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西丘塔子
2024年10月19日 18:54
誰よりも私のことを知っている私を慰めてくれたベッド私を癒してくれたソファ私の涙を拭いてくれたクッション私の怒りも焦りも虚しさも全てを吸収してくれた壁私の全てがあったこの部屋思いが詰まった部屋の片隅空っぽになった部屋の真ん中に立つ君を置いていくような申し訳なさと寂しさとありがとうの思いたまに君のせいにしてごめん明日を見せてくれた窓がこの美しい空を
2024年10月19日 00:31
ビッチョと僕はいつも一緒公園に行くときも幼馴染の家に遊びにいくときもビッチョは僕の紺色のズボンのポケットにひっそりと隠れていたんだビッチョは柔らかくて、温かかった学校で嫌なことがあってもママやパパに叱られてもビッチョがいると悲しくなかったでもビッチョのことは誰にも言わなかったビッチョの存在を秘密にすることで僕はたくさんママに嘘をつくようになったピンクの花が咲い
2024年10月14日 08:24
扉を開けて、ただ歩きだす今日はモノクロームの世界か姿のない鳥の声が、必死に訴えかけ生ぬるい風が、Tシャツを湿らせて合図のように騒ぎ出した樹冠のその先にある色を確かめたい衝動にかられる枯渇した花のようにこうべを垂れた老人が静かにベンチに座り耳に掛けたイヤホンを揺らす若者が空を見上げてその前を通り過ぎる枯れ葉の豪雨の音が鳥の鳴き声を遮る真実を描いたグラフティの壁側だ
2024年10月2日 16:42
カランカラン。来店を告げる鐘の音。日曜の午後にはボサノバが流れる店内に響き渡る。食器が触れ合う音といつもの香り。温かい湯気が乾いたそよ風を湿らせる。緑溢れるテラス席へ通じる白い扉から、朝いっぱいの日差しが、屋内の大きなテーブル席を照らしている。居るだけで心地よい店内をぼっーと眺める。今日はカウンターのあの子がいないな。だから、ボサノバが聞こえないのか。まだ夢とこの世