カスタマーサクセスメモ #1(STARTUP AQUARIUM@虎ノ門ヒルズフォーラム見聞記)

私が現在所属している会社では、クラウドサービスの売上貢献を目指した品質保証を検討している。

今回は、昨今SaaS業界を中心に話題になりつつある「カスタマーサクセス」について、2/8(土)STARTUP AQUARIUM@虎ノ門ヒルズフォーラムに参加して見聞してきたことを踏まえて考察したい。

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスとはその言葉通り顧客の成功を指すが、この言葉を扱う時には2つの視点を区別して用いたい。

①組織が目指すべき概念としてのカスタマーサクセス

カスタマーサクセスという言葉に含まれる「カスタマー」とは顧客やユーザーのことを指す。従って顧客/ユーザーは誰か?を知ることからカスタマーサクセスの取り組みは始まる。どの業界のどのセグメントのどのターゲットのどのような性格の顧客/ユーザーなのか、具体的であることが望ましいだろう。

次に、顧客/ユーザーの課題は何かを見極め、その上で顧客/ユーザーの成功とは何かを定義したものが概念としてのカスタマーサクセスである。

このカスタマーサクセスが関係者全員に共有された上で、これを実現するための業務がそれぞれの職種に分解されていくことになる。

職種としてのカスタマーサクセス

職種としてのカスタマーサクセスは、それを実践する組織毎に異なる。従ってここでは複数のスタートアップで実践されていたいくつかのキーワードを紹介する。導入前から入り込むケースと導入後から関与するケースと様々だが、いずれの場合も顧客の成功を全体最適視点で実現するための架け橋となる伴走者というイメージが近いだろう。

<商品導入前から入り込むケース>

例1:顧客の成功のための指標/目標を顧客や社内ステークホルダーと握り、商品導入後はその指標/目標のモニタリングとフィードバックを行う

<商品導入後から入り込むケース>

例2:アンケート結果の分析と前工程へのフィードバックを行う

例3:利用状況のヒアリングと新たな提案を行う

同じカスタマーサクセスという職種でも、組織毎に求められることが異なるため、その組織が強みを発揮できるやり方や人材を取り込むことが肝要。また、カスタマーサクセスを実現するための手段が目的にならないように注意することも重要である。いつでも顧客の成功が目的であり、その手段は何だって良いのである。

どのような人が(職種としての)カスタマーサクセスに向いているか

①お客様を主語に語れる人

顧客と商品提供者の間にはいつだってコミュニケーションギャップがあることを思い出させてくれるキーワード。お客様を「お客様」というBigWordで終わらせないことが大切。

②お客様を好きになれる人

こちらから好きになればそれに呼応して好きになってもらえることから、恋愛に例えて紹介されていた。

所感

まず、スタートアップだけあって職種(機能軸)を問わず顧客軸、事業軸の発言が極めて強い印象を受けた。その上で、この社会に対してどのようにコミットしていきたいかという社会課題への貢献マインドも体感できた。これらの発言やマインドは(概念としての)カスタマーサクセスそのものであり、大いに見習うべきである。

また、パネルディスカッションの中で、「カスタマーサクセスを実現するための型を作る」ことに苦労しているというくだりがあった。続けて「『型を作る』というとマニュアル化といった誤った理解を促してしまう懸念があるが、ここで重要なことは『基準をつくる』ことだ」という説明があった。この考え方は重要で、品質マネジメントにおけるプロセスアプローチにも適用できる。つまり「プロセスに必要なのは基準であり、手順ではない」(ここでいう「必要」とは、必ず要るの意。いつも手順がなくて良いことを言っているのではない)ということを再確認したい。

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