場所の一部にはキッチンカーがいて休憩ができるようになっています。予約すればお菓子などがセットのアフタヌーンティーもできるそうですが、椅子に座ってお茶をするだけでも日本離れしたシチュエーションを味わえます。見学した日は晴れていたので絶好のロケーションでした。

画像3

この前庭から迎賓館前の道路、その先の外堀通りまでは一直線になっていて、要人を迎えるときはここを完全封鎖するのでしょう。もちろん計算して作られているのでしょうけど、こりゃ映えるなと思いました。

画像4

何から何まで徹底的に豪華に作られていましたが、外国の要人を迎える施設なのだからこのくらいは必要なんだろうと思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?