043：六月二四日 アストランチア（二八）

智大がちゃんとしてるなぁって思うのは、女の子二人を車道の反対側歩かせてくれる。微妙な位置をキープして、マリリンとも私とも会話を成り立たせてくれてる。私が高校卒業後、専門学校をすぐに退学して主婦歴が長いのを知ってるからマリリンはいろいろ聞きたいみたい。ちょこちょこ質問を投げてくる。二年近く付き合っている彼がいるんだって。智大は仕事が忙しくていまは結婚どころじゃないっていいながら、彼はあーなんじゃないかこーなんじないかって、アドバイスっていうほどじゃないけどマリリンのこといろいろ考えてやさしい言葉を投げてるなあって、関心してる。こういうときも自分は聞き役に徹してしまうんだなぁ…。振られる質問にはちゃんと答えるんだけど、自分から話したいことも聞きたいこともない。人としては結構失礼だよねって自覚してる。