037:六月二四日 アストランチア(二二)

そこへ旦那も帰ってきた。二人で食卓についているのが珍しかったのか、旦那も早々に席についた。私が立ち上がろうとするのを遮って、実に手際良く息子は味噌汁を火にかけ、唐揚げをレンジで温め、ご飯をよそってくれた。
「今日は蒼太が用意してくれたの。」
「味噌汁作っただけだよ。」
「うまいな。」
「ケーキもあるよ。」
「…なにか特別な日だったか?」
お小遣いはもらったけれど同窓会に着ていく服なんてなんでもいい、それより久しぶりにみんなでおいしいご飯が食べたいと思ったと私は説明した。特に旦那は予想どおりの呆れた返事をくれたけれど、息子はやさしかった。
「ごちそうさまでした。美鶏もリンデンも、久しぶりにおいしかった。」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?