見出し画像

仏滅

「殺す」
カンダタの記念すべき24京8920兆420億5092万回目の独り言は無間地獄に入獄して32億4459万9132年目のことだった。

ブッダの戯れによって空から突然降ってきた蜘蛛の糸にぶら下がった彼を待ち受けていたのは、業務妨害罪と地獄騒乱罪その他多くの付随する罪状による無間地獄100億年の求刑と、他の獄人たちからの無数の損害賠償だった。
極楽から遣わされた公選弁護人のナントカ菩薩はろくに弁護もせずにカンダタの生前の悪行ばかりをツラツラと述べ、ブッダや蜘蛛の責任は一切考慮されず、検察の牛頭はカンダタが獄人を教唆し地獄の治安を破壊しようと目論んだと主張し、閻魔大王の槌が高らかにカン!と鳴った。


カンダタは遥かなる無明の中でブッダに対する呪詛を呟き続けている。

あと67億5540万868年でカンダタの刑期が終わる。

【つづく】

#逆噴射小説大賞 #逆噴射プラクティス

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?